おばさんなのかおばあさんなのかババアなのかはっきりしてほしい
着いた先はあちこち藁ぶき屋根の家が建てられている中の一軒だった。
おそらく、走ってきた男の子の家なのだろう。
私たちは勝手にその家にお邪魔をする。
中にはサッカーをしていた子供たちと彼らを呼んだ子供がいた。
奥には一人の少女が苦しそうに倒れていた。
私はその少女のもとへ寄る。
おでこに手を当てると、人間の通常の体温より高い温度なのが分かる。
「熱がありますね…。」
私も医者ではないので原因は分からないが…。
「まて、これは先ほど私が話した疫病にかかったのではないか?」
なるほど、これが噂の疫病か。
噂をすればやってきた…いやそんな冗談言ったらだめか…。
「でも子供がかかってもそこまで具合が悪くなるものでもないんじゃあなかったの?」
ツインテの言う通り、先ほどの話だと風邪程度で済むはずではある。
「彼女はもともと体が弱いから、他の子よりも悪化しやすかったのかもしれないな。念のために家には出ないようにはしておいたのだが…。」
子供たちは先ほどの元気をなくし、自分もこうなったらどうしようとか、どうにかして治さないとか、色々会話をしていた。
折角熊の件で元気が出ていたものを…。
ん?熊?
子供たちはおばあさんのいた島には行ってはないだろうし、あの島の熊を退治して喜ぶ理由が分からない。
先ほどの話によると、熊は一切関与はしておらず、カザミのことのみであった。
も、もしかして…おばあさんを熊だと勘違いしている…!?
「みんな!!おばあさんは熊じゃないよ!!」
子供たちに真実を伝えないと!
「おばあさんは宇宙からやってきた使者で、宇宙エネルギーを持つ花をみんなに配ってたんだよ!」
ま、まずい!大分真実から遠ざかった!ていうか何言ってんの私!
「ていうか、おばさん誰?化物?」
おばさんって私のことなのかな…。私今17歳くらいだと思うけど…。
いやでもおばさんではないだろう。
「おばあさんっておばさんのこと?」
「おばあさんじゃないよ、こいつはババアだよ。」
「ババア!ババア!」
子供たちがはしゃいでいる。
私は心の中でガキが…と思った。
「じゃあーツインテもババアになるよね!?」
「いや、おねえさん。」
違いはどこなんだ…。
私は声はかわいいはずなのだけれど、そこまで顔、重要か。。。
「ほら、病人の前で騒がないの。」
ツインテは今この状況を落ち着かせた。
日が暮れる。
サッカーをしていた子供たちはこの家を後にし、みんな各々の家に帰っていった。
「あんた、さっきの話どういうことなのよ…。」
ツインテは苦しそうな少女を介抱している。
「おばあさんを熊と勘違いしてるんじゃないのかなって思いまして…。
”おかえりなさい!熊は退治してくれたの?”
”ええ。もう心配はないわよ。”
この部分なんですけど…、先ほどの話によると、熊はこの島に何か危害を与えるようなことはしていないと思って…。」
「そんなことはないわよ?」
え、そうなの…???
「あのたたえられていた熊の名前、デストロイヤーちゃんと言うんだけど。あのババア薬を売る際に、普通にこの島に連れてきていたもの。そして、平気で薬によって亡くなったこの島の人の死体食べてたわよ。」
デ、デストロイヤー!?かっこいい!!
でもよくよく考えると神がしてはいけない名前じゃないだろうか…。
「ちなみに、デストロイヤーちゃん1号、2号、3号いるわよ。」
実はそんなにいたのか…。
「いや、少し納得しかけたけど宇宙とかなんとか変なこと子供に言うんじゃないわよ!」
そういって私のお腹を腹パンした。私も少女と同じように介抱してください…。
「かなりつらそうね…。」
ツインテは額につけていた濡れたタオルを交換している。
「カザミを適切に育ったとしても、咲くまでに10日はかかります。なのでそこまで体がもつかですが…。そして、カザミは万能薬とは言いました。ただし、自分の免疫を活性化させる効果があるのみで、病気を治すのは自分自身の力になるんです…。」
彼女の場合、体が弱いと言っていた。元々免疫力があまりないのであろう。
カザミを育てるのに成功したとしても、病気が治るかどうかは分からない。
それでも…やらないよりはましか。
「セガさん。ツインテさんが介抱している間、カザミを育てましょう。」
あとはツインテに任せて、私とセガさんはカザミを育てることにした。
夜なので冷たい潮風が吹く。
寒い。それでもやらないと。
「まずは、カザミを育てる為の丁度いい容器を探さないとですね。。」
種は容器の中で育てる。土に埋めるとカザミ自身に不純物が入り込むからだ。
でもちょうどいい容器ってどうでもいい時にあって、必要な時には捨ててたりするよね…。
「それなら、海の方に流れ着いてきたゴミがあるからそこで見つければいいだろう。」
海の方へ向かう。
来た時にはそこまで意識をしていなかったがかなりのゴミが積みあがっていた。
ゴミが海水に浸かっていることもあり、容器を綺麗にすることから始めないといけない。
「あ、これとかいいかも。」
私が拾ったのは中身の入ったペットボトル飲料だった。
ラベルは年季が入っていた為中々読めないものの茶ということだけは分かった。
喉の乾いたしお茶飲もうかな…。
私はキャップを開け、中のお茶を飲んだ。
お…茶???にが…いや臭すぎる!おええ…
私は思いっ切り海に吐いた。
「なにしてるんだ…。」
セガさんが私のところにきて介抱した。
とりあえず、先ほど吐いたお茶の容器をとてつもなく洗い、許容範囲のレベルまで綺麗になった。
ペットボトルを、刃物で半分に切る。
半分に切った底の方に島の人たちに譲ってもらった綿を詰める。
「これでとりあえず、土台は完成ですね。」
その綿の中に種を植える。
あとは純水をこまめにあげることと、温度管理、日の管理だろうか…。
「続きは明日にしよう。」
セガさんの家に招かれ、家にあるベットで寝た。
セガさんは床で寝ていた。




