プロローグ
まさか本当におこりうるとは思ってもみなかった。
異世界
異世界に降り立ち力を授けられ冒険へでて、
そこで出会った仲間たちと強大な敵に立ち向かう。
こんなことを一度でも考えたことはあるだろうか。
はたまた選ばれし勇者として異世界に召喚され世界のために戦う。
俺だって選ばれし勇者として召喚されれば頑張れるはずだといつも思う。
だが俺にはわかる。
こんなことが実際にあっても俺は決して選ばれないだろう。
こんなことを考えている時点で俺はダメな大人だ。
人はだれしも人に認めてもらいたいものだ。
他人よりすごいと褒められたり尊敬されたりしたい。
俺はそんな理想とはかけ離れている。
俺の今の職業は工事現場の人だ。
汗臭いおっさんたちがいる、嫌な仕事だ。
俺は問題が多くいろいろな所を転々としている。
このやる気のない性格が問題なのは知っている。
俺は人よりプライドが高いくせに、努力もしないダメなガキだ。
その性格のせいですぐ喧嘩になってしまう。
直そうとしたが人の性格はその気にならなければ変えられない。
俺がその気ではないのだ。
だから俺はダメだと思っている。
朝早くからの仕事で気が散ってしまっていた。
工事現場には事故が多い、気をつけねば。
そう思っていると足元がふらついてきた。
そんなことを気にしていると、足を滑らしてしまった。
地震が起きていたのだ。
工事現場には転落事故がおこらないように、安全ピンで防いでいる。
だが固定していた鉄骨ごと俺は落ちてしまった。