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マリュフ騒動 ①

 やっとたどり着いたマヒワリ国の街の中を、一人トボトボと歩く僕。

 マヒワリ国の街の建物は、強烈な日差しの吸収を避けるため、白い石の外壁を使用しているが、離れたところから眺めると、家々が白い花が咲き乱れているように見えることから、白花の都と呼ばれているそうだ。

 そんな白壁の街の中を、あてもなく歩いているわけだが、南国の暑さのせいで汗が体にまとわりつく。

 ぼくは、なんのためにこの国にまできたのだろうかという思いが頭の中をかけめぐっている。 

 とりあえずは気持ちを落ち着けたくて、冷たいものでも飲める店に入ろうと思った。

 大きなとおりを避けて横道へと入り狭い路地をさまよっていると、バーのようなお店から、小ぎれいな女の人が出てきた。

「あなた旅人みたいね、一人?」

「え、ええ、そうですけど」

「そんなかっこうで日射病になるわよ、よかったら入りなさい」

 確かに帽子をかぶっていないので、髪をさわると熱をおびていて、さわった手まで熱くなる。

「飲み物一杯だけですけどいいですか?」

「大丈夫よ、あなたみたいな子から、ぼったくるつもりはないから心配しないで」

 なにか危険な雰囲気を察しつつも、飲み物を一杯飲むだけだからいいかなと、誘いに応じ店内に入ってみた。

 テーブルが3席、カウンター5席という小さなお店だった。まだ昼間なので客は僕しかいない。

 とりあえずカウンターの奥の席に座ったら、

「なににする?」

 と、先ほどの女性から注文を確認されたので、アイスティーを頼んだ。

 カウンターに両肘をつきながら飲み物を待っていると、先ほどの出来事が自然と頭の中に思い出される。


 僕たちがマヒワリ国に来た目的は、マリュフという伝説のキノコを採るためだった。

 長い旅路の末、やっとマヒワリ国に着いた僕たちは、早速キノコ探しにでかける。

 ガイターさんはマリュフ採りが上手らしく、街はずれの砂漠へと到着すると、砂漠の中をうろうろと歩く。

「おっ!運がいいべ。菌糸が見つかっただ!」

 砂の上にあるという、その菌糸とやらを見てみるが、なにも見えない。さわると崩れるので絶対さわってはいけないとのこと。

 菌糸が細すぎるのか、それとも光のかげんなのか、理屈はわからないけれど、どうやらそれはガイターさんにしか見えないようだ。

 なるほど、これでは彼しかマリュフが獲れない訳だ。合点がいった。

「ここからが大変なんだぁ」

 そう言うと、持ってきた大きなシャベルで砂地を掘り出すガイターさんであった。


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