第29話 夜は生徒会長にパイタッチ…
楓パイタッチ事件のあと、もう少しだけ練習した俺は夕暮れと共に家路についた——
【霞:仕事終わったから先帰る】
そんなメッセージを残して霞は先に家に帰っていったようだ。
ぶっちゃけ俺は家に帰るのを躊躇するほどガクブルしていた。恐妻を持つサラリーマンの気持ちが少しわかった気がする。
家のドアの前まで来ると、震える手でドアを開ける……するとそこには何も変わらない日常があった。
笑顔の霞。美味しい食事。逆に怖い…
とりあえず話をするにも、一度気持ちをリセットして臨みたい。
罰があるなら甘んじて受け入れよう。
今日の事は事故とはいえ弁解しようもない。逆に俺が霞の立場だったとしても怒るだろう。
それこそ丸山がアクシデントで霞のおっぱいを揉もうものなら、原型をとどめない程に叩き潰す。要するにそれくらい俺は悪い事をしたってこと。
俺は汗を流そうと駆け足でシャワーを浴び、すぐその日の食卓に付いた。
————
あらかた食事を進めた俺は、あえて自分から例の話題に触れようと試みる。
「なぁ、霞……」
「どうしたの恭介?浮かない顔して」
心配そうな表情で俺を見つめてくる彼女に罪悪感を煽られる。
「今日の……楓との事なんだけど……その……ごめん」
なんと言っていいのかわからず言葉に詰まってしまう。
そんな俺を見て霞はプッと吹き出して笑い始めた。
「ふふふっ♡それならもう私、怒ってないわ。あのあと楓から連絡貰って色々納得したのよ。もしかして恭介それずっと気にしてたの?」
「……ああ、土下座しようかと……」
「土下座?《《ご主人様》》が?似合わないわ」
「おいっ……今は真面目な話を……」
笑いながら表情を緩める彼女を見て、俺は緊張の糸が切れたように全身から力が抜けていった。
「最初は楓に一切触らないようにしてたらしいわね?恭介らしくて笑っちゃった」
「おまっ!?こっちの気も知らないで!?」
楓……お前どこまで言ったの?恥ずかしくて死にそう……
「でもね恭介……」
コホンッと咳払いをした彼女は急に真面目な表情に変わる。
これはたぶん何かくる……
「あなたが楓のおっぱいを揉んだ事実は変わらないわ」
ほらね……
「すいません……反省しております……」
俺は瞬時に深々と頭を垂れた。
「いいわ、許してあげる。その代わりにこの後、私と一緒にお風呂入るわよ」
「……えっ?」
……………なにがどうなったらそうなるの?
完全に置いてかれている俺を気にせず、彼女はどんどんと話を進めてゆく。
「あなたの手は今、楓のおっぱいの感触が残ってる状態よ。私はご主人様を寝取られた気分なの……私ドMだけどNTRの性癖はないわ。だから私のおっぱいの感触であなたの手を上書きするのよ。まあ、よくある中○しで上書きの亜種みたいなものね」
真剣な顔でなんて事言ってるの?……男の俺が引くって結構だぞ?
「理由はわかった……でもなんで風呂でするんだ?」
「それは……」
俺はどうやら痛いところを突いたらしい。
彼女は急にうつむいて身体をもぞもぞと動かしながら黙り込む。そして一呼吸置いてこんな事を言ってくる。
「それは………布団入るときまで我慢出来ないからよ……」
……んぁぁぁぁぁ!!可愛いすぎかよ!こういうのは反則だろ!?
ボソッとつぶやく彼女に俺はキュンとしてしまった。
「わかったよ。いいけど………いいけどあれな、その、エッチは無しな?」
「……………チッ」
うつむく彼女の口元から明らかな舌打ちの音が響く。
チッじゃないのよ!?危ねぇ、狙ってたな……こっちだって我慢するのきついんだよ?生殺しで!
「あと電気は消してくれ……恥ずかしいから………」
「仕方ないわね……私は全然いいのだけれど」
「こっちがよくないの!お願い暗くして!」
明らかに女子が言う台詞であろうものを俺が言う。
なんだろうね、ちょっと悲しくなるよね。
へこむ俺とは真逆に、彼女はガタッと勢いよく椅子から立ち上がると俺の方に身を乗り出し満面の笑みで言い放つ。
「じゃあ早速お風呂行くわよ!!恭介!!」
————
先に浴室に入った俺は電気を消して浴槽に浸かり、外で待っている霞に声を掛ける。
「霞……いいぞ……」
この時点で既に俺の心拍数は爆速。ガチャリと浴室の扉が開き霞が無言で入ってくる。なんだかんだ彼女も恥ずかしいのかもしれない。
「恭介……入るわね………」
「ああ………」
彼女の裸を直視出来ない俺は壁に目線を追いやる。
美人は3日で飽きるって言ったヤツ出てこい。飽きるどころか日々魅力が増してる気がするぞ?
気づけば彼女の気配がすぐそこまで来ていた。チャポンと浴槽の水面が揺れ彼女がするりと入ってくる。
そして俺の足の間に腰を落とした彼女は、当然のように俺の胸に背中をもたれかけてきた。バックハグするような姿勢。俺は両手のやり場を失い腰の後ろにしまい込む。
しばしの静寂。水の揺らぐ音だけが辺りを包む。
「恭介、手がどっか行ってるわよ?後ろからギュッてして」
「……わかったよ」
やっぱり鋭い…俺はゆっくりと手を伸ばし彼女の腰にそっと回す。
彼女の腰は折れてしまいそうなほど細くて繊細だ。
「恭介、おっぱい触って……」
既に緊張と高揚で手が震え始めている。マジで辛い。少しでも気を抜くと理性がどっか行ってしまいそうになる。
俺は意を決して彼女の大きな膨らみに両手を添えた。少し触れるだけでもスベスベでふんわり柔らかく、俺の手から溢れてしまうほどの大きなおっぱいに息を呑む。
「………っ♡」
彼女から甘い吐息が少し漏れた。それに反応しないよう抵抗しようと俺は下半身から意識を外す。
「ちゃんと揉んで……楓のを揉んだみたいに。じゃなきゃ上書きできないじゃない」
「おまっ……わかったよ……」
ムニュ、ムニュムニュ……
「………っ♡……あっ♡」
彼女の吐息があからさまに大きくなり、ハァハァと息を荒げ始めているのがわかる。
そして昼間の楓のおっぱいの感触がフラッシュバックする。俺はそれをかき消すように霞のおっぱいを何度も揉んだ。
不思議と楓の感覚が消えていくようだった……霞の言っている事は間違ってないかもしれない。
我ながらこの状況は意味不明。付き合ってもいない高校生の男女が一緒に風呂に入ってバックハグしおっぱいを揉む。不健全極まりない。でも幸せ……俺は馬鹿野郎だ。
「恭介……楓と私、どっちのおっぱいがよかった?」
ボソッと囁く彼女。何言ってんだ、聞くまでもない。
「そんなの霞に決まってるだろ……………」
自分で言ってて恥ずかしい。字面はスカしてるけどおっぱいの話だよこれ?
彼女はクスッと小さく笑って俺の方へと顔を寄せてくる。
ほんの数センチ先にあるその笑顔は、暗がりの中でさえ驚くほどはっきりと見える。
「そう…その言葉忘れないでね?」
彼女はナチュラルに俺の頬にキスをして耳元で囁く。
「恭介……あなたも生殺しで辛いと思うんだけど、私もそれは同じよ?だから…………」
その言葉は内容とは裏腹に不思議と俺の心に響いた。
そうだよな、俺もそろそろ覚悟を決めないといけないよな……
しかしその続きは紡がれることはなかった。
「ううん……なんでもないわ」
彼女は俺の胸に全てを預けるかのように寄りかかってくる。俺はそんな彼女をもう一度ギュッと強く抱きしめた——
次回:お姫様だっこして校内爆走なう
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