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盗賊の襲撃 ②

「さて、おまえら覚悟はいいか」

 盗賊の一人が僕たちにそう言うと、周りのやつらも興奮の笑い声を上げだす。その下品な笑いを切り裂くように、

「わたし、あなたたちみたいに、集団で女を襲うやつ大嫌いなのよね」

 と、不機嫌な顔をして腕組みをしているファンさんが、ピシッとした声を上げた。

「ほう、おれたちに囲まれてもビビりもしねえ。威勢がいいじゃねえか」

 ファンさんの声に触発されて、どいつもこいつも目がすわっている。

「ペーリー、あなた、このくらいの人数いける?」

「はい、ファンおねえさま。まだまだ物足りないくらい」

「そう、わたしがやってもいいけど、わたし、あなたの力も見てみたいのよ。やつらを殺さないでやってみて」

「フフ、じゃあ、どのくらい苦しめようかしら」

 ニヤッと笑い、舌をペロッとだして口のはしをなぞるペーリーさん。

 普段は見せない殺気が舞い散る。闇の魔導士たる彼女を初めて見た。

 彼女は、ふとももにバンドで留めてあった水晶の棒を外し、それを握りしめると同時に呪文を唱えた。

「我が守護神たる闇の王、そなたの従徒たる我の身を守りし黒き炎を出したまえ」

 呪文の詠唱と同時に、黒い炎幕のようなものに包まれたペーリーさん。そのペーリーさんに盗賊が3人がかりで突っ込んできた。

 だが、黒い炎のようなものに触れると、「ギャー」っと大声を上げ、地面の上をのたうった。そいつらを見ると、炎に触れたと思われるところが、ブスブスと燃えている。

 続いて呪文を唱えると、霧のようなものが5~6人の盗賊を包んだ。これもまた盗賊は悲鳴を上げてのたうった。この霧は塩酸のようなものなのだろうか。ジュージューと音がし、皮膚を焼いて溶かしているようだ。

 あっと言う間に半数の盗賊が倒れた。

 夜の闇に松明の炎が浮かび、それに照らされ、のたうち回る盗賊。その間を縫い、悩ましい恰好でフフっと楽しそうに歩くペーリーさん。

 これが闇の魔導士・・けっこう怖い。

 と、そこへ、僕たちの後ろからムクっと出て来た肉付きのいい大男。

「おめぇら、何やってんだべか?」

 ガイターさんがのそっと顔をだした。彼は岩の上に寝ていたはずだが、場所が離れていたので盗賊に見つからなかったようだ。

 その、いかつい風貌に、残っていた盗賊たちはビビり、後退する。

「てめえら、用心棒をやとってやがったのか!どうりで強気なわけだ。だがオレ達にも心強い先生方がいるんだぜ!」

 遠い位置に後退した盗賊の一人が怒鳴り散らしたあと、ペコペコと誰かに頭を下げている。その盗賊の脇を3人の人物が通って僕たちのほうへ向かってきた。

「ほう、俺たちに仕事がまわってくるとは珍しいじゃねえか」

「そうですね、まあ、たまには動くのもいいでしょう」

「さあ、さっさと終わらして、うまい酒のむぜ」

 盗賊の言った、先生方という人たちが、姿を現した。


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