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第28話 放課後の練習でパイタッチ…後編

楓のおっぱいが当たるのが気まずいという考えを見事見抜かれ視線を落として固まる俺。


「…………………」


楓はある意味初めての友達になるかもしれないのに(しかも女子)……俺キモいって思われてもう終わりだわこれ……


たぶん相当に目が泳いでいたと思う。そんな絶望を抱える俺の横で、なんと彼女はカラッとした笑い声を上げたのだ。


「ははははっ!!なんだぁ、そんなことだったのかぁ!!もぉ早く言ってよぉ……よかった、あたしが臭いのかと思った」


いや言えないだろ普通!?スポーツしてたら言えるもんなの!?おっぱい触っちゃうって!?


「そんな事って、楓!?」

「鷹村そんなの気にしなくていいよ、スポーツしてればそんなこと沢山あるんだから!」

「そう言われてもなぁ……」

「でも鷹村……気を使ってくれてありがと!あたしって男っぽいのか、男子も茶化したり下ネタとか言ってくる事ばっかであんまり女扱いされた事ないんだよねぇ……だから嬉しかったよ!」


たぶん楓は間違ってる。男っぽいからじゃなくて可愛いからこそ、あえてそうやって絡んでるパターンだよこれ……だって明らかにスタイルも顔立ちも学園上位クラスじゃん……


「しかも陸上って露出多い服着る事も多いから、それ目当てで見にくる男も結構いるし、ストレッチ手伝うとか言って触ろうとしてくるバカも多いんだよね。でも鷹村なら安心できるよ」

「そうか、それはちょっと良くないよな……」


色々煮え切らない俺に彼女は笑顔で笑いかけながら肩を組んでくる。

彼女の細い腕が俺の首筋に触れると俺は甲斐性もなくドキッとしてしまう。


「そんなことより私は勝ちたいの!私のおっぱいをくっつけて勝てるなら全然くっつけるし、鷹村になら揉まれたっていいよ!減るもんじゃないし!」

「バカッ!減る減らないの問題じゃないだろ!そんな事いうなって!」

「えへへっ!」


こっちまで笑顔になる明るい太陽のような笑顔。たぶん俺が霞に惹かれてなければ一発ノックアウトだろう。


「じゃあ鷹村……覚悟はいい?あたしのEカップのおっぱいが密着する覚悟は?」


………えっ?今の流れでカップ数言う必要あった?それセコくない?


「おまっ!?茶化すなって!!」

彼女はまた『えへへっ』と笑うと、俺の腰に手を当ててグッと引き寄せてきた。


     むにゅん♡


気持ちの準備が出来ないまま、彼女の自称Eカップが俺の胸の辺りにぴったりとくっつく。

なぜだろう、霞や唯先輩とは違いめちゃくちゃ柔らかく感じる。どこにもカタいブラの感触がないのだ……

俺は別の意味で鼓動が速まってしまう。何考えてるんだ俺ッ!メッ!


「鷹村もあたしの腰に手を当てて引き寄せて!ほらっ!グッと!!」

「ああっ……わかったよ……!」


俺は覚悟を決めて彼女の腰辺りに手を置くと、強く引き寄せる。

服の上からでもわかる女性らしい柔らかい触感の奥に引き締まった筋肉を感じる。

ふと彼女の横顔を見るとそこには今までの明るい楓の表情はなかった。

ただ前だけを向き真剣な表情をする彼女。これが彼女の本当の顔なのだろう。

少しでもやましい考えを持った俺を殴りたい……


「じゃあ行くよ鷹村!」

「おうっ」

「「せーのっ」」


そう言って俺たちは走り出した——


————


フォームを変えた効果は大きく、まるで一つの身体になったかのように俺たちは安定して走る事が出来ている。すると彼女がどんどんと足の回転を上げてきた。


「鷹村!もっと早く!出来るでしょ!!」

「たぶん…!」


流石は陸上部のエース。息ひとつ乱さずさらに加速していく彼女に俺は無我夢中でくらいついてゆく。もはや根性だけが頼りだ。

そしてそのままゴールに決めていた場所まで一気に駆け抜けた——


「「ハァハァハァ……」」


俺たちはゆっくりと歩調を緩めながら、フォームを保ちクールダウンを始めた。

肩で息をしつつ、次第に落ち着いてくる鼓動とともに足を進めていく。

そんな時だった。彼女が明らかに緊張したような、少しだけ上ずった声で俺に話しかけてきたのは。


「たっ…鷹村?……あっあのさ……」

「ん?」

「そのっ、私は別にいいんだけどさ…その………」

「どうした楓?」


どんどんと顔を赤く染めてゆく彼女。俺はその理由が皆目見当も付かない。

何かを察しようと彼女の横顔を見つめてみると目がグルグルと回っているようにさえ見える。


「そのっ……手っ………手がさぁ………」

「手?」


集中しきって視野が狭くなっていた俺は、その声に引かれ手に意識を持って行く。

……ん?さっきとなんか感触が……………??



    ムニュムニュ……



「ちょっと!?たかむらぁ………んっ♡」


……えっ!?何その声!?


急に色っぽい声を上げた彼女。その違和感に背中を押されて、俺は彼女の腰に当てていた手の方を見る………

すると既に彼女の腰には俺の手はなかった。


俺の手は彼女のおっぱいを包み込むようにしっかりと添えられ…無意識に揉んでいた……


「ああぁぁぁぁぁ!!ごめんごめんごめんごめん!!待ってくれ!そんな気は!?」

「だっ……大丈夫!!あたしがペース上げすぎて掴むのに必死だったんだよね!?」

「マジでごめん!!マジで!!俺を殴ってくれ!!いっそ殺して!!!いや死にたい!!いや今死にます!」

「大丈夫だよ気にしないで!!揉んでもいいって言ったのあたしだから!大丈夫だよ鷹村!!」


動揺どころか心臓が喉から飛び出そうになる。むしろ心臓がそのままどっか行って死にたい。何やってんだ俺。キモさの限界突破。彼女も失望させたかも……


そして悪い事とは続くものだ……身体の芯まで凍り付くようなとんでもない殺気が近くから俺を貫いた。俺は楓から顔を逸らしその殺気の出所を探る。


「……………ふーーーーーん…………へーーーー…………………」


毎日聞き慣れた声が数メートル先からする。それは殺気の出所と全く同じ場所。


「かっ……霞……」


何か大きな荷物を抱えた霞がそこにいた。それもあからさまに怒ったご様子でいらっしゃって…


「へぇ………ずいぶんと練習に()が出るわねぇ恭介……揉んでもいいって言われたの?なんの練習かしらねぇ?」

「霞っ!?これは誤解でっ!?」


そんな俺の話に耳を傾ける事もなく、霞は身を翻しスタスタと目の前を歩き去ってゆく。そんな彼女に少し遠くから声が掛かった。その声は紛れもなくあの男、丸山の声。


「柴乃宮さんこっち!」

「五月蠅いわね!!そんなに騒がなくても行くわよ!私を誰だと思ってるのよ!!丸山くんは少しその耳障りな声を出す口を閉じてて!!」


結構な勢いで怒鳴り散らかす彼女。


…………丸山、俺お前のこと嫌いだけど……これはごめん………


「あららぁ………なんか怒ってるねぇ?どしたんだろう柴乃宮さん?」


俺の横から明らかに空気が読めない楓の明るい声がこぼれた。

俺はそんな楓に少し呆れながら額に手を当てて『はぁ』と深いため息をつくのだった——




次回:夜は生徒会長にパイタッチ…


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