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盗賊の襲撃 ①

 夕食を終えたあと、男女交代で夜の川で水浴びをし、体の汚れを落とす。

 ペーリーさんは、あたしもう裸を見られてるし、ガイターさまとペアで水浴びでいいわと発言したが、みんなが一緒なんだから節度ある行動をしなさいとファンさんにたしなめられ、手を引かれて川に行った。

 残った僕とガイターさんは食事の後片付けだ。

「ライスっち、オラ、マヒワリ国を出発するときに街の連中に聞いたんだども、ミスーレ帝国までの道のりっつうのは結構危ないみたいだべ、十分気をつけてけろ」

「そうですか、ガイターさんやファンさんが一緒なんで、危機意識が下がってましたけど、気をつけるようにしますね」

 ガイターさんの話しに、そうは返事したものの、護身術を身につけているわけでもなく、どう気をつけていいのか分からない。まあ、変な人物には絡まないでおこうと思う。

 そう思った矢先に、向こうから絡まれることになるとは露ほども考えなかった。

 夜もふけたので、ファンさんとペーリーさんは幌馬車の中で、僕は木にハンモックを吊るし、ガイターさんは大きな岩の上にワラ布団を敷くと、それぞれ睡眠へと入った。

 どのくらいの時間が過ぎただろうか、なんとなくガヤガヤする気配に目が覚めてくると、いきなり複数の男に腕をつかまれ、「おい、起きろ!」と、強引に立たされた。

 まだまだ夜のど真ん中で、周りは真っ暗。

 男たちが持つ松明の灯りで、かろうじて状況を判断する。

「あの、あなたたちは?」

 いきなり起こされ、まだ頭の整理がつかず、半分寝たような状態で相手に問う。

「お~、お坊ちゃん、俺たちはな、野風団っていう盗賊よ。おまえみたいに、のん気に野宿なんかしてる奴の持ち物を、ありがた~く頂いて暮らしてるのさ」

 僕に目の前の、薄汚いヒゲづらの男がそう話しているさなか、

「おい、こっちこいよ!馬車に女が二人いたぜ!それも上玉だ、こいつは楽しみだぜ!」

 と、声が聞こえてきた。

 ファンさんとペーリーさんのことだ!

 幌馬車の周りに盗賊どもが群がって、ヒャッハー!と大騒ぎしている。

 大丈夫だろうか?心配になって、二人のもとに駆け寄るべく、つかまれている腕を振りほどこうともがいたが、僕の腕をつかんでいる男は、僕より頭一つ大きく筋骨隆々で、とても太刀打ちできない。

 僕は、盗賊の群れの中を馬車のほうに引きずられるように、歩かされた。

 ファンさんとペーリーさんの隣に立たされ、とりあえず二人が無事なのを見てほっとする。

 ただ、二人とも寝ていた格好が、体に薄いシーツをまとわせているくらいなので、それを見ている盗賊どもの色欲が増々膨れ上がるのがわかる。

 ざっとだが、盗賊どもは20人くらいの人数のようだ。

「ライス君、大丈夫だった?」

 ファンさんが心配の声をかけてくる。

「ええ、僕は大丈夫です。お二人とも無事なようでよかったです。でもこれからどうなることやら」

 僕がそういうと、

「そうね、この盗賊たちがどうなることやら」

 と、ファンさんは薄く笑うのであった。

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