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闇の魔導士 ペーリー・カーン ②

 二人で同時にガイターさんを見ると、

「ご、ごかいだべ、オラのぞきなんかしねぇだ!」

 と、大きな体をちぢこめて、手と首を振っている。

 ペーリーという子は、両手で口を覆い、目をウルウルさせて、

「ひどいわ!あたしがシャワールームで水を浴びてたら、いきなり扉を開けて、この豊満な体をジロジロと見たくせに!」

 と、その時の様子を語った。

「ハハ、それは嘘だべ、ぜんぜん豊満でなかったど。オラ、男かと思ったぐれえだ」

 口が悪いペーリーという子の言葉をはるかに凌駕するガイターさんの返事に、その場が凍り付く。

 ガイターさんに悪気がないだけに、そのありえない言葉に真実味が増してしまう。

 否定するところが違うよガイターさん・・そこは嘘でも見てないって言うところだろう・・

 僕の頭の中が白くなりかける。

「そ、そうね、こ、このホテルって、シャワールームが、だ、男女共有じゃない。きっと、それで、ま・・間違えちゃったのよね、ガイター」

 いつも沈着冷静なファンさんも、さすがに取り繕う言葉に、幾度もつかえが生じた。

「んだ。オラ、マリュフ採りで体じゅう砂だらけになっちまったから、このホテルに来てすぐにシャワールーム入ったら、ギャーって言われてビックリしただよ」

「ビックリしたのはあたしのほうよ!ちゃんと男女のシャワー時間が入り口に書いてあるでしょう!」

「ハハハ、面目ねぇ。これから気をつけるだ」

「これから気をつけても遅いわよ!気をつけるなら初めから気をつけろ!」

 のんびりと頭をポリポリかくガイターさんに、涙目で怒るペーリーさん。こりゃだめだ・・

 だが、いつまでもこうしてもいられない。

「あのですね、ペーリーさん、あなたがガイターさんに怒っているのはよく分かりましたけど、さっき彼のこと、ガイターさまって呼んでたのは、どうしてなんです?」

 話しかける僕の顔を、涙のにじんだ流し目で睨むペーリーさんであったが、目をつぶってフーと息をはくと、

「そうそう、大事な話をしていたところにあなたたちが来たので中途になったのよ。でも、あなた達にも聞いてもらったほうがいいわ。そこにかけて話しましょう」

 彼女がそう言うので僕たちは応接椅子に腰かけて、一息つくためにコーヒーを注文し運んでもらった。

 つかの間の落ち着きのさなか、

「あたしたち、結婚しようと思うの」

 ペーリーさんがいきなり爆弾発言をいたす。

 僕はコーヒーを吹き出してしまった。ファンさんも変なところに入ったらしく、ケホケホと咳込んでいる。

「なんでオラが結婚しなくちゃなんねえんだ?オラ嫁っこさもらう気などねえ!」

 ガイターさんは腕を組んでムスッとしている。

「これは運命よ、魔神と闇の魔導士。最高の組み合わせじゃなくて」

 いたずらな目をしてニコッと笑うペーリー・カーン。彼女いわく、彼女は闇の魔導士らしい。


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