「面接で一番大事なのはな、学歴と人脈、そして実力と運だ。……あぁ、あと親の七光りってやつな」
前回、エドワードは白雪の脅迫まがいの誘いでショッピングモールへと連れ出され、結局のところ奴隷役を遂行する羽目になった。散々な目に遭った後、この 「カモワード」 には驚くべきことに、世界最凶のテロ組織「メシアの再臨」の柱とも言える黙示録の四騎士の一人、ムルソー・キルシュタインとの遭遇が待ち受けていたのである。
幸いにも「第ゼロ地点」を越えはしたが、ムルソーという男は、エドワードが血を原子単位で分裂させながら必死の思いで辿り着いたその境地を、たかが銃一丁で子供を扱うかのように軽々と使いこなしていたのである……。さらに追い打ちをかけるように、このムルソーはエドワードを弄ぶかのように別世界の自分を召환したり、 「メナス纏い」 や「ゼロ・シーケンス」を駆使したりと、まさに蹂躙を楽しんでいた。エドワードは生き残るために必死に足掻き、結局ムルソーが戦場を離脱することで、ようやくその場は幕を閉じた。
「こ……ここは、どこだ……?」
「気がついたか、坊主」
「おじさんは、あの時のヒーローの……」
「そうだ、ノウスト・ファウスターだ、この野郎」
「あ……でも、確か第12話で初登場した時に……」
「おっと、静かにしろ。作者の奴がまたミスったみたいだからな。まあ、俺たちの仲だ、ここは黙って見逃してやろうぜ」
「あ……はい。でも一体……」
「すべては終わったぞ、坊主」
「し……市民たちは……?」
「幸いなことに、死んでいたわけじゃなかった。どうやら、あいつは自分の能力について俺たちに嘘をついていたらしい。あいつは自分の能力『無関心な救済』は、対象を殺さなければゾンビにできないと言っていたな. だが、お前は気絶していて知らなかっただろうが、あいつが去った後、驚いたことにゾンビに変わっていた市民たちは全員元通りになった……。つまりあいつは、殺してゾンビにするのではなく、むしろ自分のマナを周囲に触れさせ、自分よりマナが低いすべての人間を洗脳できていたようだ……。いや、それ以上にありえない話かもしれんが……。俺たちはあいつに遊ばれていただけだったんだ」
「……嘘、ですよね……?」
「信じられないなら、あのトラック一台分の救急車を見てみろ」
「………………」
「その反応、無理もない……」
「ところで、白雪さんは?」
「あぁ、一緒にいたあのイカれたお嬢ちゃんか? お前が気絶したから帰ったぞ。まあ、あいつなら事務所くらい一人で探し当てられるとかなんとか言ってたな」
「えっ……? それじゃあ、僕はどれくらい倒れていたんですか……?」
「少なくとも2時間。まあ、俺は市民たちを避難させるためにここに残っていたんだ가な」
「あ、やばい……! 行かなきゃ……っ……」
その瞬間、エドワードは血を吐きながら悲鳴を上げ、その場に倒れ込んだ。
「か……体が……急に……! まさか……白雪が言っていた……後遺症が……! 声が……。まさか、言霊を使ったせいで……?」
「坊主、大丈夫か……!!!! おい……!!!!」
「い……意識が……!」
(大丈夫か、エドワード)
「こ……この声は……!!」
「坊主……。もしかして、お前の知り合いか……?」
(はい)
「なんだ……!!! なんで話せるんだ……!! さっきまで話せなくなっていたじゃないか……!!!!」
(テレパシーは使えます……)
「あぁ、そういうことか……? わかった……! だが、お前の知り合い、パンツ一丁で歩き回ってるぞ?」
「ひどいな、おじさん。俺をそんな風に扱わないでくれよ……」
「ただの変態じゃねえか、あいつ……!!!!」
ニコライ・ロマノフ12世という方です……。
「ちょっと待て、あのニコライか??? あのSS級ハンター1位の???」
「はい……」
「あの『雪原の覇王』が……?? あんなの、ただの『雪原の痴王』じゃねえか!!!」
「痴王とは何だ?」
「変態の王という意味だ……。いや、もういい……。お前に何を伝えようとしても理解できないだろうからな……」
「そんなこと言うなよ、おじさん。俺のIQは3万だぞ」
「本当に……腕の良い精神病院を知っているから推薦してやるよ……。ところで、お前はなぜここに来たんだ?」
「目が覚めたら、エドワードと家主がいなくなっていたから外に出たんだ。白何とかっていう女に電話したら、エドワードがここにいるって言うから来た」
「お前、何時に起きたんだ……?」
「ついさっきだ。14時頃だったかな」
(ナレーターによる補足:ニコライが起きた時間はドイツ基準で14時25分。日本・韓国基準では22時25分、米国東部基準では8時25分、ロシア基準では16時25分である)
「……もう少し早起きすることを勧めるぞ……」
「何を言うんだ。これでもいつもより早起きした方だぞ」
「何だと……?」
「起きろ、エドワード。早く事務所へ行こう。俺はそこの職員じゃないが、あの事務所は面白い。それに俺、今はロシアに帰れないから、しばらくドイツに滞在しなきゃならないんだ」
「……でも、ニコライさん……。今は15時半ですよ……?」 (日本・韓国基準では23時30分、米国東部基準では9時30分、ロシア基準では17時30分)
「実は……ここに来たのは15時だったんだが、建物が怖すぎて入れなかったんだ……」
「おい、お前はSS級ハンター1位だろうが……」
「だが、幽霊は怖い……」
「あぁ、そうかよ……」
「そんなことは問題じゃない。エドワード、早く事務所へ行こう。俺はデミアンと遊びに行かなきゃならないんだ」
「……僕、動けないんですけど……」
「おい、そこのパンツ……。悪いが、この坊主は『第ゼロ地点』という場所に到達した副作用で、今は動けないようだ……」
「あぁ、そういうことか。エドワード、お前はたかがそんなことで大げさに騒いでいるのか? 仕方ないな、俺が運んでやる」
「でもニコライさん……。その、発音が……」
「ドイチュ語、ムジュカシイ。リカイ、シテ。」
「あ……わかりました……」
「さようなら……ファウスターさん……」
「あぁ、元気でな、坊主……」
「師匠……一体、あの坊主は何者だったんでしょうか……」 「さあな……怪物だよ。あいつも、ただ周りにいる奴らが規格外すぎて埋もれているだけだ……」
一方、事務所にて。
「来たぞ、デミアン」 「なんだ、ニコライか? それに、お前の後ろにいるのは廃品シンクレアか?」 「おい、このクソ野郎。俺たちの出勤時間は14時だってのに、それが守れないのか? あぁ?!」
デミアンはすぐさまエドワードに鉄拳を食らわせた……。
「先輩~、エドワードにそんなことしないでよ~。あの子、一応『第ゼロ地点』に突入して、まともな状態じゃないんだから~」 「あいつは、たかがそこに入ったくらいで大げさなんだよ。まったく……。シンデレラ、こいつを治療してやってくれ」 「はーい……」 「大丈夫? シンクレア君……」




