ウルフマン ③
インターネット不調で遅くなりました
僕たちが、ファンさんが買ってきたミルフの服を見ていると、ベッドで寝ていたミルフがムクっと起き出した。
ミルフはキョロキョロと周りを見渡すと、「ここ・・どこ?」と、まだ眠そうな目をこすっている。
「あら、おきちゃったの。うるさかったかしら?せっかくだから、お風呂に入りましょうか?汚れているのキレイにしてあげる」
うん、とうなずくミルフの手をひいてファンさんは浴室へと向かった。
「なんかファンおねえさま、すっごいキラキラしてるんですけど」
「んだな。ファンがこんな子供好きとは思わなかっただ」
以前に、ペーリーさんがファンさんに、赤ちゃんがもしできたら?という質問をしたことがあって、ファンさんがその空想をしたときに、幸せを詰め込んだような顔を見せたことがあったけど、ミルフを対象にそれが現実となったようで、普段のクールさは微塵もない。
「はい、おつかれさま~」
風呂から出て来たミルフの頭を、ファンさんが優しくタオルで拭いている。ほんとに、母親そのものに見える。
「はい、風呂上りにどうぞ」
ミルフに、冷水入りのコップを渡すと、「ライスおにいちゃん、ありがとう」と、水をコクコクと飲んでいる。
僕の名前は一度だけしか教えていなかったはずだが、それで覚えているのだから、この子は確かに利発である。
ファンさんが買ってきたパジャマに腕をとおすと、「うれしいなー、ふかふかだ」と喜んでいる。
まだまだ、ミルフは眠くなさそうなので、部屋のソファーに掛け、ミルフの今までの生活を聞いてみた。
「ミルフはあのレストランにいつから暮らしていたんだい」
僕の問いにちょっと考え込んだミルフ。
「ぼく、よく覚えていないの。ずーっと前はママが一緒にいた気がするの。だけどいつの間にか、あのレストランのおばあちゃんが、ボクのこと育ててくれたの」
「おばあちゃん亡くなったって言ってたね」
「うん、おばあちゃん・・やさしかったの・・」
ミルフはうつむき泣きそうな顔をした。こんな小さい子がかわいそうに・・隣に座っていたファンさんがミルフを抱きしめた。
「もうそろそろ寝ようか?」
「うん」
ソファーから立ち上がったミルフは、
「ガイターおじちゃん、ペーリーおねえちゃん、ライスおにいちゃん、今日はありがとう。おやすみなさい」
と、きちんとおやすみの挨拶をのべる。
だが、急に下をむくとモジモジとして、顔を赤くする。しかし、意を決したように顔を上げファンさんを見つめた。
「ママ、おやすみなさい!」
その言葉に、涙をにじませ今にも泣きそうになったファンさんは、ヒザ立ちになってミルフを抱きしめる。
「今日はママと一緒に寝ましょうね」
「うん」
ミルフもポロポロと泣いて、ファンさんを抱きしめ返していた。




