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不幸を嘆けば、不幸を招く

前編~ ついにBMQ会長の護衛を終えた我らがカモウォード、ガキ・シンクレア。初日から現場に放り出され、そこでヤンデレの元カノに遭遇。両腕をもがれ、腹には穴が開くという凄まじい苦痛の連続だった……。ああ、哀れなり……! だが、あとは会社に戻るだけだ、我らがカモウォード! 一方、その帰り道……。


「あ……そうだ。お前ら、バイエルン・ミュンヘン2026限定版Tシャツは買ってきたんだろうな?」


「あ、忘れてた……!!!!」


「Holy shit...!!!!」


「Oh........ meたちは忘れてたYO.......」


「あ……!」


「このスカポンタンどもがぁぁぁぁ!!!! あんなに買えって言っておいたのに……!!! 買ってこないなんて、お前ら気合が足りねぇんだよ!!! 俺があれほど言ったのに……!!!」


「給料カットだ!!! この野郎ども!!!!」


「No!!!!!! Please!!!!! Bossss!!」


「度が過ぎるだろ……!! 俺ら、絶対にこれが終わってから買いに行くつもりだったんだって……!!!!」


「Yes!!! Yes!!!!!! meたちは!!!!! 買いに行くつもりだったんだYO!!! Boss!!!!!!!!」


「言い訳は敗者のすることだ!!! 黙れ!!!! クソ野郎どもが!! 何が三流だ!!! 抜かしてんじゃねぇぞ!!!!」


「Oh........」


「まあ、いい……。どうせ今日試合があるし、俺が自分で買いに行くわ。試合見てから帰るから、お前らは先に会社に戻ってろ」


「ちょっと待て社長……。まさかお前……、こうするつもりだったのに俺らをからかったのか……?」


「まあ、からかったのもあるし、限定版は複数あってもいいだろ。なんなら明日、お前らがまた買ってこい」


「は……?」


「ふざけんな…… Fweah.....」


「Oh.... no...」


「給料カットされたいのか?」


「すまん……」


「Oh... I'm sorry...」


「Seeeyeeahhh................」


「俺はミュンヘン見てくるわ」


「……デミアンさん……いや、デミアン社長、いつもあんな感じなんですか……?? 僕の初依頼を引き受ける時も、ミュンヘンの試合観に行くって言って居なくなりましたけど」


「まあ……。あのソシオパス野郎が今日に始まったことじゃないし、いつものことだ」


「そうだ、グラウンド……。俺らはいつもやられてるんだYO……」


「Schyeah........」


「で、でも……社長は僕たちのことを本当に考えてくださって……」


「おい、シンデレラ……。肩を持つのはいいが、あいつの味方をするのは違うだろ……。あいつは腹の底が全く見えないソシオパスそのものなんだぞ……」


「……でも、社長は表向きはあんなでも、本当は心が脆……」


「ちょっと、シンデレラ!! 今治療中でしょうがっ……!!!! ちゃんと集中しなさい!!!! このノッポの治療を続けるわよっ……!!!!」


「すみません……。代母(Godmother)……。ライムさん……、もう少しだけ耐えてください。私は……」


「ウブブブブッ……(シンデレラ、君は僕だけの天使であり、僕の女神だ……)」


「俺は……!!!! 俺は……!!!!! Godmother!!!!! 俺も右手が飛んでったんだぞ……!!! Fweah.........」


「あんたは家で順番を待つってことを教わらなかったの?? 全く……。歌を歌ってる連中ばかりだから、このザマなのよっ!!!!」


「おい、ババァ……。俺らラッパーを馬鹿にするんじゃねぇ……」


「はいはい、わかったわよっ!!! 馬鹿にしなけりゃいいんでしょっ!!!」


「死ぬかと思いました……。入社初日に……。一体……」


「頑張れよ、新人。お前が新人なのに余計にこき使われてるのは事実だが……。俺らの新人時代でもこんなのは経験してないし、このレベルの難易度は第二次魔法大戦以来初めてだからな……」


「Schyeah........」


「慰めとして……受け取っておきます……」


「頑張れ……」


「新人、がんばRE」


「Fighting~!! Bromo~!!!」


「っていうか、あんた、メンタルだけは相当なもんね。今まで色んな人間を見てきたけど、腕をもがれてこれほど正気を保ってる奴なんて見たことないわ。泣きもしないで、かなり落ち着いてるじゃない?」


「誰かが言ってたんです。不幸だと思ったり絶望したりすると、ずっと不幸で絶望したままになるって。だから、今の状況で僕にできることを最大限やることにしました。泣いて絶望したところで利益があるわけでもなく、損をするだけですから……」


「こいつ……。意外とマインドセットが出来てんじゃねぇか……? ただの泣き虫野郎だと思ってたが……」


「me……、youを見直したYO...」


「Fweah..........」


「皆さん、到着しましたよ……」



ついに事務所に到着したメンバーたち。そこには事務所の職員たちが皆仕事に出払った中、一人でハヌート・ヘーゼルナッツを食べながらテレビを見てニヤついていた白雪がいた……。


「お~みんな久しぶり^^ お疲れ様~^^」


「あのイカれ女が……」


「Oh...... 女を殴りたくなったのはBossの妹以来初めてだYO……」


「Homicide....!!! Homicide!!!!」


「おっと……落ち着いて~!みんな……。あたしも陰でこ~~んなに応援してたんだから~」


「……白雪は元々ああいう奴だから、怒る気にもなれん」


「ところで先輩は?」


「何しに行ったと思う? あの大好きなバイエルン・ミュンヘンの試合観戦だよ」


「やっぱりね~!でも他の班もそろそろ戻ってくる頃だと思うけど~」


「……他の班……? ということは、ここにいるメンバーが全職員じゃなかったんですか……?」


「あの守銭奴・実力至上主義のソシオパス野郎が、自分の金づるになりそうな奴らを放っておくわけねぇだろ。お前も、あいつが金になると踏んだから連れてこられたんだ。あいつは自分の利益になる奴を絶対に手元に置かないと気が済まないタチでな。ちなみに他の班の連中は……一人を除けば、今はいないが『it'lit』とか抜かす奴や、あそこの吸血鬼コスプレ野郎、自称芸術家、そしてあのロリコン馬鹿よりはマシだから安心しろ」


「安心すべきなんでしょうけど、グラウンドさんが言った『一人』がすごく気になりますね……」


「見ればわかる……」


グラウンドの言葉が終わるか終わらないかのうちに、


ドアが開き、


「Team A、戻りました」


驚くべきことに、ついにまともに見えるスーツ姿の青年が言葉を発しながら入ってきた。


「俺たち戻った」というプラカードを持った男、そしてかなり機嫌の悪そうな女。さらには、なぜいるのか分からないレゲエヘアーの子供と、何やら怪しいものを咥えているアヒルが入ってきた。あまりにも支離滅裂な構成だった。驚いたことに、あのTeam Artistの方がまだマシだったのか……!!!


「あなたが社長のおっしゃっていたガキ・シンクレア……エドワード・シンクレア君ですね。はじめまして、私はコンラート・ホフマン。この事務所の依頼専任主任です。よろしくお願いします」


(こ……この事務所に……ま……まともな人間がシンデレラ以外にも……)


「あ……ありがとうございます……」


「この事務所、大変でしょう? 社長も変だし……社員たちも……。ですが、皆、表向きはこうでも根は温かい人たちですから、そんなに悪く思わないでください……。まあ、一人を除いては……」


彼は白雪の方を向き、苦笑いを浮かべながら言葉を続けた。


「こちらはルーカス・ハルト。この友人はプラカードで会話しますが、仕事は本当にできる男です」


『新人、しっかり働けよ。お疲れ~』と、彼はまたもやプラカードを掲げ、頑なに喋ろうとしなかった。


「そしてこの子はライアン・ローレンス。年は若いですが、むしろ古参の私たちより行動力がある子なんです……」


「なんや、えらい熱い視線やな、ワレ」


「……?」


「おいコンラート、内臓ぶちまけとんのか? なんでそんなトロくさいツラしとんねん、ボケェ!」


「ごめんなさい……エドワード君……。この子……LAの貧民街育ちで……言葉がすごく荒いんです……。申し訳ない……」


「あの……コンラートさん……。このアヒルは何なんですか……?」


「グワッ!!」


「なんでこの子、咥えちゃいけない不法なものを咥えてるんですか……? 目つきも……なんであんななんですか……?」


「あ……この子は宮本武蔵。ライアン君が飼っている子なんです……」


「グワァァァァァァッ!!」


「この子はベアトリチェ・ウェスレック。エドワード君が属するシンクレア家と共に、欧州五大名家とされるウェスレック家の子です」


「……わざわざ挨拶する必要ある? コンラートさん。どう見てもすぐに死にそうなツラしてるけど」


「ベアトリチェお嬢様……!」


「私には理解できないわ。先輩がなんであんなゴミを連れてきたのかしら……」


「Hey...!!! ベアトリチェ、あのシンクレアBoyを侮辱しちゃいけない」


「Schyeah~! その通りだ Fweah~.... ベアトリチェ、お前の言葉は認められねぇな。あいつはああ見えて、俺たちと一緒に依頼に行って生き残った男だ」


「……あの新人の実力は、俺が認める……」


「ライムさん!? 今、起き上がっても大丈夫なんですか!?」


.


「俺をナメてるのか? こう見えても、ここはコンラート以外じゃ俺より古参はいねぇんだよ……。とにかくベアトリチェ、あいつの能力は俺がこの目でしっかり見た。あらゆる心理系の能力から電気、念力、ありとあらゆるものを使ってみせたんだ……。このライム・スワッガーが認めてやるよ」


「ふん……。自分が何様だと思ってるのかしら……」


「あ……ごめんなさい、エドワード君。あの子、ちょっと人と接するのが苦手な子で……」


「一言で言えばクソ女だな」


「同感だYO。meもそうThinkingしてたところだ」


(ルーカスのプラカード:それは認めざるを得ないな。うんうん)


「Fweah~!」


「要するに、救いようのないクソアマっちゅうこっちゃな。わかっとんけ?」


「認めるぜ、グラウンド。あの女は確かにクソ女だ。顔はアホみたいに可愛いんだがな……」


「皆さん!!! ちょっと……! なんで社員全員で同僚の悪口を言ってるんですか……!!!! 新入社員の方がいらっしゃるんですよ!? ただでさえ社長があちこちで無視したり見下したりして、業界の評判は最悪なんです……。社長がどれだけ無茶苦茶でも、皆さんは行動を律してください!!! 皆さんがそんなだと……うちの会社は本当に取り返しのつかない道へ進むことになりますよ!!!!」


「久しぶりだなぁ……コンラートのツッコミ。……そう、これこそが真のツッコミだ」


「meは感動の涙を流すYO……。そうだ、グラウンド、youの言う通りだ……。これこそがartだ……」


「Seeeeyeeahhhhhh................」


「そやな~!」


「グワッ!!(宮本武蔵)」


(ルーカスのプラカード:激しく同意)


「草(w)」


「どうして皆さん涙を流してるんですか……!! ああ……やっぱりこの会社は……救いが……」


「いいか、コンラート。よく考えてみろ。まともなのがお前一人で、異常者が多数派なら、俺たちが正常でお前が異常なんじゃねぇのか? おい、考えてもみろよ。元々、少数が異常で多数が正常。それがこの世の国ルール(基本ルール)だろ、お前」


「そやな。コンラート、おんどれが異常者なんやで」


「Schyeah!」


「それは俺も認めるぜ」


(ルーカスのプラカード:間違いない)


「草(w)」


「meもコンラートyouが異常だと思うYO」


そうだ!!!! この変人たちの集まりである『デミアン・デモニクスの何でも承ります事務所』にも、驚くべきことにまともな人間が存在していたのである!!! しかし、多数の変人がいる中でまともな人間が一人いれば、その分だけ苦痛も相当なもの……。ああ、コンラート!!! やはり変人たちに振り回されているのだな……!!!! このおじさんは、変人ばかりのこの救いようのない会社で、一人で変えようと努力する君の涙ぐましくも誠実な姿を見て、涙が止まらないぞ……!!!! ああ、おじさんはコンラート、君を応援しているからな!!!

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