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闇の魔導士 ペーリー・カーン ⑤

「気持ちは分かったども、オラ結婚なんてする気ねえだ」

 と、申し訳なさそうに言うガイターさん。

 そんなガイターさんをウルウルさせた瞳で見つめペーリーさんは悲し気に声をだす。

「ガイターさま、あたしのこと嫌いなの?」

「ペーリー、ちょっと待ちなさい」

 その場をファンさんが制する。

 ちなみにファンさんは、ペーリーさんから、おねえさまにはどうしても呼び捨てで呼んでほしいと言われているので、あえてそうしている。

「ペーリーの思いは分かるけど、人のことを好きになる速度は人それぞれよ。ペーリーみたいにバッと燃え上がるような恋をする人もいれば、炭火のように火が付くまでに時間がかかる人もいる。火がつかないときだってあるの。そして、一緒に灯りがともるかは、運次第なのよ」

「はい、でも・・」

 ペーリーさんは、少ししょげて悲しい表情をしている。

「じゃあ、ガイターさまに好きになってもらえるまで、一緒にいればいいのかな・・・、そうよ、そうだわ!あたしもこのパーティに入れてもらえばいいのよ!」

 なんだ、このパーティって!僕たちは別にチームをつくって行動してるわけじゃないぞ。なにを勘違いしてるんだ!

「ファンおねえさま、ぜひ、あたしを仲間に入れて下さい。お役に立てるよう頑張りますから!」

「それはわたしの判断することじゃないわ。ガイターが了解するここと、リーダーのライス君の許可が必要よ」

 ファンさんの言葉に、ハッと僕の方を振り向くペーリーさん。

「えっ!このパーティってライスさんがリーダーだったの!?それは意外だわ!」

 僕のほうこそ意外だよ!いつから僕がリーダーになったんだよ!?ファンさんも僕に下駄を預けてホントにも~!

「あの~、ライスさんって魔力を感じないんだけど、いったい何者なのかしら?」

「僕はただの人間です!仕事でシェフをやってます!」

「へ~、シェフなの?地獄の料理人とか、魔界の毒殺魔とか、そんな通り名がついてるんでしょう?」

「失礼ですね!そんな通り名なんてありませんよ!」

 ほんとにこのペーリーって子は言動がデンジャラスだよ。一目ぼれの相手をのぞき魔扱いするし!まかり間違ってガイターさんと夫婦になったら彼が気の毒すぎる。

 だいたい、暗黒魔女だの、魔神だの、その上、闇の魔導士だって?僕がどうしてその中にいるんだ?あまりに場違いだろう!これ以上規模が大きくなるのは避けなくちゃ!

「あの~、ガイターさんも困りますよねえ、その気もないのに女の子がついてくるなんて」

 と、水を向けてみたが、

「オラ、別にかまねえだよ、まあ、なるようにしかならねえべ」

 と、なにを考えてるんだか分からない発言をする。少しは空気を読むくせをつけろ!

「じゃあ、あとはリーダーのライスさんの許可だけですね」

 そう言うと、ニヤッとするペーリーさん。最終判断を下す役が回ってきてしまった。

「ライスさん、お・ね・が・い」

 と、ニヤッとした表情から一転、両手の人差し指を口の前で合わせ、クリンとした瞳を上目づかいにし、甘えた声をだしてきた。

 う、う~、どうしよう!?あっ、さらに首をかたむけて、かわいさアピールしてくる!

「は、はい。これからお仲間でやっていきましょう」

 と、悲しすぎるほど弱気の僕はそう答えた。


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