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我儘な車選び

ここ数年、環境問題から新車で発売される車は色々な制限の元作られていることで魅力を感じなくなってしまった兄貴は、ちょっと旧い車を買っては手直ししたり、ちょっとカスタムした状態にして遊んでいた。



数年前に、ST205型セリカGT—Four 4WDを購入。今のような値段高騰する前だったので、綺麗な車体の2万キロ台のものが200万を切る価格で購入できたらしい。欠けていたパーツを集め、なるべく純正に近い状態で、OZレーシングのホイールにマッドフラップをつけたくらいのカスタムで仕上げた。はた目から見ても新車のような出来栄えだったのだけど、その後、価格が高騰。完成した途端、熱が冷めて売却したようだったが、実際掛かったお金プラスちょっと得するくらいの値段で売れたらしい。売却後、セリカを販売した中古業者の付けた価格は結構すごかったらしい。



その後も、自分が気になっていた少し古めで、車として良いものを買っては手直ししたりして楽しんでいる。実家に帰った時、兄貴が興奮した面持ちでガレージからピカピカのセリカXXを出してきた時はちょっと意外だった。もっとすごい車が出てくるのかとも思ったが、やはり少年時代、自分が免許を取る数年前くらいに憧れた車というのは、色んな高級車に乗ったとしても、心の中で一番と思える一台になるのだろう。



「この車、ホント今走らせると遅いんだよー。」



そう言いながらセリカXXを運転する兄貴は本当に嬉しそうだった。



そんなXXを購入した時も、まだ今のように値段が上がる以前だったため、探すのは大変だったらしいけど、新車の軽自動車くらいの値段で購入できたみたいだった。そんな車を選べる兄貴は、先を見る目があるのかもしれない。そして、所有して、運転する以外にも、車を楽しむ方法というのはあるのかもしれない。



そして、義姉さんの車もそろそろ年数が経ち、車検を迎えることになったので買い替えることになった。子供たちも独り立ちした今、家族を沢山乗せることも、乗り心地の良い車を選ぶ必要が無くなって、本当に自分が思う乗りたい車というのを選びたいと言っていた。



そんな義姉さんが選んだ車は、アバルト595コンペティツィオーネ。新車は終売になってしまい、新古車か程度の良い中古を選ぶしかない。知り合いの車屋さんに探してもらおうとしているのだが、一番の敵は、旦那である兄貴である。



さんざんイタリア車に泣かされた経験と、ホイールベースの短さに心配しているらしい。確かに、義姉さんの運転はちょっとアグレッシブだから、心配する気持ちも分からなくもないが、心配し過ぎの気もするので、僕も欲しかった595コンペティツィオーネを入手して欲しい。あのエギゾーストノートは本当に格好いい。出来れば、マニュアル車を希望したい。



そして、僕もひょんなきっかけで、R56型のMINICooperSを購入した。最初は、中古の初代ハスラーを探していたのだけど、4WDのターボ車の特別仕様車の黄色というのがなかなか出てこなかった。小さなボディー、広い後部座席、広がる荷室空間、雪の日も安心の4WD、パワフルなターボ…。キャンプに行ったり、車中泊したり、友達を乗せたりと、気軽に乗れる一台として夢を描いていたのだけど、探していた半年間、出会うことは出来なかった。



それを見ていた奥さんが、



「MINIで良くない?」



値段ははっきり言って、ハスラーの方が高い。でも、悪名高いほど壊れるMINIは、修理代で新車のMINIが買えてしまうこともあるらしい。壊れるという人は多いが、そうでもないよという人はほとんどおらず、専門店の人に話を聞いてみても、みんな苦笑いをする状態だったりする。



なので、この先僕に待っているのは楽しいカーライフ3対苦しいカーライフ7くらいの気持ちで考えてはいる。



奥さんの、



「壊れたらレッカー呼べばいいじゃん。」



との言葉を聞いて、ああ、まあそうか。と思った。近所にMINIの修理で有名なお店を見つけ、社長さんと一時間ばかり話をして、もし壊れたらこうしてああしてと手順を教わり、近いから困ったらなんでも任せろとの心強い言葉を頂いたので、少し気持ちも落ち着いた。



というわけで、最近僕を含め、自分の周りでは、実用というよりも興味のある車を購入する人間が増えてきた。ガソリンエンジンの車は少なくなり、マニュアル車も少なくなり、スポーツカーも少なくなり、程度の良い一昔前の魅力ある車も玉数が少なくなってきた。



もしかしたら、我儘に車を選べるのは、今が最後なのかもしれない。



残らないものに沢山お金を掛ける羽目になってしまい、嫌な気持ちになってしまうという大きなリスクも当然あると思う。でも、自分がそういうものに触れられる最後の機会かもしれない。なるべくリスクの低い中古車を選択するという手もあると思う。外車より国産を選択するという手もあるだろう。僕もMINIがどうしようもなく壊れたら、スイフトスポーツを買おうかとも思っている。時期を見誤ったら、もしかしたら値が上がってしまう可能性はあると思う。MINIは短期間、壊れるまで走り倒すという手もある。



とはいえ、実際に所有しなければ、体験は出来ないし、思い出も作ることは出来ない。



そんな難しい今、是非、我儘な車選びをするのも、大切な思い出作りじゃないかと思う。

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