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仲直りの話 ②

「ほー、ずいぶんとかわいい、ねえちゃんじゃねえか」

「へへへ、あんた、この小僧となんか関係があるのかい?」

 男たちは、僕など眼中にないとばかり、容姿可憐なペーリーさんに絡みはじめる。

 ペーリーさんは無表情な顔で僕をチラっと見たが、話しを続けるため3人組のほうへ向き直った。

「この人は無関係よ。あなたたちみたいに強そうな人が、こんなひ弱そうな人を脅してるのが目に入ったから、見てられなかったの」

「ほう、脅しとは言ってくれるじゃない。まあいいや、あんたが俺たちと遊んでくれるっていうなら、この小僧は見逃してやるぜ」

「遊び?遊びってなにするの?」

「へへっ、まずは酒でも飲みに行ってグデグデに酔ってもらったら、その次はお楽しみだあ」

「ふーん、お酒を飲むのね?そのお酒ってごちそうしてくれるの?」

「あたりめえよ、なん杯でも好きに飲んでいいぜ~」

「ねえ、お酒飲むの、あたしの友達も一緒でいい?」

「友達だあ?」

 いぶかしがる男たちに、ペーリーさんはこちらに歩いてくる人物を指さした。それはファンさんだった。

「ほー、こりゃすげえや!あんな美人めったにお目にかかれねえぜ。おぅ、金のことなら心配しなくて大丈夫だぜ」

 男たちのニヤニヤする顔が止まらない。ペーリーさんは目をうるっとさせて更なるお願いをする。

「あと一人友達がいるの。いいよね?」

「おー、いいぜ、いいぜ、俺たちゃ3人だ。3対3で好都合だ、今日はいい日だぜ~」

 テンションが頂点へ達する男たち。

「そんで、あと一人のお友達は、どこにいるんでぇ?」

 ペーリーさんは、興奮が抑えられない男たちの後方を指さす。ニヤつきながらバッと後ろを振り返る3人組。

「あだしもよろすくぅ~。うふっ!」

 そこには野太い声で、女セリフを発するガイターさんがいた。

 ガイターさんの巨大で一見狂暴そうな体つきに、目を見開き口をガバッと開け、ガタガタ震える男たち。

「へへっ、せっかくごちそうしてくれるんでは遠慮なしでいくべ。なあ、ファン、ペーリー」

「そうね、高級ホテルのバーで、コチーミル・ラックでもいただきたいわ」

「あ、そのワイン高いんだよね。一杯で金貨1枚はするよね」

「オラ最低100杯は飲むだで、支払いしっかり頼んだど」

 ガイターさんは凶悪な目をしながらニヤッと笑い、その恐ろしさに3人はアワアワとあわてふためいた。

「あんたたち、これにこりたら、もうこんなことするんじゃないよ!」

 ペーリーさんがキッとにらんでそう言い放つ。

「は、は、はい、すみませんでしたー!」

 謝罪と同時に脱兎のごとく駆け出した男たちは、あっという間に見えなくなった。

 僕はお礼を言おうとペーリーさんのほうを見ると、彼女はちょっと顔を赤くしてファンさんの陰に隠れる。

「あなたたち、今日は様子が変ね。ケンカでもしたんでしょう?さっさと仲直りなさい」

 ファンさんとガイターさんはそう言い残し、その場を立ち去った。

「・・あ、あの、ペーリーさん、どうもありがとうございました・・」

「・・ううん、ライスさん、昨日はごめんなさい。謝りたくて追いかけてきたらこうなっちゃった」

「僕も、早く仲直りがしたかったです。じゃあ、元通りってことでいいですか?」

「うん」

 ペーリーさんと和解の握手をした。欠けたなにかが戻ったようで、心に安堵が生まれた。

 僕は、この四人でなぜ一緒にいるのだろうかと、未だに思うことがある。たぶんそのことに答なんかないのだろうけれど、今にように、ケンカしても仲が戻れる関係はすてたものではないなと思った。

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