邪神アマネの気まぐれ
カンカンカン。
何かの音が鳴る。
「起きなさい。」
「うるせー。」
「はい、その口答え-100点ですね。」
私は高い音で目が覚める。
牢獄の柵をみるといつぞやの女性が立っていた。
横にはフライパンを棒で叩いていた男性がいた。
シルファの手にはホワイトボードと-100点と書かれている。
「なんだお前?俺のお母さんか?」
「え、お母さんなんですか!?」
私は目を輝かせた。
「え、あ、はぁ?」
なんかめちゃくちゃ戸惑われた。え?なんで?
「あなたたちは今日から合計100点を取るまで囚人たちと共に行動を取ってもらいます。合計100点を取れば、罪は消えますので。」
「ちょっとまて。おれは人を殺してないはずだが。」
確かにそうだ。
「どちらにせよ、公園の木を荒らしたので公共物棄損罪で半年の監獄生活の判決は下ります。それよりも合計100点取るほうが早いと思いますが?」
「点はどうやったら増えるのでしょうか。」
「それは、私の独断と偏見で決めます。」
そんなぁ。めちゃくちゃだ。。。
「でも人を殺しておいてそんなんでいいんでしょうか?」
自分で殺しといてなんだけど、あまりにも甘い気がするのだが。
「ええ、私の独断でOKがでましたので。」
そうなんだ。素直に喜べないんだけど。
というか、この人権力持ちすぎてない?上の人達はこれを許していいのか?
彼は私にしか聞こえない声で、元の世界に戻るために早めに100点を取るぞと言った。
たしかに、100点を取れば罪がなくなるから監獄にも出られるはずだし。
やるぞ!100点をとるんだ!
「あと、服は洗っておいて申し訳ないのだけれど、こちらの服に着替えてね。」
こ、これは…!!!
よく見るシマシマの囚人の服だ!
でもこれって実際は日本では使われてないやつだけどね。。。
私は気づかなかったのだが、彼が服を渡す際に何かを取り出して、空間魔法で保管した。
「場所を移動します。移動場所はラストプリズンです。」
「ラストプリズンだと?」
彼はラストプリズンを知っているようだった。
「ラストプリズンってなんですか?」
「ラストプリズンは、極悪刑が下された者たちが収監される場所だな。」
なるほど…。やはり普通に出させる気はないというわけか。それにしては、彼は刑に対して罰が比例していない気がするけれども。
「知っているのならば話は早いですね。極悪刑とは主に、死刑にもできない方がよくなられる刑です。」
「死刑が一番重い刑ではないのですか?」
「死刑は、死ねば済みますから。ラストプリズンは、苦しみながら毎日を過ごす場所なのです。」
生き地獄を味わえる場所ということか。
どういう感じなのだろうか。
「あのアマネもラストプリズンに収監されている一人だな」
アマネ?なんか聞いたことあるような…。
うーん。
「あ、もしかしてアマネってこの世から恐れられている邪神の一人ですか?」
とても有名な神である。各々の世界に名前が知られている神の一人。あまりにも恐れられた存在のため神としても知名度が高い。
神というものはどこにいるか何のために存在しているのかあまり知られてはいないがアマネは自己主張が激しいため、神の中では素性が分かっている一人である。
彼女はただ殺戮としているだけの存在。自分よりも強いものをただ求め、殺す。ただ、それだけのために多くの命を奪っているのだ。
そのため、皆は邪神として扱っている。
邪神とは、様々な世界を悪い方向に進める神の名称だ。
でも、それだけ脅威的なのになぜラストプリズンで収監されているのだろうか。
「あのアマネに抵抗できる存在っているんですね…。」
「いいえ、抵抗はできませんよ。住み着いているんです。」
「え、どういうことですか?」
「なんというか、ご飯を食べさせたら住み着いてしまったのです。まぁ収監というよりは、看守側になっていますけどね。」
餌付け!?
ていうか、看守!?
「でも、私たち地味にwinwinの関係なんですよ。アマネによってラストプリズンは今は世界一脅威に満ちてる場所になっています。最近では極悪刑になる人がかなり減っていますので。」
「アマネ自身にメリットがそこまでない気がするのだが…。」
確かに。いくらご飯がおいしかったとしても神は食事をしなくてもいいしそこまで住み着く理由にはならない。
アマネ…あまりにも理解不能な存在。
そんな者がいるラストプリズン。どんな場所なんだろう…。
両手に手錠をかけられ、移動をした。
そして、私たちはラストプリズンへと着いた。
ラストプリズンの門はかなり厳重な管理をされていた。
シルファは、門の機械にある顔認証をし、門を開けた。
門が上にゴゴゴと音を鳴らしている。
「入りましょう。」
門の中には大きなドームのような建物がただ一つ、存在していた。
しかしその建物の周りには高い塀があり、逃げようと思っても逃げ切れるような場所ではなかった。
「なんというか、コロシアム?みたいな雰囲気ですね。」
「中はそんなことはないわよ。」
建物の中に私たちは入っていった。
入口には長いピンク髪を床に垂らした女性が一人で立っていた。
足と手には重りのついた手錠がかけられている。
こ、これがラストプリズン。全ての常識が覆されそうな場所だ。
「あら、いらっしゃい」
彼女は手についた大きな重りを少し床からあげながら顔に手を添える。
彼女の目は一切の光も通さない闇にいるのような深い目をしていてとても緊張が走る。
「あれはアマネだな。あまり関わりたくはないものだ。」
え。彼女があのアマネなの??背は低く、すごいかわいらしい女性だ。
「あらあら、私のことをご存じなの?」
「世界的に有名だと思うぞ。」
「あらあらあらあら?私って有名ってことは私ってまだ、恐れられているってこと?」
まさかあのアマネと会話することになるとは。
アマネは私たちの方に寄る。
「…?」
アマネは彼の方にいく。そして、ニヤッとした。
「まて。アマネ。彼らをいたぶるな。」
シルファは持っている閉じた傘をアマネと彼の間に挟む。
アマネはシルファの方を見る。
顔は可愛いのにオーラがすごい強い。
「あら。何のためにここにつれてきたの?」
「あとで説明する。」
「自分は天才肌で何でも出来て、それでいて周りをすごい見下したかのようなスカした態度をとる虫唾が走るほど気持ち悪い青年を、私がことごとく自信をぶち壊して、自尊心を亡くしてあげて、生き甲斐をなくし、これからの人生私に全てを狂わされるような生き地獄を味あわせてあげようと思っていたところ。私、こういう自信に満ちあふれた青年大好物。」
めっちゃいいますやん…。
なんというか、喋り方はかわいらしい女性なんだけどオーラに殺意があるんだよね…。
ただ何となく、彼女がアマネということは事実ということはわかる。
アマネとシルファは睨み合ったあと、アマネは目を閉じた。
「部屋は私が紹介する。」
裸足のアマネがぺたぺたといいながら、案内をはじめていた。
私たちは彼女に続いた。
道の途中。私は悲惨な絵を見たようだった。
生きているのか生きていないのか。その狭間を行き来しているような人たちが、牢屋の中にぶち込まれている。
辺りは血の匂いが散漫しており、吐きそうだ。いや、吐く。
私、吐きグセついちゃったのかな。
「ここよ。」
そこは、死体だと思うのだけれども、よくわからない何かがたくさん積み重なった黒い物体がある部屋だった。
まぁ、どの部屋もこんな感じだったけどね。
「入る前に掃除をしたいんだが…。」
「ふふ。」
アマネは私たちを無理やり押し込み鍵をかけた。
「それじゃ、私はシルファから説明を受けるから後でまた来る。」
彼女は私たちを置いて去っていった。
「こんなの、半年ででたほうがマシだろ。。。」
確かに…彼からしたらそうなるだろう。
私の場合は半年で出られそうにはないけど。
特に綺麗好きの彼は地獄のような環境だろうな…。
「恐らくだが、俺達の管理が難しそうだから入れられた気もするけどな。」
確かに、監獄であそこまで自由に生活されたら一溜まりもないか…。
「とりあえず、この人の死体片付けるか。」
そう言って彼は死体を一瞬で消し去った。
こ、これは…。
「物質の消滅魔法?」
「そうだ。まぁ申し訳ないけれども死体は物質と同じ扱いだ。」
「なんか、何でもできますよね。ふしだらさんって。」
私の知っている魔法を、魔力が足りているのかポンポン使っている。その上、詠唱もしていないし。
そういえばさっき、アマネも言っていた。
何でもできるとかなんとか。
アマネは彼を見ただけで見抜いていたことになるが。不穏なことは呟いていたけれども。
「別になんでもはできない。現に、元の世界に帰ることができないし。後、ふしだらはやめてくれないか…。ふーくんのがマシだ…。」
「ふーくんってふしだらから来てたんですね!」
「何でもいいから、とりあえず俺のことはふーくんさんと呼べ。」
ふーくんさんは、手にブラシを持ち水と洗剤で床をゴシゴシしていた。
「それにしても、アマネってやつは本当にろくでもないな…。」
ゴシゴシゴシゴシ。
やばい!ゴシゴシゴシゴシが気になる!
私は気を紛らわすために、踊り始めた。
ずっと踊っている私、ずっと掃除をしている彼、そしてーーー
「あらあら。これは何の儀式?」
帰ってきたアマネが真顔でそう言った。
「シルファから事情は聞いた。だが、私は言うことを聞くわけがない。なので今からお前たちを痛ぶり、殺す。」
「100点の話どこいったんですか?」
「聞いたけど聞いてない。」
いや絶対聞いているよね、この邪神。
流石アマネ邪神様。自分を貫く精神を持つものだ。
「痛ぶられたくなかったら、仕事をすること。」
「仕事!ヤバい!」
私はお金を稼ごうとして一銭も稼げなかった過去を思い出した。
これ、まずいんじゃあ…。
「仕事は、タオルを畳むこと。ノルマは一日10万枚。」
10万…!って多いの?いやたぶん多いのだろうけど。
「なんだそれだけでいいのか?」
「貴方は100万枚。」
「男女差別かよ。」
「違う。私が気に入っている人には、特別扱いしたくなる。」
つまりそれは、ノルマを上げて絶対達成させないようにしているということか。
そして、私たちに対して最悪死をもたらす行為をするということか。
恐ろしい。
「俺が何をしたというんだ?花の蜜を吸っただけなのに…。」
た、確かに。。。こうなったのは完全に私のせいである。。。
アマネは私たちの方に寄り、匂いを嗅いだ。
彼女は表情をかなり変えた。何があったんだろう。
彼女は明日からよと伝え去っていった。明日が怖い…もういっそのこと仕事会場をダイナマイトで爆破させたい…。
「二人から私と似た匂いがする…。」
アマネは建物の入り口で不思議そうな感情をあらわにした。




