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闇の魔導士 ペーリー・カーン ③

「け、結婚ですか・・」

 いきなりの展開について行けず戸惑う僕。

「そうよ、だからね、あたし、この人のことガイターさまって呼んでるのよ。こうみえても、男の人をたてるタイプなの」

「あなたたち、もめてたんじゃなかったの?」

 ファンさんもたまらず質問に入る。

「そうなの、ガイターさまったら、あたしの裸を見たくせに、結婚するのイヤだってダダこねるんですもの」

「なんでオラが結婚すんのイヤだっつうのがダダになんだべか?」

「のぞき魔は黙りなさい。ガイターさまは、おとなしくあたしの言う通りにすればいいの」

 相変わらず口が悪い子だ。しかし僕たちは、なにを見せられているのだろうか・・

 男の人をたてるなんて言ってたのに、そんな様子はみじんもないし。

 それはともかく、結婚の件はペーリーさんからの一方的な話のようだ。

「あのですね、結婚というのは両者の合意に基づいてですね・・」

「ちょっと、部外者は余計な口をはさまないでくれる?!あたしとガイターさまはね、陰流占星術によると、最高の相性なんだから」

 なんだ、その占星術は!はたから見たら相性最悪じゃん。

 だいたいのぞき魔って言ってる人と結婚するってどういうことなんだ?

 そんなことを僕が考えていると、

「目的はなにかしら?」

 と、腕組をしたファンさんがキリっとした口調で問う。そのビシッとした態度に、そこにいる皆がのまれた。

「え、目的?だ、だって、あたしとガイターさまは、相性が~・・」

「お為ごかしは止めなさい!」

 バシッと応接テーブルを叩くファンさん。僕もそうだが、目の前のペーリーさんはかなりビクッとしていた。

「おめ、あんまりこの人のこと怒らすんでねぇ、オラのことを魔神ガイターだって知ってたくれぇだから、この人のことも分かるべ。大草原の暗黒魔女、ファン・エレートだぁ」

「!!!」

 衝撃を受けたのか、ペーリーさんは目を見開き、口をポカンとあけて固まる。

「あ、暗黒魔女・・ファン・エレート・・ほ、ほんもの・・ですか・・」

 カタコトのセリフをやっとの思いでだしているという感じだ。

「あ、あの、あの、あたし、一度でいいから、あなたにお会いしてみたかったんです」

 ペーリーさんはブルブルと震え、感涙にむせび泣いている。

「そう、わたしがファン・エレートよ。ペーリーさん」

 そう自己紹介し、ニコッと微笑む。なんか勝負あったという感じだ。

「す、すいません。ファンおねえさまってお呼びしてもいいですか」

 あこがれの人に会っている緊張なのか、震えながら声を発するペーリーさん。

「あら、わたしは、おばさまじゃなかったの?」

 と、ファンさんは微笑みながらもチクっとひとさし入れる。

 思い出したとばかり顔を青くしたペーリーさんは、

「ひ~、ご、ごめんなさ~い」

 と、ロビーいっぱいに響きわたる声で謝罪の言葉を叫ぶのであった。


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