はじめ (詩パート)
詩の書き出しは6月入った頃でしたね。
詩でこれだけ寝かしたのは初めてでした(笑)
『寂寥』
過去を惜しむ
あとから気づくもの
あの頃へと人は手をのばす
届きそうで届かなかったもの
手からこぼれ落ちたものほど
人の心は忘れがたいと感じるのだ
振りほどく手
掴もうとする指先は届かず
悔いる気持ちと共に握りしめる拳は白く
絆を感じていた心は凍え千切れていた
凍りついた心
流れぬ涙
裂けた魂は目に見えぬ血を流し
傷は癒えぬまま時だけが過ぎる
内なる慟哭の果て
涙流されぬまま
時が経つ
傷は消えない
心へと残り続ける
きっかけがあれば傷は開いて
そこから見えぬ血が流れる
傷を与えるとはそういうこと
傷を受けるとはそういうことだ
つらい
かなしい
そう嘆きながらも
やがて時の歩みにさらされて
傷のあり方は
僅かずつ変わってゆく
流れる血を感じつつも痛みは鈍くなり
寂寥ともいえる感情が顔を出す
孤独の中に感じるもの
寂しさに身を委ねてしまわずに
心の奥底を覗き見る
人の心は物事から傷を受け
時にその傷から壊れてしまうけれど
その傷は光を与えられたときに
想像もしない輝きを見せることがある
その得も言われぬ彩りと輝き
それは全きままでないからこその光なのだと
輝きの乱舞は複雑に絡み合い
吸い込まれるかのような深い色を魅せる
そこには傷が在るからこそ
壊れなかったからこその何かが現れている
傷は消えない
受けたもの与えてしまったもの
それは消えずに残り続ける
けれども残った傷は脆さや危うさの代わりに
しなやかさと強さを得てゆくことがある
傷を受けたからとは言いたくない…
でも傷がなければここには至らなかった…
寂しさと優しさはすこし似ている
悲しみと強さがすこしだけ似ているように
寂寥と共に感じるもの
あの頃のなにも知らない自分と
滑らかなものに変わってゆく過去の後悔や苦しみ
変わるもの
変わらぬ想い
こころの奥に眠っている
過ぎ去ってゆくものに想いを馳せる
懐かしさ
楽しさ
そうしたものを
苦さや悔いる気持ちの中へと感じとる
やさしさや
うれしさや
やわらかい気持ち
温もりを心に感じたこと
その時のことを思い出して今は歩こう
あの時の楽しさは今もある
- ○○の詩 〈 猫又タマ(^ω^) 〉 -
◇◇◇◇◇
『探偵・日暮旅人の探し物』 著 山口幸三郎
この作品を読み始めた時に出てきた想いを核に書いたものでした。