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第4話 なんかラブホにイクっぽい

俺はカフェの店内でラブホと大声で叫んでしまった。だからもうこことはお別れだ。

はい。もうここには来れません。恥ずか死する。


「逆にラブホ以外がお望みだったのかしら?もちろん私は構わないわよ?公園?公衆トイレ?それともハプニングバー?どれも捨てがたいわね、鷹村くん♡」


声のトーンがどんどんと軽快になり若干にやけている柴乃宮。


だから何言ってんのこの生徒会長。ってか経験豊富過ぎないか!?そんな経験されてたらもう俺辛すぎるんだが……


一度彼女の口から言われてしまうと、どうしても考えてしまう。

俺はそのことが気になってしまいパンドラの箱に手を伸ばす覚悟を決めた。


「柴乃宮はその……ラブホ以外も、経験あるのかよ」


そんな俺の腰の抜けた質問に彼女はさらっと返してくる。


「ないわ。だから興味あるのよ」

「ないのか……よかった。ちょっと安心したよ」

「なんで鷹村君が安心しているかわからないけど、あなたがいいならよかったわ」


んーなんだろう、さっきから見え隠れするこの強烈な違和感は……

そして勝手にここまで話しを進めておきながら今更感もあるが、一応俺たちは学生なワケで、ホテルに行く前にとっても大事な確認事項がある事に気づく。


「そういえば柴乃宮は泊まる事、親御さんにちゃんと言ってあるのか?」


俺が放った何気ないその一言が彼女の琴線に触れたようだった。

彼女は急に表情を曇らせると、まるで興味ないかのようにきっぱりと言い切る。


「私は両親なんかに許可を取る必要はないわ、先月18歳になったし立派な成人よ。結婚だって出来る。もうあんな人たちの世話になる気はないわ」


だが、その言葉を言った後の彼女の表情には、拭いきれない寂しさとわずかな怒りの色が見え隠れしていた。

俺はそんな彼女の表情から彼女がウリをしている理由は、一筋縄ではいかない事情が絡んでいる事を暗に察する。やはりその根は想像以上に深そうだ。


「鷹村君。あなたはどうなの?私なんかとホテルに行っても大丈夫なの?」


彼女も全く同じ質問で返してくる。まあお互い学生だから仕方ない。

そして俺も、彼女と全く同じでそれが琴線だったりする。


「ああ、俺一人暮らしだから……」


俺は嘘をついてはいない。

でも本当のところはもっと複雑だ。

それに、これは俺の問題だし彼女に話す理由も義理もない。

むしろ、今は俺が彼女を救ってあげる事が優先だ。


「一人暮らし?それは、なかなか鷹村君も大変そうね」

「まあな、お互い……似てるところがあるかもな」

「似てる所?………そうね、そうかもしれないわ」


彼女は少し嬉しそうに微笑んでいるように見えた。

そして、すぐにいつもの冷静で、少しだけはにかんだような美しい表情に戻って話しを進めてくる。


「じゃあ今日はラブホって事でいいかしら?着替えはいらないわね?」


正直な話、彼女とラブホに行けるのは嬉しい。

でも、それは友人や恋人としての行く場合の話。

彼女を買ってホテルに行くのは俺が嫌っていた、あのおっさんとやっていることは同じだという点に強い嫌悪感が湧く。


俺はそんな彼女の質問に些細ささいな抵抗をする。


「マジでそれ以外の選択肢はないのか?」

「ないわね」


即答。ただほんのちょっとの妥協案をその後つづける。


「それか鷹村君の家なら私はいいけど、迷惑よね?」

「迷惑ではないけど……クソ汚いから申し訳ないし、俺が掃除しとくからまた今度な?」


俺がそう言うと、彼女は一瞬驚いたような顔を見せ、すぐに俺に向けてクスッといたずらな笑みを浮かべてくる。

それを不思議に思った俺は彼女に尋ねた。


「どうした?柴乃宮?」

「ふふっ……なんでもないわ。鷹村君」

「……そっか?」


まあそこまでたいしたことではないだろう。さらっとそれを流すと、俺は充実感と共に、ほんの少し目を閉じる。

今考えれば、そんな何気ないやりとりも俺にとっては癒やしだったみたいだ。

久しぶりにこんなに誰かと話をした気がする。

しかもこれから人生初のラブホなのだ、しかも、柴乃宮と。


俺はすぐに臆病になってしまう自分の心に活を入れると彼女に伝える。


「じゃあ行くか……」

「ええ、行きましょうか……あ、それとホテル代は鷹村君持ちだから」


いやだから、その手慣れた感じマジで心に来るからやめて……


俺はボロボロの心を引きずりながら彼女とラブホに向かうのだった——



次回:チェックインってどうやんの?


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