02.別れそして出会い
ボクは走るの大好き。食べるのも大好き。
ボクは兄ちゃん達と負けないくらい大きくなった。
遊んでも、喧嘩しても、もう兄ちゃん達には負けないぞ。
そうやって毎日遊んでたんだ。
そしてどんどん月日が流れていった。
どれくらい流れたかって?そんなのボクには分からないよ。
だって毎日食べて寝て、遊んで喧嘩してそうやって過ごしていたんだもん。
ボクは毎日楽しくて仕方が無かった。
そして、これからもそんな毎日を過ごしていくんだと信じて疑わなかった。
でもね。ある日異変が起きたんだ。
ボクの兄ちゃんの1匹がどっかに行ってしまった。
最初ボクはちょっとお出かけしただけなんだってそう思ってた。
きっとまた帰ってくる。そう思ってたんだよ。
でも、次の日も次の日も兄ちゃんが帰ってくる様子は無かった。
ボクはママに聞いてみた。
「ねえ、ママ。兄ちゃんはどこに行ってしまったの?」
ママは少し悲しそうな顔をして答えた。
「お兄ちゃんは新しいお家に行ったの。」
新しいお家?何それ?
今のお家とどう違うの?
ボクは不思議に思ったからそう聞いた。
「新しいお家は新しい家族の事よ。お兄ちゃんはその新しい家族と一緒にこれから生きていくの。」
「新しい家族・・・・。いつかボクも新しい家族の所に行かないといけないの?ボクはずっとここにいたいよ。」
ボクはここから離れたくなくてママにペットリくっついた。
ママはボクの顔をペロペロなめながら言った。
「本当に、甘えんボウヤね。いい?みんないつかママと離れる日が来るの。そうやってみんな一人前になっていくの。ボウヤもいつか一人前にならないといけないの。
それは決して悪い事じゃないのよ。むしろ素敵な事。新しい家族の人たちに大切にされて、これからの一生を一緒に過ごす事が出来るの。
ママたちと離れるのは一時は寂しいと感じるかもしれない。でもね。その感情は本当に一時的。新しい家族の人たちと一緒に素敵な時間を過ごせるのよ。他にも美味しいご飯をたべて、ふわふわなお布団で寝て、たっくさん遊んで。
そうやってママもここの家族の一員になれたの。」
ママはそういって僕の顔をさらになめた。
ママ、くすぐったい。
ボクはママが言っている事をあまり理解できなかった。
だって、今がとっても幸せなんだもん。
今が幸せなのに・・・なんで寂しい思いをしなきゃいけないんだろう。
そして、さらに月日流れ、残りの兄ちゃん達もみんな新しい家族に連れて行かれた。
ボクだけ一人ぼっち。
兄ちゃん、遊んでよ。何でみんな行っちゃうの?
ボク寂しいよ。
ボクは元気が、食欲が無くなった。
そんな、ボクも新しい家族に出会うのにそんなに時間がかからなかった。