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友情と恋愛

「男女に友情は成立するのか?」



いつの時代もそんな問題が話されたりする。



男女7人夏物語やら不揃いの林檎たちやら、仲間の中での人間模様に葛藤する物語は沢山ある。



僕の中では、男女の友情は成立するに決まっている。というか成立するとかしないとかという考えは僕にはない。誰かと知り合って、ああ、この人と一緒にいると楽しい、この人とならいろんなことを頑張れる、そんな気持ちにさせられて、仲良くなりたいと思う人との間に芽生えるのが友情だと思っている。



恋愛はと言えば、容姿でも仕草でも性格でも情熱でも、何か引き付けられる部分があって、もっと仲良くなってみたいな、もっと話をしてみたいな、もっと一緒に時間を過ごしたいなと思える人に惹きつけられるのが恋愛だと思う。



ほら、この2つに違いがあるのだろうか?僕は同じじゃないかと思っている。



仲の良い予備校仲間の友達がいる。みんなそれぞれの道に進み、大学生になり、そのうちの一人と付き合うことになった。友達が恋人に変わったというより、友達であり、恋人になった。それから、数年後に別れ、また友達に戻った。それからかなりの月日が流れ、その友達は、友達であり、また恋人になり、そして妻になった。それらは別のものではなく、どんどん肩書が増えていくようなものではないかと思う。今も妻は、僕にとって大切な友達であり、大切な恋人であり、大切な妻だと思っている。



それに友情という信頼や憧れの気持ちが芽生えない人と結婚できるだろうか?そうじゃないというのであれば、性的な関係を持ち、家族としての役目を持ち、一緒に生きるなかに友情というものは必要ないのだろうか?



僕にとってみれば、友情というのは全てにおいて一番基礎となり、自分が大切だと思う人との関係性だと思っている。師弟関係でも、恋愛関係でも、上司部下でも、親子関係であっても。親が亡くなって、さらにそれを強く感じる。この仮初の世界に親子という縁を偶然にももって現れた母や父も、その役割を持った一つの人間だとすれば、シンパシー無くしては、たとえ親兄弟だとしてもその縁は切れてしまうこともある。大切に育ててくれた恩義であり、愛情が縁であり、血や関係性がそれを強固にしているのではないと思う。だから相手を思いやる心というものが、僕にとっての友情と思っている。



僕の師匠は、その業界では名の知られた人で、自分にとっては手の届かない人だと思っていた。ある時に話す機会があり、それが縁でサポートスタッフにしてもらい、直接の上司ではないのにずっと可愛がってもらった。1週間に一回、本社に来るときは決まって終電が無くなるまで飲んで仕事の話を延々して、休みの日も気の合う人間が集まり師匠の下で勉強会をした。師匠の知識欲と情熱に勇気づけられて、僕も何とかやっていくことが出来たのだと思う。



結婚が決まった時、僕は上司ではなく、師匠に新郎側の挨拶をしてもらうことにした。師匠以外には考えもしなかった。意気揚々と師匠にそのことを伝えると、何故か、



「俺は挨拶は出来ないよ。違う先生に頼んでほしい。」



そういうので困ってしまった。でも、自分の中で挨拶してほしい人は師匠しかいない。何度も何度も頼み込んでやってもらうまで粘ることにした。そうしてようやく、「じゃあやらせていただくよ。」という答えを出すことが出来た。どうしてそこまで挨拶することが嫌だったのか聞いてみると、少し照れた様子で、



「俺はさ、お前の師匠じゃなくて、友達だと思っているから…。」




20歳も離れた師匠が恥ずかしそうに白状した。その時、僕の中で友達という存在が何なのかということが少しわかった気がした。僕らを勇気づけて情熱的に色んなことを教えてくれていた師匠も、自分の仕事をするときには心細かったのだと思った。僕らが一緒に情熱をもってワイワイ話を聞いたり、みんなで色んな事を考えたりする時間が、逆に師匠を勇気づけていたのかもしれない。



「…。僕の師匠は僕を友達だと言ってくれました。ですから、僕にとっての師匠が、頼りがいがあって、支えたい人であって、信頼のおける素晴らしい存在であるように、僕ら夫婦も皆さんにとってのかけがえのない友達となるよう頑張りたいと思います。」



最後の挨拶、その時まで何も考えつかなくて、文章も用意していなかったが、師匠の事を考えたら、すらすらと僕の中からそんな言葉が出てきた。



友達になれない人は、それ以上の存在にはなりえない。僕の人生にとって、大切な人は、たとえ自分だけが思っていたとしても、友達だと思っている。



恋愛関係になる人を見つけたいと思うなら、そのことは忘れて、友達を沢山作ればいい。そして、その友達の中で、たまたま異性(同性でも良い)で、恋愛感情も芽生えて、お互いに惹かれ合えば、それが恋人なのではないだろうか。恋人欲しいから始まるから、おかしいことになるような気もする。お見合いでも、そこから付き合うようになってうまくいったとしたら、何度も会ううちに恋愛関係と友情が同時に芽生えたともいえるのではないだろうか。

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