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ラストプリズン プリンセス~前章~

私たちは、自分たちの裁量で決めるとんでもない採点システムの合格点に達することができた。

合格点に達した感想としては、正直何だったんだろうと思う。

ぶっちゃけここに来た意味あったのかな…。

タオルを畳みに来て、本を読んで終わったような…。

私たちが特殊ルールを設けていたから感じなかっただけなのかもしれないが、死刑の先、ラストプリズンと言われる割には、そこまできつさを感じないというか…。

なんなら、死刑より安泰な気もするんだけど…。


次の日。なぜかタオルを畳んでいた。なんで!?

100点をとったはずなのに…。

現在朝。私は一人でタオルを畳んでいる。

ふーくんさんはずっと寝てるし…。

「ねぇ。」

声の方を見る。

隣には、ラストプリズンにいる人の中では若い見た目をした少年がいた。

「お姉さん、何の罪をおかしたの?」

少年は、気さくに話しかけてくれた。

ここにきて初めて他人とまともな会話をしたぞ…。

「えーと。私ですか?私は、大量殺人&放火ですかね…。」

何人殺したかはわからないが、恐らく10人はいるだろうな…。

「見た目、そんな風にはみえないけどね。流石は初日に一般男性を片手で投げただけはある。」

まぁ私可憐な美少女だしね。そう思われても仕方ないか。

これが、人を見た目で判断してはいけないという証拠です。

「貴方は何の罪を犯したんですか?」

この人も見た目犯罪を犯す感じはしない。

なんなら、赤の他人が見たとしよう。印象がいい少年と思われるであろう。

「僕は、強盗殺人からはじまり、逃走生活をしてその間に1000人くらい殺したかなあ。途中で恋をしてさ。運命だと思ったんだよね。でもさ、そいつ僕のことを警察に連絡しやがったんだよ。でも僕は、諦めきれなかった。彼女を殺して、ずっと二人で逃走を繰り広げたんだよ。まぁついには捕まってしまったんだけどね。」

あれ。おもったより人を殺していた…。

見た目では判断してはいけない…。

私の100倍です。犯罪のインフレですか…。

「でもここは楽園だよね。だって法がないんだからさあ。」

「え、そうなんですか?」

まぁ、ここ思ったより自由だし、ないにこしたことはないか…。

「お姉さんは、ノルマ達成してないのにまだ死んでないよね。基本あの部屋に連れていかれたらみんな死んでくんだけど。なんと2回も殺されていない!だから皆お姉さんに聞きたいことがあるんだって。」

えぇ。そうだったんだ。

まぁ、私の場合は特殊ルールを設けられているから殺されていないだけなんだけどね…。

「どうやったらアマネと仲良くできるか、教えてくれる?」

なるほど。今こうして話しかけられたのは、アマネの攻略法を知るということか。

ただ、ここで考える。

この人、見た目は印象がいいけどやってることは大分えぐかった。

ここで、仲良くする方法を教えたとして素直にみんなに教えるとは思わないな。

「えーと、どうしても教えないとダメですか…?」

というか、仲良くする方法なんて私もわからないし!

言わなかったら何かされるとかないよね!?

「おい。」

私たちが話していると、ふーくんさんが来た。あれ?さっき寝てなかった?

「あ、彼女と一緒のタイミングで来た方ですよね。いやあ、本当の彼女だったりして。ちょっとだけ噂になってたり。」

かかか彼女!?

私とふーくんさんが!?

そんな風に見えるのかな!?

でも、私ってふーくんさんと年が少し離れていそうだし多分恋愛対象からは外れるよね…。

ふーくんさんって見た目はそこまで老けてるわけではないのだけれど、少し大人びてるから20代後半くらいなきがするけど。大分年は離れてそうではある。

今までそんな意識をしたことがなかったので、顔が赤くなった。


ブシャ。

その瞬間、私の視界も赤くなった。


「が・・・は。」


少年は血まみれになり生涯を終えた。


「ここは法がないんだろ?なら殺しても問題はないよな。ここはお前の言う通り人を殺しても罪にならないから楽園だな。」

ふーくんさんは、手を銃のようにしていた。

法がないなら人を殺してもOK。それはその通りではある。

いや決して、良くはないのだが。


この部屋の空気がヒリつく。


「どうして殺したんですか?」

「あいつ、普通に人を裏切るタイプだぞ。」

な、なるほど…。まぁアマネを懐柔させる方法なんて分からなかったから助かったかも…。

アマネと仲良くなる方法、頭にアルミホイル巻くとかなのかな…。

「でもそうじゃないかもしれないじゃないですか。」

なんだかんだ、印象はよかったし。少年だし。

「なんせ、ラストプリズンで結構生き延びているくらいだからな…。」

「ラストプリズンって平均何年生きればすごいんですか?」

「せいぜい半年じゃないか?」

半年!?

ていうか、なんでそんな情報を知っているの?

「まぁ後で話す。今目立っても仕方ない。」

確かに、なんというか、皆の視線を感じるような…。

ふーくんさんは、死体を放置して、いつもの席に戻り机に伏せて寝た。

この死体、どうしたらいいのだろうか…。


あの後、仕事の終了の合図とともに、アルミホイルを頭に巻いたアマネが出現した。

そして、派手にやったねといわれ、死体を片付けていた。

私が殺したと思われている!?

「ああ、ノルマの件なんだけど、今日は達成しているみたいね。」

え、10万枚たたんでないけれど…。

机を見てみると、畳まれたタオルが10万枚置かれてあった。

計測するカウンターもきちんと10万と表示されている。

えぇ!?なんで!?

「初めてじゃない?全員ノルマを達成しているのは。」

そうなんだ…。

でもなんで机に大量に置かれてあるのだろうか。

「そういえば、死体の彼はどのくらいここにいたんですか?」

「ずっとノルマは達成していたようだから知らない。でも確かに毎日顔は見てたかも。」

毎回ノルマも達成していたのか…。

でも確か、アマネの話によると普通に畳んでいると絶対に達成できないような枚数も設定されている日があるはずなんだよね。

やはり、なにかをして達成していたに違いない。



「ああ、あの激うまチャーハンをまた食べたいから、2人は私の部屋に来て。」

えぇ!?私も食べるの!?


「ってあれですよね。アマネさんに殺されない方法。料理な気がするんですけど…。」

パクパクパクパク。

「それはそう。ただ、これほどうまい料理、ほかのやつらが作れるかどうかは不明。」

パクパクパクパク。

「おい。なんで俺が囚人の全員分のチャーハンを作らなきゃいけないんだ。」

「今日は記念日として、特別にチャーハンを配る。」

「俺だけ激務なんだが?」

「寝ていたから問題ないだろう。」

少なくとも、少しは部屋の監視はしているのか…。

「と、いうか100点達成しましたよね!?いつ出られるんですか?」

私はアマネに問い詰める。

「すまないが今シルファが忙しいみたいでな。しばらくはまだ出れなさそうだ。」

そんな…。

まだ出られないのか…。

「それに、インチキをしてノルマを達成しているからたまには働け。そもそも100万枚、この場所で達成できる方法はないはずなのだが。」

「インチキ…?」

どういうことなのだろう。

ふーくんさんが私に話す。

「魔法をプログラムして、一定の仕組みを作るのは知っているか?」

「それって、独自で魔方陣を描くやつですよね。例でいうと、炎の次に水を出す魔法を出したい場合、最初に炎の魔法を南側から左回りで文字を描き、その中に水を出す魔法を右回りに文字を描くみたいな。すると、炎が出て水が後から出るんです。」

うまくは言えないのだけれど、伝わっただろうか。

魔法をプログラムすることは破滅魔法において結構必須分野だしね。

しかも、正解がないというか、無限に可能性を秘めている。

その分、知識と理解と根気が必要にはなるが…。

「それと同じだ。」

「でも、全然畳めていなかったのに急に現れるのはおかしいとは思うんですけど…。」

「目立っても嫌だからな。空間魔法を通じて、裏で作業をしている。例えば、朝から100万枚必要なら少なくとも1時間に15万枚畳んで足りると仮定する。1時間に15万枚畳める速度の時間調整、風魔法をうまく調整してタオルを空中で畳む。これを繰り返すことで俺が作業しなくてもノルマは達成できる。ただ、魔力の消費を常にしなくてはいけないため無駄な魔力の消費を抑えるべく寝ていたというわけだ。お前の今日の10万枚は少し余った分があったのであげただけだ。」

寝ているのにも意味があったのか!

というか、一時間に15万枚って結構きついよね?かなり魔力の消費量が激しいのではないだろうか。

最後に一気に現れたのはそういう意味があったのか。

まぁタオル盗まれるしね…。最後に出した方が安全だよね。

タオルを畳むことが分かった際、そのタイミングから魔法をプログラムしてそのシステムを作り上げる。

言葉でいうのは簡単だが、前日にノルマを伝えられたので少しは時間の猶予があったといえ、実際はなかなかできる所業ではない。

そのうえ、ここはラストプリズン。昨日、牢屋でふーくんさんと話をしていたときに分かったのだが、ここは無詠唱魔法しか使用することができないらしい。

一応話したことがあると言っていたのだが、いつ言ってたっけ…覚えてない…。

あまりにも複雑な魔法ではあるはずなのに無詠唱で使用しているところから、ふーくんさんの天才ぶりを確認することができる。


「もう無理だ…。」

ふーくんさんは倒れこんだ。

チャーハンを大量に作成しすぎたせいだ。

「全く、まだ足らないぞ。」

10皿ほど平らげたアマネが踏ん反り返っている。

先ほど牢屋に料理を持っていったのだが、感動するあまり皆が涙を流して食べていた。そして、お代わりが大量発生。ふーくんさんは無限に働かされていた。

まぁ、いつも生キャベツだしね…。そりゃ食べれるときに食べるよね…。

「たべるか?」

アマネはふーくんさんにチャーハンを食べさせていた。

ふーくんさんは少しして、その場で正座をした。


「今日殺した奴がいるだろう。」

ふーくんさんは疲れが取れたのか、話を始める。

「あの少年ですよね?」

「ああ、俺は耳がいいからな。寝ている間に囚人たちが何を話しているか聞く耳を立てていたんだ。まぁなんとなく今のラストプリズンの仕組みが分かったよ。」

耳いいんだ。知らなかった。

「あいつ含め、強いもの同士でグループを集めていたみたいなんだ。それで自分より弱い者に対して、カツアゲをしていたみたいだな。お前のタオルを盗もうとしたやつもどうにかノルマを達成しようとして、弱そうなお前をターゲットにし、タオルを盗もうとした。ラストプリズンというのは、完全弱肉強食の世界というわけだ。」

なるほど。実はそんなシステムが…。

確かに強い者たちが集まれば、他の弱い者たちが集まっても勝つことは難しいであろう。

「そして、特に今日殺した奴が、なぜか一番ラストプリズンで恐れられていた存在だな。」

あんな少年が…。

「お前に何かある前に始末した。それだけだ。」

「どういう風に恐れられていたんでしょうか。」

「さぁ。よくわからないが、皆はあいつのことを恐れていた。」

そこはわからないんだ…。なんだかよくわからないが、色々していたのか。

「お前には申し訳ないが、生きてもらわないと俺が困る。あいつに不安要素があったからこそ、殺しただけだ。」

そっか、助けられたといえばそうなんだけど…。

でも、やっぱ話し合えばなんとかなっていたかもしれないし、なんだかやるせない気持ちに襲われる。


「もういっそこの際、全員殺せばいいだろう。」

アマネがとんでもないことを言い出した。

「ここ、ラストプリズンはそもそも死人を出すために作られた施設。」

「どういうことなんですか?」

でもたしかに、ふーくんさんも先ほど半年生きていればいい方と言っていたな…。

「囚人たちを収監するにも1人辺りに結構お金がかかる。それは死刑だとしてもだ。」

「そうなんですか?」

死刑って言い渡されたらすぐ死ぬんじゃないの?

ふーくんさんが補足を付け加える。

「再審とかいろいろあるからな、死刑でも結構長い間生きていけるぞ。なんなら、結果次第では死刑から無期懲役に変わることもある。だから、途中でさらに上の刑が作られるようになった。ただ、ここラストプリズンに一度でも入れば、一生出られない。だから刑が変更されることもない。」

そうだったんだ、なんかいろいろ複雑なんだ。

「ここラストプリズンは完全無法地帯。だから人が死のうが問題ない。生きていける方法は少なからず残しつつ、低資金で運営されている場所。」

朝に思った、ラストプリズンの割にはそこまできつさを感じないという部分。

それを感じなかったというのは、私がふーくんさんやアマネさんが味方に付いていたからということなのだろう。

ここに入れば、夢も希望もない。

勿論入られるようなことをしたといえばそうなのだが…。

「全然気づけなかった…。」

「まぁ、お前もなんだかんだ、強い者の方だからな。ラストプリズンのシステムに気付き辛い部分はあると思うぞ。強いものほど、自由なこの場所を楽園とおもうだろうし。」

「え!?私強いんですか!?」

「ま、まぁ一般男性を片手で投げれる腕力があるくらいだから弱くはないだろ…。」

そんなすごいのかな?でもふーくんさんに褒められるということは、本当な感じがして嬉しい。

ニヤニヤしちゃう!


「喜んでる。」

「なんかきもいな…。」



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