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盗賊の襲撃 ④

「ヒ、ヒー!」

 倒れた樹木はブスブスと煙を上げ衝撃のすさまじさを物語っている。

 くだんの3人は、その樹木のそばに悲鳴をあげ腰をぬかしてへたり込んでいる。

「さて、バトルしましょうか!?」

 腕を振り回しながら、ペーリーさんが3人に近づいていった。

「あわわあわわ・・」

「ペーリー、もういいわ。そこのあなた達、倒れている仲間はちゃんと連れて、どこかに消えなさい。それから盗賊稼業をこれからも続けるなら、わたしが駆け付けるから覚悟しなさいね」

 ファンさんがそう言うと、かくかくとうなずく戦意喪失の3人。木の陰から、残っていた盗賊も出てきて負傷している仲間をかかえ、すごすごと立ち去っていく。

 すると、盗賊の中の一人が、肩にしょっていた皮袋を僕たちの前に、うやうやしく差しだした。

「これは?」

 ファンさんが不審そうに聞くと、

「へえ、こいつは手前のバシフ村で、ぶんどってきた金です。あんたらこの先バシフ村に寄るでしょうから、そこで村人からワシらに金を奪われたと聞くでしょう。そこで激怒したあんたらに、駆け付けられたらたまらんですから、前もって白状すると同時に、金を村に戻してほしいんでさ」

「ふ~ん、ずいぶん殊勝な態度ね。いいわ、これは、わたしが預かって村のほうにお返しします」

 お金の入った袋をファンさんが受け取ると、その盗賊もさっとその場から去り、夜の静寂が戻った。盗賊の落としていった松明を立てかけ、その場の灯りを確保した。

 そこで、ファンさんがペーリーさんをねぎらう。

「ペーリー、お疲れ様。あなたの術を拝見させてもらったわ。法術を基礎にして、契約した闇の王ガガラデスの魔力を応用させているのね。守備系の術を攻撃系に転用もできるし、よく勉強したわね」

「・・さ、さすがファンおねえさま。そこまで看破されるなんて、敬服します。最後の雷撃すごかったです。ピンポイントで雷を落とすなんて、普通はできないですよ」

 僕には魔法のことは分からないけれど、なにかレベルの高い会話をしているんだろうなと思ったとき、ガイターさんが二人に話しかけた。

「ファンもペーリーも、ここは南国だからいいだが、明け方は寒くなっかも知んねえから、あんまりそんな薄着でいてカゼひかねえように気いつけてけろ」

 そう、あまり気にしてなかったけど、ガイターさんの言葉で、二人の格好をあらためてじっと見てしまった。

 二人とも薄いシーツを体にまとわせているが、体のラインは分かってしまうし、ふとももはあらわだし、胸なんかも結構露出が多い・・

「ラ、ライス君、あんまりじっと見ないでね・・」

 ファンさんが腕で胸を隠し、恥ずかしさで顔を赤らめる。

「ライスさん、こういうときは見ないようにするのがエチケットです!」

 と、同じく胸を押さえたペーリーさんから釘をさされた。

 僕はハッとした。違う、違うんだ、決してそんな目で見てたわけじゃ!弁解の言葉を頭の中で探していたら、ペーリーさんから、

「もう、ライスさんのエッチ~、わたしたち、これからまた寝ますね」

 と言われ、女子二人組は荷馬車の荷台に上がっていった。

「どれ、オラたちも、もうひと眠りするべ~」

 ガイターさんはのん気に寝場所の岩のほうに向かって歩いた。

 そもそもガイターさんがあんなこと言わなければ・・、いや、人のせいにするのはよそう・・。

 あー、エッチな人扱いされてしまった。今夜は眠れるだろうか?

 そんなことを思いながら、僕も寝場所のハンモックに向かったのだった。


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