カザミ
一週間ほどたったのだろうか。
私たちは、島に到着した。
会話する中で分かったことなのだが、この男性の名前は、背我 高男というらしい。
皆からは、セガといわれている。
ちなみに、ツインテは 二引 丁琉らしい。
セガさんは島を案内してくれた。
この島はとても小さな島であり人口も少ない。
見た感じによると、子供が多い気がするが…。
子供は私たちの顔を見て顔が明るくなり、こちらへ来た。
「おかえりなさい!熊は退治してくれたの?」
「ええ。もう心配はないわよ。」
「やったー!」
子供たちが明るくなり、急にただ広い土地でサッカーをし始めた。
「この島って子供しかいないですよね…。」
セガさんは顔が暗くなった。
ツインテはその顔を見て、暗くなった。
ツインテの顔が暗くなったので私の顔も暗くしとこう…。
「つまり、この島にはもう大人は存在しないんですか?」
「精密に言うと、俺しかいない。」
「でも、子供がいるってことは大人は存在していたってことになりますよね?」
「ああ。だが、みんな薬にやられて死んだ。」
薬というと、病気を治すものだと思う。
そういうために使っていたら、薬が効かず病気で死んだかもって想定になる気がするけど…。
「その薬はこれだ。」
手にもっていたのは、少し黄色混じった白い粉であった。
「これって…、カザミじゃないですか?」
「知ってるのか。」
「適切な処理をしないと悪質な効果を放つんですけど、原料の花を育てるときに水を一切の不純物がない超純水で育てたら万能薬になるんです。」
この白い粉はカザミという。
原料の花もカザミというのだが、その花の花びらを方法はなんでもいいが粉末状態にすれば薬になる。
ただ、そのまま育ててもかなり悪質な中毒性の高い薬になり、その薬なしでは生きられなくなってしまう。
それだけならいいのだが、適切な栽培をしないと細胞を破壊する成分が含まれる薬が誕生する。
その2つが組み合わさる結果、死をもたらす薬としては有名だ。
「万能薬になるなんて聞いたことがないが…。」
「私もないわね。悪質な効果があるのは知っているけど。」
「カザミを適切に育てるのは本当に難しいんです。だから知らない人も多いはずです。」
私は、一冊の本を取り出した。これはこちらの世界に来た際に一緒についてきた本!
「こちらの本は、物理をも超えた医学系の本なんですけど、こちらの本にも書かれています。」
「それってそんな感じの本だったの?。」
まぁ見た目は本というよりはノートみたいなかんじだしね…でも中身はどの本にも書かれていないようなことが手書きで書いてある。
「ほら、ここに図解とともに書いてあります!」
文字はたまたま日本語だったため二人に見せた。
「確かに書いてあるような気もする…。書いてあることが難しいからよく分からないけど…。」
「まぁおそらくここらへんにカザミの育て方が書いてあるんだろうな。」
セガが指を持って行った先は確かに育て方が書かれている場所だった。
その場所は、鉢に育てているカザミの図が載ってある。
「お願いがあるんだが…、どうにかしてその万能薬になるカザミが作成できないか?」
セガは、持っているポーチから種を取り出した。
おそらく、カザミの種だ。
「頑張れば、できないことはないと思います。水以外にも栽培が厳しい条件があり、つきっきりで育てることにはなりますけど…。」
「実はこの島で原因不明の疫病が流行ってな。この島は他の島に関わりがほとんどない島なので、自分たちでどうにかするしかないという状況だったんだ。
今までこの島にだれかが来ることはなかったのだが、お前の殺したばあさんが急にやってきて薬を売ったんだ。その薬を与えた結果、確かに病気は治ったんだ。
だが、薬がまだ欲しいと皆はいった。最初は何も感じなかったが段々様子がおかしくなってきた。
私も疫病にかかったんだが、皆が欲するあまり数が足りなかったのでたまたま薬を頼らずにいた。苦しくて途中に意識がなくなり死と生の狭間を行き来していたが、私は生還をとげた。
私が元気になったころには、大人はみな以前のような姿とは変わり果てた何かになっていた。
ただ、この病はどういうわけか子供にかかっても風邪程度ですむ。だから子供には私の方から薬をしないようにと約束し、子供達は皆いきている状態だ。
だが、今後のことを考えたとき、万能薬があればいいとは思う。それだけなのだが。」
ばあさんというと、あの熊を信仰していた人か…。
それでは、なぜあのおばあさんと一緒にいたのか。
詳しいことはよくわからないが、なにか事情があるのだろう。
「大変だ!」
サッカーをしている奥の方から一人の子供が走ってやってきた。
急いでいたのか息を切らしている。
「俺の妹が倒れた!」
サッカーをしていた子供たちも走るのをやめ、心配そうに妹の方へ皆向かっていった。
私たち3人は顔を合わせそしてうなずく。
私たちも彼らの行く方向へ後を追った。




