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第13話 ふつつか者ですがよろしくお願いしますご主人様♡

そこはとあるマンションの7階の一室——


「ただいま」


俺はいつものように玄関のドアを開けそう口にすると、薄暗い廊下が静かに出迎えた。壁のスイッチを押して電気を付ける。それは見慣れた光景。

しかし今日は少しだけ違った。


「……おじゃまします」


俺の背後から遠慮がちに霞の声が届く。不思議とそれが心地よかった。

胸の奥がほんのりと温かくなる。そんな感じ。

俺はそんな気持ちを誤魔化すように靴を脱ぎ、彼女を迎え入れた。


「ちょっと狭いけど、適当に靴脱いで上がってくれ。霞の荷物はとりあえずリビングに持っていっても大丈夫か?」

「ありがとう恭介、むしろ気を使わせてしまって悪いわね」

「大丈夫。気にすんな」


俺は短い廊下を渡ってリビングへ行くと、霞から預かっていた荷物をソファの上に下ろす。


「なんか新鮮だな……そもそも友達も呼んだことなかったのに」


しかも初めて招いたのは女の子で、しかも同棲からスタートだ。どう考えてもだいぶロックな人生。眩暈がしそうだ。


「恭介〜どこにいるのかしら〜?」


廊下から彼女の声が響いてくる。俺はその声でふと我に返ると彼女へ呼びかけた。


「霞、ここがリビングだからこっちに来てくれ!」


俺の家の間取りはいわゆる標準的な3LDK。廊下の両側には二つの小部屋と浴室、それにトイレ。その先にはリビングとキッチンとベランダ、そして少し広めの俺の部屋が並んでいる。そんな感じ。


「汚れてるって言ってたけど綺麗じゃない?」

「そうか?意外と隅は汚れてるぞ?」


リビングに来た彼女はゆっくりと部屋を見回しながら歩き回っている。

そこには食事用のダイニングテーブルとL字ソファ、その前にローテーブルとTV。余計なインテリアも置いていない。

そんな殺風景な部屋を物珍しそうに色々見て回る彼女をへ声を掛けた。


「なにも面白いものないだろ?」

「そうかしら?私、人の家にあがった事もあまりないし、初めての男の人の部屋だから色々興味深いわよ?意外と恭介の匂いがしないものなのね」

「俺の匂い!?」

「よく言うじゃない?男の部屋の匂いってやつ。噂だと子宮に()()って聞いてたから少し期待してたんだけど」

「お前!?そんなの期待してたのか!?ってか恥ずかしげもなくそんな卑猥な言葉を言うなって!」

「卑猥?私は動物的な本能の話をしているのだけれど。むしろ恭介は何を想像してるのかしら?」

「べっ、別に何も!」


そんなすました言い方をしながら彼女はこちらに顔を向けてクスッと笑う。

確信犯だ絶対。

最近彼女と一緒にいてわかってきた事、それは彼女の美しい容姿や清楚な雰囲気からは想像出来ない程にだいぶ脳内がピンクに染まっている可能性があるという事。

思春期の男以上に。

仮に霞が彼女ならそれは喜ばしい事かもしれない。だがそうじゃない場合、話は別だ。生殺しみたいなものだ。


俺はとりあえず自分を落ち着かせる意味も込めて彼女に飲み物を提案する。


「俺コーヒー飲むけど霞も何か飲むか?なんか喉渇いちゃって…」


主に彼女のせいでね……


「あら?いいの?」

「アイスコーヒーならすぐ出せるけどそれでいいか?」

「ええ、いただくわ」


俺はキッチンへ行き冷蔵庫からコーヒーを取り出すと2つのグラスに注ぐ。

そしてリビングにいる彼女に「ここに置いとくな」と声を掛けるとソファ前のテーブルにグラスを2つ置いてソファに深く腰掛けた。


「ありがとう恭介」


彼女は俺の隣にそっと腰を下ろすと手にしたグラスから一口を静かにすする。

その何気ない仕草だけで、俺は妙に嬉しくなってしまった。


そういえば、誰かとコーヒーを飲んだのはいつぶりだろう?思えばここ数年ずっと1人だった…


ふぅと軽く息をついた彼女は、俺が用意しておいた自分の荷物を見つけてそっと手に取る。


「さてと……」


そんな言葉と共に、俺の目の前で彼女は荷物を少し漁ると何かを取りだす。そして、ブレザーを脱ぐといきなり制服のブラウスのボタンに手を掛けはじめたのだ。


「私、部屋着に着替えるわね?」

「おっ、おい霞!?着替えるって!?」

「少し楽になりたいから部屋着に着替えるだけよ?」

「着替えるだけって!お前ブラウス脱ごうとしてない!?」

「当たり前じゃない。下着にならなきゃ着替えられないでしょ?別に下着くらい見慣れておいてほしいわね、私たちこれから一年も一緒に住むのよ?」


まるで当然のようにボタンを外してゆく彼女。

既に半分以上ボタンが開けられたブラウスの隙間から、黒いレースの下着に包まれた彼女のまんまるなでっかいおっぱいと深い谷間がこれでもかと俺に主張してくる。


「それはそうだけどもうちょっと段階ってもんがあんだろ!?ってか話してる間もボタン外していくのやめろって!!ああ!もう!……俺も隣の部屋で着替えてくるから終わったら声掛けてくれ!!」


ダメだって!急に脱ぐとか童貞の俺には厳しいって!!もうおっぱいが『こんにちわ』してるって!


俺は急激にバクバク鳴り始める心臓を抱えて、リビングから勢いよく飛び出した。

家に帰ってきてまだ数十分。たったそれだけでもうこれだ。正直、このままじゃ俺の精神と股間が消し飛びかねない。

彼女の言ってることは一理ある。だが童貞がいきなり巨乳美女(しかも好きな人)と同居とか、幸せだがハードモードすぎるだろ。


悶々とする自分を落ち着かせながら自分の部屋で急いで着替えをすまし待っていると、リビングから声が響いた。


「恭介、着替え終わったわよ」


彼女の声に導かれるまま、俺はゆっくりとリビングへ繋がるドアを開けた。そして、その瞬間。目の前に広がる光景に俺は絶句した。


「ふつつか者ですが、これからよろしくお願いします♡ご主人様♡」

「はっ??!?」


リビングに入った俺の目に飛び込んできたもの。それはふわふわなメイド服に身を包んだ霞がにっこりと笑いながら手を振ってくる光景だった——



次回:激エロメイドが目の前に、俺の理性は限界化


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