1.ぐしゃぐしゃになりたい
私も嫉妬深いとおもいます。
わたしはそうとう嫉妬深い。
かたまり、とか。
そんな表現をつかわれるのが、ふさわしいとさえおもう。
つきあってもいない、ひそかに想いをよせたひとの。そのぐしゃぐしゃな過去を、噂話で耳にしてしまったことがあって。
そりゃ、おちこんだよ。
かってなイメージを、おしつけていただけかもしれないけど。
そのときのわたしは。いだいていた、それが汚されてしまったことに、ひどくうろえたんだ。
傷ついた、とはちょっとちがう。
やっぱり。うろたえた、が正しいんだとおもう。
なにそれ? そんなの聞きたくなかった!
そんなぐしゃぐしゃな過去は、かってにいだいたイメージを汚す以上に、このわたしをみじめにした。
悔しい。
こんなきもちに、させられてしまうのが。
いっそのこと、わたしもおなじくらい汚れていたら。
こんなの、たいしたことないって。聞きたくなかった噂話にも、微笑みをかえせるんじゃないかな。
そのあたりからわたしは。わたしがぐしゃぐしゃぐしゃになってしまえばいいのに、なんておもうようになっていった。
ぐしゃぐしゃなわたしなら、ぐしゃぐしゃな過去をもつひとに、悔しくてみじめな想いをすることもない。
ぐしゃぐしゃになりたい。
わたしをぐしゃぐしゃにしてくれるものなんて、きっといくらでもころがっているはず。
あとはそれにみをまかせればいいんだ。
でも、それは極端。