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闇の魔導士 ペーリー・カーン ①

 ガイターさんは、宿泊するホテルで待っているとのことだったので、街の大通りにあるそのホテルに向かい、いま到着したところだ。

 3階建ての中規模なホテルで、玄関を入るとロビーがあり、そこに5~6席の応接セットがあるのだが、いちばん奥の席にガイターさんがいた。

 ところが彼は、応接椅子に座ってはおらず、立って誰かと話している。

 そこに近づくと、話しているのではなく、どうやら言い争っているようだ。

「あっ!ファン、ライスっち」

 ガイターさんは、僕たちを見つけると、助け船を待っていたかのように、こっちに来てくれとばかり手招きをする。

 その様子を察したのか、言い争っていた人物が僕たちのほうに振り向いた。

 それは、金色の髪をショートカットにした小柄な女の子だった。僕と同じ年くらいに見える。茶色のクリッとした瞳で可愛らしい顔立ちだ。黒い聖職者の服を着ているが、着崩していて、どうも聖職者とは様相が異なる。

「この人たちは?」

 女の子は、あやしい人物でも見るかのごとくジトっとした目で、僕たちをみてくる。

「この二人はオラの仲間だぁ、ファンとライスっちだべ」

 なんとなくオドオドしているガイターさんは、僕たちを指さして紹介すると、その子が深々と頭を下げて来た。

「それは失礼いたしました。ガイターさまのお仲間なんですか。あたし、ペーリー・カーンといいます。今後お見知りおきを」

 と、至極丁寧にあいさつをしてくる。

「どうも、ペリカンさんですか。はじめまして、僕はライス・オーモリ―・・」

 自分の紹介が終わる前に、その女の子が口をはさんでくる。

「ちょっと、今なんて言いました?!わたくしのことを大きなお口のトリさんと一緒にしないでいただけます!ペリカンじゃありません!ペーリー・カーンです!ほんとにボ~っとした顔して、少しは脳を活性化させたほうがいいんじゃなくて!このままじゃ若年性認知症発症するわよ!」

 と、ちょっとした名前の言い間違いに、えらい剣幕でまくしたてる。

 な、なんだ、この子、くち悪ぅ~。

 ぼくが呆気にとられていると、ファンさんがその子に声をかける。

「ところで、ペーリーさん、今しがたガイターと言い争いをしていたように見受けられたけど、なにかあったのかしら?」

 その子は思い出したかのごとく、ファンさんに返答した。

「そうそう、おばさま、ちょっと聞いてもらえます?ひどい話なんですよ!」

「お・・おばさま?」

 おばさまと言われたファンさんは、えっ?っという表情をしている。

 その子に悪気があるとは思えないが、言ってはならない文言に、僕はハラハラしまくっている。

 ファンさんは、笑ったような顔に切り替えたが、目の端のほうがピクッっと動いたのを僕は見逃さなかった。

「あたし、このガイターさまに、のぞきの辱めを受けたんです!」

「えっ!のぞき?!」

 思わずな話に、僕とファンさんは驚きの声をあげた。

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