魔法ではない不思議な力
私は先ほどのフラッシュバックで思い出したことがある。
お父さん。
私はお父さんを知らない。
お母さんも知らないようだった。
そこが不思議だったんだった。
だって、私がいるってことはお父さんが必ずいるってこと。
お母さんがはぐらかされているのか、本当に知らないのかはわからないが、とりあえずいるはずなのである。
まぁそんなこともあって、男の人と関わったことってあの世界で初めてだったんだ。
特にきちんと対話をして会話していたのはセガさんとこの人。
私のお父さんは今何をしてるんだろうなぁ。
路地裏から出て、街をうろついた所、公園があったのでベンチに座る。
うろついたところ、分かったことがある。
ここは、やはり日本である。
ただ地名がごちゃごちゃしており、ここがどこか分からないのだが…。
私と彼は、ぐぅーとお腹が鳴る。
「お腹、空きましたね。」
「元の世界に帰させてくれ…。」
彼は顔を伏せており、親指の横を上にして手を組んでおり、伏せた顔を支えている。あまり見えはしないものの、かなり絶望した顔になっていた。
「帰れたら、私だってお母さんのもとへかえってますよ!」
「よくわからんが、お前の力があれば帰れると思うぞ。」
え?そうなの?
「ただ、無意識ってことは力の制御ができていないってことだからな。結構詰んでるかもしれないってとこだな。」
力の制御かぁ。そもそも使い方すら知らないんだけどね。
「…ちょっとまて。」
彼は、公園にある時計を見てぶつぶついっている。
「…なるほど…する…い…かもな。」
「何言ってるんですか?」
「ん、いや。別に何もない。」
「気になるんですけど…。」
さっきまで絶望的な顔してたけど結構明るめになっていた。
何を言っていたのかは分からないが、何かをひらめいたようだ。
「とりあえず、お前のその力を制御できたら帰れると理解したところだ。」
え、今の間に何があったの?ていうか、制御できるの?
「この力ってなんなんでしょうか…?」
「それは、知らないなら知らなくてもいい。と、いうか使う者によって能力が違うから分からないのが正解なんだがな。」
成る程…?この力をある程度は理解しているということなのか。
「じゃあ、この力は私だけのものってことなんですか?」
「んー。どうだろうな。実際のところ、見たのは初めてだ。だから、俺も今のところは力の制御の仕方は分からないというところだな。まぁただ、似たような能力を使うやつはいることは今ここでわかった。」
ここで!?今の間に何があったの!?
だって、今ここに私と男の人しかいないし!
まぁでも、それは他の人も私の能力が使える可能性が高いというわけで、地球にワープさせたのはお母さんってこともあり得るってことだよね。
もしかしたら家に住み着いている幽霊の可能性もあるか!?いや、ないだろうけど。
「俺はとりあえず、その似たような能力を持つやつの文献を漁るしかないと踏んでる。」
「それって誰なんですか?」
「…。あー。俺の…知り合い?とか?」
なんか、めちゃくちゃ歯切れが悪い。
というか、文献っていった?それって偉い人とか昔の人とか有名人とかなのかな。
まぁ知名のある人と知り合いならプライバシーのことも気にしているのかなぁ。とか思ったり。
「まぁお前の知らないやつだろうから、とりあえずどうにかして俺が元の世界に戻せるようにしてやる。それまでの間この世界でどうにかして生き延びる作戦だ。」
なるほど!すごい希望が見えてきた!
「私も手伝います!2人のほうが時間2倍じゃないですか!」
「じゃあ、この世界で生き延びるためにお金を稼いできてくれ。」
「えぇ!?」
あの女が金を稼ぎにいったのを見送ったあと俺は時計も見る。
'あれほどの力を持っていてなぜ何も知らないのか?'
とても不思議でたまらない。自分では人間とは言ってるものの、どう考えてもただの人間とは思えない。
「そもそも、人間かどうかも怪しいけどな。」
そういえば、お母さんに会うとか言ってたか。
ん、お母さん…?この力…。
「まさか…。いや、可能性としては大いにある。」
俺は昔見たことがある。
真っ白な肌と髪、日焼け対策の黒い傘。そして何より儚げのある女性。それなのに凛とした赤い目は光っているように見える。
「どうも、始めまして。私はエデン。どうぞよろしく。」
エデン、それは大いなる神。あの女と同じ力を持つ者であると。




