「面接に受かる方法:ただ愉快に振る舞えばいい、それだけだ。」
「はぁ……はぁ……はぁ…………」
「落ち着け、社長。しっかりせえ」
「シンデレラ……例の……あれだ……。あの袋をくれ……」
「はい……社長……」
「何や、お前も使っとったんか?」
「はい」
「ああ、助かる……」
「オロロロロロロロ……ッ!!」
「……次の方」
「私はノンバイナリーのパンセクシュアルで、フェミニストです」
「……不合格だ、失せろ。うちの事務所はポリコレ(PC)はお断りだ。年齢も名前も聞いてないのに、どーでもいい自分語りを始めてんじゃねぇよ」
「えっ???」
「あの娘っこは、叩き出さなあかんな……」
「次の方。名前と年齢」
「28歳、セアナ・マキシアナ。イギリスから来ました」
「そうか、ヨーロッパ人か。なら加点対象に……」
「現在は無職で求職中。クィア当事者であり、クィアの友人を持ち、現在は『ラスト・ジェネレーション』という団体で活動しています。最近ではバルベリーニ美術館でクロード・モネの作品『積みわら』にオレンジとジャガイモを投げつけ、環境危機を訴えました」
「……あの時の犯人はお前だったのか、クソ女。お前も失せろ、不合格だ。……お前のせいでドイツの国力がどれだけ落ちたと思ってるんだ!」
「さあ、次の方」
「あ……あ、あ、あ……あ、あ…………は、は…………じ、じ…………め、め…………まして…………っす……」
「何言ってるんだ、こいつ。おいサム、お前聞き取れるか?」
「……あかん。俺もこいつの言うとることは、一ミリも理解できへんわ」
「そ、そ、そ、そ、そ、そ……そ、そ……そ……それじゃあ……」
「あーもう……お前も失せろ」
「アイイン!!(泣)」
「次の方……」
「こんにちは」
「俺、まだ喋ってないけど」
「あ……あ、あ、どうぞ……」
「こいつも吃音かよ……。年齢と名前」
「年齢は……2……20歳です……。アイルランドから来た、ケ……ケビン……と言います……」
「それで?」
「僕はただの平凡な、あ……ある平凡なバーチャルアイド……バーチャルアイドル、ご存知ですよね?」
「何だそれは、このオタク(キモオタ)が」
「せやな、何抜かしとんねん……」
「あ……とにかく、……そ……そっち系の……アニオタ界隈、あるじゃないですか」
「うむ(なるほどな)」
「一応聞いてやろう、何て抜かすか」
「そ……そっち系が好きな、ご……極々平凡な人間です」
「……いや、違うだろ。とりあえず精神病院をお勧めする。腕のいい医者を知ってるからな。あそこの先生はマジで凄いぞ」
「社長の言う通りや! おいタマキン、お前はちょっと病院で診てもらったほうがええわ……」
しかし、ケビンは二人の真心のこもった助언を無視して話を続けた。
「僕はもともとミリオタにな……なったきっかけが、以前も歴オタだったんで……。僕は幼い頃、8年前。そうです、8年前」
「おい、この野郎。俺たちは傭兵だ。あのアホな老害どもと同じにするんじゃねぇ」
「こいつ、脳みそ溶けとるんちゃうか?」
「僕は……8年前……早く話します、8年前、僕は8年前」
「こいつ、何回『8年前』って言うんだよ、このクソ野郎!! 8年前ならお前は12歳だろうが! その頃のおむつ替えの話まで聞かなきゃならねぇのか?! お前、俺たちと『精神と時の部屋』ごっこでもしてるつもりか?! 次に『8年前』って言ったら、お前の寿命を8年短縮してやる……」
「俺も分からんわ……クソッタレ……。社長! こいつ、俺らに『無限月読』かけとるんちゃうか?! レコードの針が飛んだみたいに『8年前』連呼しやがって! おい、タマキン! アイルランドから船で8年かけて来たんか?!」
しかしケビンはまたも無視して続けた。
「あ、ちょっと待ってください……台本が……」
「……こ、こいつ……?!」
「落ち着け……! 落ち着くんや、社長!!」
キムのハラスメントの衝撃が冷めやらず、嘔吐していたシンデレラまでもがデミアンをなだめるという、珍風景が繰り広げられた。
「お、落ち着いてください……! 社長……!!」
「ああ……俺が我慢しなきゃな。馬鹿相手に怒っても仕方ない……」
しかし、ケビンにはデミアンの怒りなど目に入らないようだ。
「僕は幼い頃、8年前のシリア内戦以降、軍事に興味を持ち始めました」
「……ここは傭兵事務所だ、このバカ野郎」
「そしてオタクになった理……理由もそうですし、オタクの方々も軍事に興味がある方、多かったじゃないですか。ですよね?」
「何を言ってるんだ、お前は。親のスネをかじりながらキャラを眺めてニヤニヤしたり、声優やVチューバーに自分のナニ(※とにかく自主規制^^)を送りつけたり、セクハラ発言をするような手合いだろ? 他のオタクに失礼だ。お前がオタクの平均だなんて……あいつらだって、人間としての最低限の線は守るぞ」
「わ……我々は、い……今も世界のせ……正義のために、それぞれの推……推し活を捨てて……」
「狂っとるわ……。脳みそどころか、体の節々までネジ外れとるんちゃうか……」
「推し活は……(解読不能)……すべてのオ……オタクたちが、現実を心……心配しているのです!!」
「いや、あいつらは新作の悩みとか、何が名作かとか、部屋の隅っこで不毛なレスバ(ネット掲示板の喧嘩)に明け暮れてるだけだろ」
「せやな。間違いないわ」
「み……皆さん……こ……これはあ……あまりにも当たり前の話……ですよね? そ……それで……結論は……何かって? 二度と……我々オタクが、現実に絶望しないようにしてほしいのです……!!!!」
「ああ、よく聞こえたよ。お前の無能さと、信念と呼ぶのもおぞましい甘えを、『オタク』という集団性に隠そうとするその態度。……お前も失せろ、不合格だ」
「1972年のダゲスタンで腐ってこい、このタマキン野郎」
「う……うわあああああ!!!!」
サムとデミアンがFAILボタンを押すと、ケビンを中心に火柱が上がり、彼を奈落へと突き落とした。
「ふぅ……」
「……次の方……」
「次……」
「最強……LA……ファイティン!!!!」
「あいつは何なんだ……。お前も火の海へ行け」
「う、うげぇぇ……」
「次の方……」
「29歳の男性であり……エイセクシュアル……エイロマンティック無性愛者です……同性愛者! 両性愛者! トランスジェンダー! 農民! 労働者! 他には誰がいますかねぇ?!」
「うーん、不合格になって落ちるお前がいるだろうな。その次」
「名前、年齢、どこから来た」
「アフリカから来た!! 誰でもない者です!!!!」
「『誰でもない』だと。めでてぇ奴だな、おいwwww」
「社長……ついに正気を失ったんか……?」
「実は私は今……私が話す前に、一つ謝……罪をしなければなりません。申し訳ありません!!!!」
「そんな風に生きててすまないって、お前の親にでも謝りに行けよ……」
「こんにちは……」
「おいクソ野郎、俺はまだ名前も年齢も聞いてねぇぞ」
「全世界野球ファン連合フェンウェイ・パーク支部の旗を掲げる旗手、エディソンです~!」
「エディソン様に謝りに行け……丸焼きになってな、お前は……」
「次の方……」
「私は……その……えー……私は……経済的・法的制約なしに……法的女性として性別(?)を受けたくて……」
「こいつ男だろ。ただのデブ野郎だ。メガネかけて髪をボブにすりゃ女だとでも思ってるのか?」
「こいつも相当、脳みそネジ外れとるな!」
「女性として……女対女として……彼女と結婚もしたいのですが……」
「男の時にモテなかったからあんなこと言ってるのか……」
「せやろな、間違いないわ」
「女性の名前で!!」
「ああ、俺は神の名において、異端者のお前を火の海に叩き込んでやるよ」
「次……いや、次のバカ野郎、出ろ」
「は! 222いぃぃぃぃ33……いんのんやいん……@しゃは@むじゅちゅ……あ、あ、あ……お、お会いできて光栄っす……」
「はぁ……あ、あ、あ、あ、あ……はぁぁ……はぁぁぁ…………じ、じ、じ、じ…………」
「わぁ……俺の二番目のタマキン(愛銃)『D-1972 イーグル』より早口やな」
「……あいつ、ラップでもしてるのか?」
「しゅ、しゅ、趣味は……む、む、む……」
「そうか……お前は死ね。そうしてこそ、この社会が少しはマシに回る」
「次の野郎……期待してねぇぞ」
「私はフランスのデモで『殴ってもいい』とコメントがついた……詩人です。私のようなK-POPファンが、なぜここに来たと思いますか?」
「こいつも……あのケビンとかいう奴みたいに、自分の無能さを集団性に隠そうとする奴か」
「そんな感じやな。せやな」
「合格へ Jikjin!!」
「ああ、お前は火の海へ ジクジン**だよ……。おい」
「次の人……」
「こ……心から、本当に光栄です……。世界が回っている様子を見ると、僕の精神病なんて……精神病でもないような気がしてきました……」
「お前の精神病に勝てる奴なんて、世界に一人もいねぇよ。合格だ」
「火の海で、ぬくぬくと溶けてりゃええねん……」
衝撃的かもしれませんが···2年前に真剣に取り組むべきある集会で出た実話に基づいています···




