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恐怖の一夜 ⑥

「ファンさんー!」

 僕の心のなにかがプツンと切れた。無意識に近くの長燭台を手に取り、うわー!っと雄たけびを上げて吸血鬼に立ち向かった。

 しかし、振り向いたヤツが、僕に向かって手をバッとかざす。

 そこに風圧が生じ、僕は後方へゴロゴロとはじき飛ばされテーブルに衝突した。

 強烈な痛みが生じ、フッと我にかえる。アリが象に戦いを挑むようなことをしてしまった・・

「ゴミが、まあいい、始末してあげよう」

 見下したような目つきで、僕のほうににじみよる吸血鬼。

 あー!っと大声とともに近くにあったものを吸血鬼になげつけた。食器や、燭台、飾りの花!

「馬鹿め、ハハハハハ」

 地獄から出て来たような怖ろしい顔が、大きな笑い声を伴って眼前に迫ってきた。

 恐怖に体がガタガタ震え、意識しない涙が出まくる。

「く、来るなー!」

 近くのものは、投げつくしてしまった!僕は恐怖による無意識の中で、自分のポケットに入っていたものを投げつけた。

 それは、ほんとに何千分の1かの確率であっただろうが、笑い声をあげる吸血鬼の口の中にスポっと入ってしまい、ストレートに食道を通過し腹の中に入っていったようだ・・

 その瞬間、

「ギャー!!」

 すさまじい咆哮を上げ、吸血鬼は床の上でゴロゴロと横転、腹を押さえてのたうち回り、しまいには白目をむいてピクリとも動かなくなり気絶してしまった。そして、それと同時に、周りにいた女性たちも一斉にバタバタと崩れ倒れた。

 な、なにがおこったの・・いきなりの出来事に放心となる。

「う、うう、ライスっち、よくやったべ」

 まだ、うずくまっているが、一応声だけは出せているガイターさん。

「え?え?こ、これって・・?」

「へへ、無意識だったべか。ライスっちが最後に投げつけたのニンニクだべ。吸血鬼はニンニクが大敵だぁ、それを飲み込んじまっちゃ~たまんねえべ」

 ニ、ニンニク?ポケットに手を入れてみと、確かにニンニクのカサカサとした皮が残っている。

 ああ、そうだ!ここにくる前にガイターさんに、たき火で焼きニンニクをつくってあげたっけ。あの時、ニンニクを馬車からもってくるのにポケットに入れてもってきたんだ。それが少し残っていたのか・・


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