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疑似結婚談 ②

「うぬ、風のうわさで聞いたが、わが妹を連れまわしている魔神とはおまえのことだな!?」

 僕は今まで16年生きてきたけれど、魔人に間違えられたことなど一度もない。風体からしたって、華奢な人間そのものだ。その魔神とはガイターさんのことなんだろうけど、あんまりだ。

「あ、あのですね、お兄さん、僕は普通の人間でして・・」

「おまえが誰だか知らぬが、いきなりお兄さん呼ばわりはやめてもらおう。それでおまえとペーリーはどういう関係なんだ?」

 せっかちな兄は、なんども僕の言葉をさえぎってくる。

「では、戦士さん。彼女はですね・・」

「お兄ちゃん、この人は、あたしの旦那さまなの!あたしたち結婚してるの!」

 こんどは妹まで僕の言葉をさえぎってきやがる。それも、とんでもない爆弾発言をそえて!

「なにーー!貴様、結婚だと!これはどういうことだ」

 戦士が怒って僕につめよってくる。でも今のセリフは僕のセリフじゃないか!これはいったいどういうことだよ!

 オロオロしている僕の腕をペーリーさんがつかむと、「お兄ちゃん、ちょっと待ってて」と言い残し、ぐいぐいひっぱり戦士のところから離れた場所に来る。

「ちょっと!ペーリーさん、これはどういうことですか!」

 僕はたまらず声を荒げる。

「ごめんなさい、ライスさん!いまのあいだだけでいいから、夫婦役、演じて!」

「どうしてそんなことする必要あるんですか!」

「だってお兄ちゃん、魔の者が大嫌いでさ、あたしが闇の魔導士になったって聞いたら激怒しちゃうよ、おまけに暗黒魔女と魔神と一緒に旅してるなんて言ったら打ち首にされちゃう!」

「そんなのすぐにばれますよ、正直に言ったほうがいいですって!」

「この場だけごまかせればいいのよ、あたし、今こんなかわいいかっこしてるし、ぜったいバレないわ」

「それで、結婚してるっていうのはなんの意味があるんですか!」

「このままだと、実家につれもどされちゃうわ!そうなったら、あたしガイターさまとお別れになっちゃう~!それにライスさんだって悲しいでしょ?」

 悲しくありません。と、即答したかったが、そこが気の弱いところで、なかなか言えないのだ。

「ほら、あっちでお兄ちゃん、怪しんでる顔してるよ。ライスさん、しっかりして!お兄ちゃんに結婚してるって言ってくれればそれで大丈夫だから!」

 勝手なことばかり言っているペーリーさんは、再び僕の手を引いて戦士のところに連れていく。

 目の前の戦士はとても不機嫌な顔をしている。あ~イヤだ。さっさと終わらそう。

「あ、あのですね、不本意ながら、僕たち結婚してまして、まあ、そういうことで・・」

「貴様ふざけてるのか・・」

 こめかみに青筋をたてた戦士が、剣を鞘から引き抜いた。


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