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「一人の幸せなんてのは、案外あっさりとひっくり返るように出来ている」

「……はい」




……。 ベルトランはマリを背負い、王国の案内をしていた。




「おお、なんだベルか?」




「……そうだ……」




「おっ、この子がマリか? うわ、めちゃくちゃ可愛いじゃん……」




「な……なんだこのガキ……、俺を睨んでやがる……? なんだよ……。やっぱりあの化け物の娘なだけはあるぜ……」




「……ルイ王子殿下はどうなのだ?」




「あいつか~? まさに性善説そのものだったぜ~……」




「なに……?」




「笑顔で俺をいたわりながら治療してくれたんだ」




「???」




「今は寝てるよ……。本当にあの子は泣かないし、騒ぎもしないんだよな~」




ロランの言葉を聞くと、マリはまるで不愉快そうにベルトランを睨みつけた。




「……やめろ、ロラン……」




「あ? なんでだよ」




「王女殿下が不快になられている……」




「まったく……。俺の従妹だけど……、なんでこんなに気難しいんだよ……!!!」




「ばぶ(あんたごときが、私を評価しようだなんて100年早いのよ、脳筋野郎)」




「こ、こいつ!!! 今!!! おい、お前も聞いただろ!?!? 聞いたよな!?」




「あんたたち、そこで何してるの?」




ブラダマンテが歩いてきた。




「あ……ブラ……ブラダマンテ、やっほー……」




(ロラン!! あんた、ブラダマンテが好きなんだな!!! だが、ブラダマンテはロランの関心を無視したままベルトランのもとへ向かっていた)




「ねえ、この子、あんたの妹?」




「いや……王女殿下だ……」




「あーぶ~」




「本当にかわいい……」




「……?」




「なんであんたたち、この子を変な目で見てるの? 見てよ、こんなにいい子じゃない。ねえ、この子、抱っこしてもいい?」




「噛まれるかもしれないぞ……」




「何言ってるのよ……」




「あーぶ~!」




「ほら、喜んでるじゃない。あんたたち、純粋な赤ちゃんに変なレッテル貼るのやめてくれる?」




「…………?」




「ガキ共、そろそろ訓練の時間だぞ。何してやがる」




「アストルフォ兄さん?」




「アストルフォ兄貴?」




「アストルフォ殿……?」




「このお方がマリ王女殿下か? 本当に……可愛らしいお顔をされているな」




「あーぶ~!」




「もし世界に天使がいるのなら、このお方のことだろうな」




「……?」




「??????」




「ああ悪いな、お前ら二人は育児があったよな……。だが、お前ブラダマンテは?」




「あ、ごめん兄さん! お願い!!!」




「ダメだ……。さあ、行くぞ」




「嫌よ!! あたしも王女殿下のお世話したい!!!」




「お前はあいつらより弱いんだから、修行しなきゃだろ」




「ああ、そんなぁ!!!!!」




「育児って、意外とイージー(楽勝)かもな?」




「何を言っているんだ……。俺はむしろ訓練に行きたい……」




「……ふむ、お前にとってはイージーじゃないのかもな……。頑張れよ……」




「ううっ……」




数日後。




「オリヴィエ、今日はマリの歩行練習(よちよち歩き)を手伝ってくださるかしら?」 「あーぶ~、ばーぶ~!」 「……はい…………」




「ばぶ」




「承知いたしました、王女殿下……」




「あぶ……(何してるのよ、ちゃんと支えなさい。私を転ばせる気?)」




「……申し訳ございませ……」




その瞬間。




「ばぶ(技術)……あぶ(速度)……ぶぶ(そして)……あぶ(力)」




固有技(固有技) 絶命足ぜつめいそく




「ぐはぁっ!!!」




ベルトランは、いくつもの次元の欠片が崩壊するような衝撃と共に、ヴェルサイユ宮殿の庭の外まで吹き飛ばされた。




(ちょっと待て!!! 作者!! あれ『外見至上主義』に出てくる** ななせきょう**が使うやつじゃん!!! 著作権大丈夫かよ!!!!)




「……お、王女殿下……。み……見事な……蹴りでございました……」

「非常事態だ!!! オリヴィエ騎士様が何者かに襲撃されたぞ!!!」




「い……いえ……。皆様、ご心配なく……」「い……いえ……。皆様、ご心配なく……。ただの……訓練の一環ですから……」




1年後




「オリヴィエ、今日はマリが言葉を話せるように手伝ってあげてくださいね」




「承知いたしました、皇后様……」




「それでは、私はこれで……」




「ぶ……」




「……! ついに、お言葉を発せられるのですか?」




「ぶ……」




「やはり……まだ無理なようで……」




「粉ミルク作ってきなさいよ。私専用の奴隷1号」




「…………承知いたしました」




「おっ、ベルじゃねーか! 元気か? 王女殿下とは相変わらずべったりだな」




「静かになさい、この猿」




「……は? 今、なんて?」




「聞こえなかったの? 不愉快だって言ってるのよ。あんたの顔自体が吐き気がするほど気持ち悪いのよ」




「あいつ……本当に1歳か……? いや、普通そのくらいの年じゃ言葉を覚えるのだってやっとだろ」




「……俺にも、もう分からん」




「何を言ってるのかしら? あんたが下等なだけよ。この・サ・ル」




「ったく……あーあ、やってらんねーよ! ルイの奴はあんなに良い子なのに……!!」




「……何だって?」




「あ、いや……なんでもねーよ。とにかく! 俺はもう育児なんて辞めてやるからな!!!」




「同感だ……」




「叔父上に直談判しに行くぞ、ベル!!」




「何よ? あんたたちは私の奴隷なのに、どこへ……」




「王女殿下、お昼寝の時間でございます」




「あら、そう? じゃあ寝るわ」




「ふぅ……行くぞ」




「静かにしろ……!! 行くぞベル、叔父上に抗議だ!!」




一方、シャルル皇帝の寝室




「ああ……エリザベス、勘弁してくれ……!!! 俺はまだ心の準備が……!!!」




「今日こそはしていただきますよ、陛下……。私がマリとルイを産む前にしたきり、もう2年近くご無沙汰ではありませんか」




「だが……!!! 痛いんだってば……!!! いや、君とヤると、俺は一週間は廃人にならなきゃいけないんだぞ……!!!」




「またまた、本当は嬉しいくせに~……」




「う……うわあああああああ!!!!!!」




「……叔父上と叔母上、何してんだ、ベル? 叔母上が叔父上に馬乗りになって、何かしようとしてるけど」




「……あ……あれは……」




(そうだ!!! ベルトランは11歳ですべての学問をマスターした天才!! 保健体育もすでにマスター済みである!! ベルトランは知っている!! あの行動が生命を創り出す行為だということを!! ということは……?)




「……俺たちの地獄の道、その第2章だ……」




「は……? 何だよそれ」




「……知ろうとするな」




「ったく、あれだろ? ただのUFC(格闘技)みたいなもんだろ?」




「UFCよりも汚らわしく、絶望的なものだ……」




「そんなんなのか……。うげぇ……大人になっても俺はやりたくねーな……。叔父上、痛そうだし……」




「……俺たちはもう行こう」




数日後




(家臣たちは、ベルトランがマリを背負って散歩している姿を見て噂し合っていた) 「あらあら、見て。オリヴィエ騎士様じゃない? あのヒップシートキャリアに乗っていらっしゃるのはマリ王女殿下ね……。本当にお美しいわ……赤ちゃんなのに……。でも、本当のご家族のように見えますわね……」




1年後……




「ベルトラン、他でもない。今度生まれた双子の姉妹、ジャンヌとシャルロットを頼む……」




「お願いです……陛下、私ではなく……ロランに……。私はマリ王女殿下のお世話だけでも、もう限界でございます……」




「……あ……分かった……。……すまなかった……」




さらに1年後。ベルトラン15歳。世間一般では「中二病」に罹患し、右腕の封印を解いたり闇の力を欲したりする時期だが、ベルトランにそんな余裕はなかった。マリーの執拗なガスライティングと罵倒により、中二病の代わりに「ストレス性腸炎」を患っていたのである。




シャルル皇帝は、なぜか泣きながらベルトランに命令を下していた。




「ベ……ベル……ひぐっ……ベルトラン……。私の最も大切……ううっ……な……娘の……婿養子候補である……デミアン・デモニクスがやってくる……。お前が迎えに行ってくれ……。そして……!!! もし、マリーを泣かせるようなことがあれば、お前が処理しろ……っ!!」




「承知いたしました、陛下」



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