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魔神 ガイター ④

 ところが、魔神の眉がだんだんと下がり、口元がプルプルと震えだし、しまいには目に涙を浮かべはじめた。

「ファ、ファン~!」

 泣き声をあげた魔神は、ダダダっとファンさんの元へ走っていき、そしてファンさんをガシッと抱きしめた。

「ガイター、あのときはごめんね・・」

「ええだよ~、そんなことはええだよ~、よくオラのとこさ来てくれた~!ああっ、昔のファンに戻ったみてぇだ~、オラうれしいだ~!」

 それこそ大きな子供のように、オイオイオイオイ泣く魔神。

 ファンさんは魔神の大きな腕の中で、だらんと腕を下げゆったりとしているようだ。目を軽くつむり、安堵の笑みを浮かべている。

 しばらくすると、ガイターはファンさんの両肩に手を置いた。

「ファン、久しぶりだなぁ。どうやら元気みてぇで安心しただ。オラ毎日毎日心配してただ。今はどうしてんだ?」

「ありがとう、ガイター。わたしお礼も言わないで、あの時あなたにあんな態度とっちゃって・・」

「そっただ水くせぇこと・・あれは仕方のねえことだ。こんな普通に戻ったおめぇと話せるなんて、夢見てるみてぇだ」

「そう、ガイター、わたしね今旅をしてるの。こちらのかた、名前はライス君っていうんだけど、旅をご一緒してるところなの。そしてライス君、こちらがガイター、わたしの幼馴染で大事なお友達よ」

 ファンさんの言葉に魔神がググっと僕を見てくる。

「ああ、さっき食わねえでけろっ、とか言ってたなぁ。おらのこと人食い魔神みたいに言って失礼だべ?」

 そこへ、くすっとファンさんの笑い声。

「ごめんなさい、ライス君、ガイター。わたしの軽い冗談だったの」

 はぁ?冗談?ぜんぜん軽くない!正直、死んだと思ったよ!

 ガクリと脱力する僕をしり目に、

「ハッハッハッ、ファンの冗談けぇ、ええだよ、冗談は元気のあかしだぁ」

 と大笑いする魔神。僕にとっては笑い事じゃないよ・・。

「あのねガイター、お話しはゆっくりすることにして、いきなりだけどマリュフって採ることできる?」

「マリュフ?ああ、あのキノコけぇ。あれはめったに見れねえお宝だぁ。とれるとすれば、こっからずっと南にあるマヒワリ国の砂漠の地下だべ」

「マヒワリ国かぁ、かなり遠いわね。でも行ったことないし面白そうね」

「なんだぁ、マヒワリ国までキノコ採りけぇ。でもファンと旅が出来るんならオラよろこんでついていくだ!」

 僕をおきざりにして、なんか勝手に話がすすんでいる・・。


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