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ガラパゴス・ガーディアンズ2 あるいは航空宇宙消防本部第十八小隊  作者: 霧山純
第七話「野良ギャング三姉妹と捕まった男」
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野良ギャング三姉妹と捕まった男・2a

 クロノ市警察は動き始めていた。

 ミリオナリオス財団の貨物船を誘導している水先(パイロット)船の動きは、すべて市警の緊急()出動()部隊()によって把握されていた。


 クロノ・シティ第二階層の外殻(四分の一球の膨らんでいる側)には、ESUの宇宙船が二隻待機していた。そこは乱気流と積乱雲が渦を巻く地獄のような場所だ。急ごしらえで編成された部隊には、二隻の特殊装甲宇宙船が割り当てられた。そのどちらともが、三十年前から働き続けているような年季の入った船だ。


 稲妻の光が、二隻の宇宙船に向けて怒り狂ったようにたたきつけている。宇宙船に落ちた雷は金属のボディを舐めるように前後左右に走り、側面や船尾に伸びている放電索から放出される。肩を並べている船同士を繋ぐように、いくつもの稲妻が走った。


 隊長を務めるエディ・マーカス警部は、一号船でさらなる情報収集を行っていた。クロノ市警の本署から、犯人に関する情報が断片的に寄せられていた。

 その犯行手口の共通点から、今回の貨物船乗っ取りは「エウメニデス」によるものだと推測された。それはギリシャ語で「慈愛の女神たち」という意味の、犯人に付けられたあだ名だ。実際に犯行を行っている人物たちが女性であるかどうかは、まだわかっていない。


 一つだけはっきりわかっているのは、慈愛の女神とは名ばかりで、奴らは目的のためには人命を奪うことに一切ためらいを見せないということだ。特に、彼ら(あるいは彼女ら)の犯行現場を目撃したであろう人物は、一人残らず殺害されている。たまたまそばを通りかかっただけの無辜の人々でさえ例外ではない。その残忍さに対して、皮肉を込めて誰かが「慈愛の女神たち(エウメニデス)」と呼び始めたことが、いつしか現場での共通のあだ名となった。


 水先(パイロット)船を操っている人物がどこにいるのか、すでにその位置は完璧にわかっている。なぜだか、その人物だけは身元が判明していた。マルコ・アントニオ・アルベルティーニという二十一歳のイタリア人だ。どのような経路を経て、クロノ・シティの第二階層でエウメニデスの犯行に協力するに至ったのか、それについての大雑把な資料が本署から届いている。どうやら彼は月近くのラグランジュ・ポイントで宇宙船オペレーターとして働いていたところを、犯人グループによって誘拐されたらしい。


 今はまだ、マルコを直接拘束するわけにはいかない。彼は今、貨物船のコントロールの全権を担っている。外から水先(パイロット)船を乗っ取り返す作戦は、すでに失敗していた。向こうにも手練れの技術者がいるようで、何重もの防壁がこちらからのアクセスを阻んでいた。こうなれば、貨物船が無事に不時着を成功させるのを見守るしかない。


 不時着が済み次第、開口部から階層を突き抜けて、犯人一味を一網打尽にする作戦だ。第二階層の表側には、応援部隊の船が二、三隻、もうじき到着するはずだと本署から連絡が来ている。だが、それがあまりあてにならないことは、マーカス警部の長年の経験からもよくわかっていた。挟み撃ちできれば御の字だ。最悪でも自分たちだけで犯人を追いつめなければならない。


 復興のどさくさを狙って略奪を働く悪党を、許しておくわけにはいかない。マーカス警部は純然たる正義感に燃えていた。

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