嫁がスパイだった
「おはよう、恵は今日もかわいいね」
「修くんこそ、世界一かっこいい♡」
「いやいや、恵は宇宙一さ!」
俺の朝の日課。
嫁と惚気ること!
世界一幸せな時間だ。
「修くん、もう友恵が起きてくる時間」
「えーじゃあまた夜ね♡」
俺は、ネクタイを直し新聞を読む。
なになに、『A国またもや日本にスパイを送り込んだか』か。
また、仕事が増えそうだな…。
全く懲りない連中だ…。
「パパ、ママおはよー」
俺が新聞を読んでいると娘、友恵の登場だ。
眠い目を擦って俺たちに挨拶をする姿は愛おしい。
小学校1年生!
まだ、目に入れても痛くない!
「おはよう友恵、早くご飯食べちゃいなさい。学校遅刻するわよ」
「はーい」
我が娘、友恵はママの作った朝ごはんを無邪気に食べている。
その様子を俺もご飯を食べながら見る。
なんて最高の光景なんだ…。
俺は、今人生で一番幸せだ…。
「パパ、もうすぐ7時半よ」
「そうだな、じゃあママ、友恵仕事行ってくるよ!今日も早く帰るからね」
「はーい」
無邪気な返事をする友恵。
なんて可愛いやつなんだ。
ママに似て可愛い!
「じゃあ、行ってらっしゃい」
「うん、行ってくる」
俺は、嫁に見送られながら自宅のドアを開ける。
見上げれば満点の青空だ。
素晴らしい。
今日もいいことありそうだな。
駅のホームに着くとだんだん魔法が解け仕事モードになる。
そして電車に乗ると憂鬱だ。
はあ、今日も仕事多いだろうなぁ。
でも、ママと友恵のために頑張るか。
「閉まるドアにご注意ください」
仕事場へと到着する。
いつもの長いエレベーター。
そして、オフィスのドアを開ける。
まあ、いつものパターンだろうな…。
「課長〜〜〜。今朝のニュース見ました?また仕事増えそうですね…。もう僕凹んでます。事故ったタイヤぐらい凹んでます」
このうざいが憎めいない後輩は、井口。
俺の課の直属の部下。
うざい。結構うざい。だが、憎めない。
「ああ、分かってる。俺も、仕事が増えそうだなと思って来たよ」
「ですよねえー。なんか、朝一から次長が主宰の会議あるっぽいです。やっぱり、あの件ですよね…」
「まあ、そうだろうな…。ほら早く会議室行くぞ」
「はい」
俺と、井口は足早に会議室へと向かった。
会議室へと入ると、国際部の皆で埋め尽くされていた。
俺と、井口は近くの椅子に座ると。
ちょうど、次長が部屋へと入ってくる。
皆、深々と頭を下げる。
「次長の会議、長引かなきゃいいですけどね…」
「ああそうだな。てか井口静かにしろ」
次長は、特大のパネルの前に立つな否や険しい顔で話し始めた。
「諸君、朝のニュースは見ただだろうか。A国がまた我が国にスパイを送り込んだみたいだ。今から、情報を共有する」
パネルに、様々な人の顔写真がずらっと並んだ。
「では、今から疑わしき人物リストを共有する。担当になったものは、今日から尾行なり調査を行なってくれ」
「はい!」
「では、発表していく佐藤…」
次々と、疑わしき人物と担当が発表されていく。
しかし、中々俺と井口の名前が呼ばれない。
俺たちは、管轄外なのだろうか?
「以上、名前を呼ばれた人は早速任務に移れ。柴田と井口は残れ。お前たちには、手強いスパイの担当をしてもらう」
ん?
俺と、井口以外は会議室から出て行ってしまった。
部屋に残っているのは俺と井口と次長。
「では、最後に新しいスパイではないが新に発見した手強い諜報員を発表する」
パネルには、大きく顔写真が映し出される。
え…?
あ…。
は!?
それは見覚えのある写真だった。
今朝も見た顔だ。
「スパイの名は、柴田恵」
「うええええええええええええ!!!」




