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対決の序章 ④

「ペーリー!」

 ファンさんとガイターさんは、ペーリーさんを救出するべく身をのりだした。

 だが、爆動の魔女が、掌底をファンさんに、蹴りをガイターさんに同時に繰り出す。攻撃を受けた二人は後方に吹っ飛び、壁にドカッと激突した。

 二人とも床に倒れこんだが、ううっと、うめき声をあげながらも、よろよろと立ち上がろうとする。なんとか大丈夫のようだ。

「あら、あなた達やるじゃない。うまく攻撃をさばいて急所の直撃をさけたのね。でも、その娘とっても強いでしょう!今のも、かなり手加減した攻撃だったのよ。その娘はね、わたしと魔神ライアーンのあいだに出来た子よ。あなたたちの妹になるわけね」

 マースは、ペーリーさんから唇を離すと、衝撃の言葉を口にした。

 爆動の魔女とやらが、ファンさんとガイターさんの妹にあたるなんて!あまりに複雑な関係をたやすく作り上げるマースの節操のなさに、出る言葉がない。

 だが、それよりもペーリーさんが心配だ。

 氷結の魔女が、つかんでいた手首を離すと、ペーリーさんはドサッと床に仰向けになった。その体はピクピクとけいれんしていて尋常ではないことが一目で分かる。


『ライスさん、あなたがパートナーだったらいいなってこと』


 昨日ペーリーさんが僕に言った言葉が、なんの脈絡もなく頭に浮かぶ!そして、それが合図だったかのように、自然に僕の足が動いた。

「ペーリーさん!大丈夫ですか!」

 叫びながら彼女に近寄るが、その間際にすごい力で髪の毛を鷲づかみにされ、動作を止められてしまった。

「ふ~ん、あなたはただの人間ね。まあいいわ、あわてないでそのペーリーって娘をよく見なさい。体がピクピクしてるのはね、痛みじゃなくて、気持ちよすぎてあえいでいるのよ」

 マースはつかんでいる僕の髪の毛をぐいっと引いて、ペーリーさんのそばに僕の顔を寄せた。

 ペーリーさんは、うつろな目で涙を流し、口のはしからよだれが垂れ、ハアハアと荒い呼吸をしている。体のけいれんは治まる気配がない。

「おまえ!ペーリーさんになにをしたんだ!」

「フフッ、この娘の口からね、体の内部に快楽の魔法を入れてあげたの。内部からの魔法の効きは半端じゃなくてよ。言ったでしょう、あたしは淫欲の魔女、この手の魔法がとっても得意なの」

 なにが愉快なのか知らないが、マースはそこでアハハハと笑い声をあげた。

 それをうつろな目でなんとか見ていたペーリーさんが、仰向けのまま片ヒザを立て、太ももにしばってあった水晶のタクトを取ろうとしている。

「・・ラ、ライスさ・ん・・あぶな・い・・」

 絞り出すような声を上げたペーリーさんだが、それを見たマースは目つきを鋭くしてニヤリとした。

「このペーリーって娘、あんたを助けようと水晶のタクトで魔法を使おうとしているわね。なんともけなげじゃない。でもね、おいたはダメと言ったでしょう」

 その言葉に氷結の魔女が反応し、先ほどと同じようにペーリーさんの手首を捕まえ持ち上げ、マースはまたもペーリーさんの口に自分の口を重ねた。

 三度ほどビクビクと体を大きく揺らしたペーリーさんは、首をだらんとかしげ、パタッと動かなくなってしまった。


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