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発熱外来は、いまだコロナ最前線

日曜の朝、クリニックのスタッフグループLINEに看護師さんからのメッセージがポコッとアップされる。



眠い目をこすりながら、なんだろうなと開いてみると写真が添付されていた。



見慣れたコロナ抗原キットに青と赤の二つのラインがくっきりと出ている。



一気に目が覚め、状況を確認。ご家族も症状が出始めているとのことらしい。本人のコロナ治療薬の処方の希望を聞きつつ、明日の朝もう一度クリニックで検査をすることに。



それと共に、他のスタッフも濃厚接触にあたるので、明日の朝に全員抗原検査を実施。特に看護師とドクターは、通常の診療と内視鏡などの検査の予約もあるため、人員が不足したり、ドクターが診察できないとなれば予約を全部ずらさなければならなくなる。それはそれは大騒ぎである。



うちのクリニックでは、コロナの初期から発熱外来も同時に行っている。ワクチン接種も同じくやっていたので、昨年、一昨年と大赤字。ワクチン接種をすれば通常診療が見れず、発熱外来をすれば、これまた通常診療が止まる。報道などではコロナで病院が大儲けなどというたわけたことを吹聴する輩もいるが、沢山のベッド数を持つ大病院クラスじゃない殆んどの町医者レベルのクリニックは、はっきり言ってワクチン接種も発熱外来もそこの先生が赤字覚悟と感染のリスクを負ってまで地域医療を守りたいという心意気一つでやっているのが実情。なので、コロナが第五類になってから初めて発熱患者を受けるようになったクリニックは渋々やっていて、ノウハウも無いから今頃発熱外来を初期からやっていた先生にどうやったらいいのかを乞うているような状態。初期から発熱外来をやり、休みの日は行政のPCR検査を受けていた側から見れば、あの頃は手が足りなくても助けてくれなかったくせに、今頃教えてくれとは虫が良すぎじゃないかと鼻白んでいる。



看護師さんからのLINEを受け、これはいかん!ということになり、とりあえず抗原検査を実施してみる。医師である妻と事務主任である僕はとりあえず白。これで何とか明日は営業が出来そうだ。これでクリニックのスタッフが集団で感染してしまえば、5日以上の営業自粛を余儀なくされる。その間の売り上げ減もそうだけど、内視鏡などの検査の予約をしている人にとっては、がんの発見が遅れたりする事にもなってしまうので一大事となる。他のクリニックで見てもらうにも、予約を取るとなると結構先になってしまうだろうし、うちの予約も先まで詰まっているから遅れは必至となってしまう。



外に買い物をしに行けば、マスクをしない人も多いし、大声で話しこんでいる人も多い。確かにマスクにはウイルスを防ぐような効果は無い。だけど、一番感染のリスクの多いであろう飛沫感染の予防には効果がある。話をしていれば、多かれ少なかれお互いの唾液が飛び交う。ほんの少しの唾液のなかに、無数のウイルスが含まれている。マスクは確かに空気感染のようなものには何の力も無いのだけど、かといってすべてにおいて効果が無いという訳ではないということと混同してはならないように思う。



コロナの流行が始まった初期から、当院では発熱外来を実施しており、陽性患者さんと毎日のように接触する高いリスクを負っている。しかしながら、今まで陽性患者さんからコロナをうつされたという例はない。初期のデルタ株の死に至るリスク(感染し、死亡した例が実際に数人あった)の頃から数年間で得た経験では、一番気を付けなければいけないのは、やはり飛沫のリスクではないかと思う。正面で会話すれば感染リスクが高まるが、フェイスシールドをして、横並びで話をすれば飛沫を受けるリスクは減る。感染する多くの患者さんは、大人数の集まるフェスや会食を経験していることが多く、飛沫感染の条件は高かったと推測される。そして、感染者がいる家族はほぼ感染してしまうことがほとんどの例でみられるように思う。



うちのスタッフで感染した人は、ほとんどが学校に通う子供がいたり、仕事で会食をした夫がいて、そこからの感染していて、患者さんからの感染は無い。だから、どうしたら感染しないようにできるかを意識し、そのリスクを低めるよう意識したほうが良いと思う。



確かに、もう死に至る事は少ない。しかし、インフルエンザや悪い風邪同様、合併症を引き起こして死に至る高齢者のリスクはやはり高いので、そう言う人が近くに居る人は、まだまだ気を付けてもらった方がいい。それがコロナでなくとも合併症を起こして亡くなる事もあるが、もし、自分がその感染源だったとしたら、自分が誰かを死に近づけた原因を作ったという思いは一生残るだろう。



あまり普段の生活では感じられないだろうが、一か月前くらいから発熱外来の人数は、予約が受けられないくらいの数に増えている。医療従事者の感覚と、他の人達の感覚は大きく違っているかもしれないし、そうでなければ社会生活がまともに遅れないかもしれない。



まだまだ色んな意見が世の中にあふれている。それは、やはり今まで経験のしたことない、未知のものとの邂逅だから、誰にも本当の答えなどなく、もっともっと後になって、すべての答えが出た後で、一番良かったのはこういう対応だと言えるようになるのだろう。でも、かかるのとかからないのでは、やっぱりかからない方がいい。特に、やはり基礎疾患がある人や高齢者、そして、その家族くらいはしっかりリスク管理をした方がいいと思う。



コロナはもう過ぎた出来事ではなく、いまだその真っただ中にいるということなのではないかと、この小さなクリニックにいる僕ですら、感じずにはいられない、正直な気持ちだったりする。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 医療関係者の方々には本当に感謝しかありません。 コロナ前からこれからも。
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