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出会いの機会

若い時には、友達の紹介や遊びに行った先、学校などで人と出会う機会というものが多くあった。社会人になると、会社の同僚や取引先の人、お客さんなどとの出会いはあるが、私的な出会いというものは少なくなっていく。


若い時は、引っ込み思案で、誰にも声を掛けることも出来なかったから、周りの環境だけが自分の出会う機会というものだった。ナンパも友達がいたらたまにやってみたりもしたが、緊張感が強すぎてあまりなれなかった。


「どうして、そんなに声掛けられるの?」


いつでもだれにでも、知らない相手に声を掛けることが出来る友達がいた。男たち5人で海へ行ったとき、浜辺に5人で来ていた女の子たちがいた。僕らは、ああ、あんな子達と楽しく遊べたらなぁなんて夢心地に思っていたら、その友人が、


「俺、声掛けてくる!」


と一人で女の子たちの方へ走っていった。他の四人はびっくりして、ドキドキしながらその友人の後姿を見ていたら、女の子たちが笑う様子が見えた。しばらくして、友人は走り戻ってきたので、ああ、ダメだったかなと思ったら、


「夕方からなら一緒に遊んでくれるってさ!」


とあっけらかんと笑っていた。そんな友人もそれほど大胆なのにもかかわらず、自分の親父には頭が上がらないという弱点もあった。


もう一人、大胆な友人がいて、渋谷へ行っては何人もの女の子に声を掛け、ナンパを繰り返していた。そいつは女の子に時間を聞くという古典的な声の掛け方だったが、自分の時計がくるっていて時間が分からないと袖をまくって、マジックで書いた時計を見せていた。


二人の友人に共通するのは、明るくあっけらかんと自分の気持ちを伝えていたところだった。変に気取らず、一緒に遊びませんか?自分はこういう人間ですと何の衒いも無い話しぶりだった。普通だったら、ちょっとくらい良く見せたいと思ったり、格好つけてみたりするものだけど、なれなれしくもなく、だけど明るく、ちょっと笑わせようとしながら話をしていた。そして、声を掛けて人と出会うことを楽しんでいて、変な下心というものが無かったことも警戒されないところだったのだと思う。


ほとんどの人は、以前の僕と同じで自分から話しかけることが恥ずかしい。でも、話しかけられたら、それに答えることはするだろう。別に話しかけることは難しくても、みんながみんな話しかけられることが嫌ではないだろう。むしろ、話しかけられたら、うれしい、喜んで話をするという人だって少なくはないと思う。


僕も仕事を始めて、色んな人と出会う機会を経て、何となく彼らの気持ちがわかるようになり、いまだに緊張することはあるものの、人に声を掛けることは苦手ではなくなった。


渋谷のスクランブル交差点。


あちらから、ハッとするような素敵な女性が歩いてくる。


ここですれ違ったら、もう二度と出会うことは多分無い。


だから、この一瞬こそが最初で最後の出会いの機会だったとしたら。


相手からあなたに声を掛けてくることは、万が一も無い。


どうしますか?


僕なら、一声、「すみません」と声を掛ける。


相手は僕の方を見るだろう。


嫌な顔をして、そのまま通り過ぎるかもしれない。

はい?と僕の問いかけにこたえてくれるかもしれない。


それだけでも、もう僕とその女性に接点が生まれている。そして、次の言葉を掛ける権利も得られるのだ。


そこから先は、何でもいい、話題を考え、出来るだけ会話のキャッチボールを繰り返し、出来れば連絡先の交換、今ならSNSの友達になるのでもいい、それだけでもう二度と出会えない人と繋がることが出来る。


だから、出会いはいつも自分から。


ただ、一言、声を掛けるだけで始まる。


目も合わなければ、相手に自分の存在も知られぬまま、二度と出会うことは出来ない。


だから、恐れずに気軽に構えすぎずに出会いの機会を自分から作ったらいい。


一番恐ろしいことは、出会えなかったと後悔することと、自分には出会いの機会が無いと自ら機会を放棄することではないかと思う。

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― 新着の感想 ―
話しかけた相手が一般的な意味での良い人ばかりとは限らないのが厄介ですね。 もしかしたらキャッチセールスで声をかける相手を探していたとか、あるかもしれません。 逆に相手もヒマがあって、趣味もあって…と馬…
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