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バイクが欲しい

バイクが欲しい。



そう思って色々探してみたものの、なかなかいいお店、良い車体が見つからなかった。



引っ越しして、バイクを置くスペースも出来た。あとはお目当てのバイクを見つけて買ってくるだけ。昔から大好きだったあのバイクをガレージにおいて、ニヤニヤする日も近い。



ちょっと旧いバイクだったので、良い車体を探し当てるまで時間が掛かる。久しぶりのバイクだし、それが見つかるまで、ちょっと練習用のバイクに繋ぎで乗っておこう。



安めで、気軽に乗れるバイクが良い。250か400くらいがいいかもしれない。そう思って最初は、SR400を探すことにした。その当時は、SRも底値で、安いものでは20万前後、程度がそこそこいいものでも30万~40万くらいで買うことが出来た。今では絶版になって価格が高騰し、60万~という相場になってしまっている。いつかは上りのバイク、最後のバイクとして手に入れたいなとも思ってはいる。



ということは、結局SR400は購入しなかった。250なら、TW225やセロー、FTR233など、下駄感覚で乗れるバイクが良いかなと思った。TZR250の1KTも考えていたのだけど、探していたのがドゥカティ900SS二代目だったので、一台は目を三角にして走らなくても良いものにしたかった。



ある日、横浜に買い物へ行った帰り、そういえば中古車サイトで見かけたお店が近くにあったことを思い出し、奥さんに断って立ち寄っていくことに。SR400メインのお店だったのだけど、まだ開店して間もないこともあって店内は雑然としていた。長身で手を真っ黒にした店主は、見た目少し近寄り難い印象だけど、話してみるとざっくばらんとした人だった。ちょっと人を選ぶようなところもあるけれど、仕事は丁寧そうだったし、正直そうな人だった。



SR400にまたがらせてもらう。思った以上に細身で、扱いやすそうな車体。でも頭で思い描いていた印象とちょっと違った気がして、あまりしっくりした感じがしない。今でも良いバイクだとは思うのだけど、その時はなんとなく違う気がした。



店内にあるほかのバイクも見てみる。グラストラッカーやSR500、ハンターカブなどの奥に青いタンクのエストレヤRS。レトロな外観と扱いやすい車体で、女性が好んで選ぶバイクだったりもする。エンジン回りもちょっとスカスカな感じがして、線が細い気もした。間近で見るエストレヤは、SRと同じくらいのサイズ感があり、タンクのボリュームもあって、ちょっと良いかもなと思ってしまった。



「これね、結構頑丈で、フォークはSRより太いの使ってるんすよ。」



丁度片側のさびたフォークを交換していて、店主もそのことに驚いたそうだ。近くで見ると、結構ボロい。各所は錆び、エンジンもアルミの錆がクリアの下で錆が回ってきた無くなっているのを、前のオーナーが綺麗にしようとしたけど、結構大変なので途中であきらめた形跡があった。



「これね、ホント全部綺麗にするのは大変なんだよね。」



ここの店主は見た目は二の次で、バイクとしての性能がしっかりしてれば良いという感じだった。綺麗にするにはお金が結構かかるから、それならそのままにして安価にバイクに乗って楽しんだほうが良いという感じ。ちょっとまたがりながら興味を持った僕を見て、店主と奥さんが言った。



「いいんじゃない?気に入ったなら。」


「そうっすよ。この子、持ってっちゃってくださいよ。」



二人の言葉を受けて、



「じゃあこれ買うよ。」



ものの10分くらいで決めてしまった。けしかけた二人もびっくりしていたけど、買う気も無かったバイクを買うよと言った言葉に自分自身驚いてしまった。



じゃあ整備に二週間かかりますと言った店主は、それから整備が進むごとに写真と説明をメールで送ってきてくれる。もうすぐ完成しそうだというときに、店主から電話。



「もうすぐできそうなんですけど、ちょっとエンジンのフケが気になっちゃったんで、エンジンバラします。もうちょっと時間かかりそうです。」



とのこと。結局オーバーホールとなり、一か月ほど納車が伸びた。その間、100キロほど試走もして、バルブ回りも新品になり、納車後は慣らし運転を500キロすることに。でも、そこまで乗り込んでくれたというのなら、信頼のおける店主だなと思った。



単気筒、20馬力の非力なエンジンで、高速に乗っても80~90キロでの巡行が限界。出そうと思えば120くらいは出ると思うが、エンジンが悲鳴を上げるし、僕自身も悲鳴が出そう。女性が好むバイクとは言うものの、やっぱり低速向けの単気筒は振動もそれなりにあるし、二気筒のバイクの方が扱いやすいと思う。個人的には女性には二気筒のNINJA250やR25などの方が乗りやすい気がする。レトロな外観、振動があっても大丈夫ならばいいとは思うが、思いの外、男っぽいエンジンのような気がする。昔のメグロジュニアをモチーフとした外観だから、女の人には近寄られないけど、80代のお爺ちゃんにはよく声を掛けられる。24000キロの走行距離で、外観もボロかったから、値段も車体で21万円程った。名実ともに下駄バイクである。



50~60キロくらいで緩やかなアップダウンのある峠道を走っているのが気持ち良い。たまにスリムな車体のせいか、原付と思う輩もいて、黄色のセンターラインの道で追い越そうとする馬鹿もいるが、早い車、早いバイクには心置きなく譲ることが出来るのも、このバイクの圧倒的なゆったり感からくるものだろう。張り合おうという気にもならない。自分の性格上、こういうバイクじゃないと、いずれ大けがをするんじゃないかという心配もある。



まあ、とりあえずドゥカティ900SSが見つかるまでの繋ぎバイクだ。



今日もちょっとした時間を見つけて、海岸線の近くにある山道を走った。エメラルドグリーンに輝く海岸線を眺めたり、涼しい山道を一人エンジン音を響かせながら走ったり、2時間100キロほど走って帰ってくると、ちょっとしたリフレッシュになる。



購入してから早6年。



僕はまだドゥカティを手に入れていない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] エストレア、以前乗ってました。 シングルが好きでキックアームがない以外は、何の不満もないバイクでした。 鼓動と言うより振動と言う方がしっくりくるエンジンは、単純な構造だからこそイジるには最…
[良い点] え〜 かっこいい。 検索してみると、スリムなボディやカラーリング、扱いやすそうな感じが、確かに女性好みな気がします笑 数台所有するのも楽しいと思いますが、乗って走ってあげないと意味がない…
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