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対決の序章 ①

昨日ご覧いただいた方へ。

昨日はパソコンの不調で投稿できませんでした。お詫び申し上げます。

今後ともよろしくお願いいたします。

 もう、すっかり陽が昇っている。

 僕は眩しい朝の光の中を、今見た出来事を皆に伝えるべく、宮殿のほうに足を向け走っていた。

 宮殿の隣に隣接する来賓館の大きなドアは開放されていたので、鬼のマントを外し、透明になっていた状態から体を元に戻すと、皆を探すために中に飛び込む。

 すると、偶然なのか、広間に全員がそろっていたのが目に入った。そこにはソシミール陛下もいる。これはいったい何ごとかと思ったが、たぶん逃げ出した僕のことで集まって話し合っていたのだろうと予測された。

 その予測が間違っていない証拠に、ミルフが僕を指さして叫ぶ。

「あー!元カノのとこに行ってたライスおにいちゃんが戻って来た!」

 ウソの置き手紙の内容のことではあったが、ミルフのような小さな子供にまでそんなことを言われ、とてつもなく恥ずかしくなった。

 だが、そんなことを言っている場合ではない。まずは、ファンさんに母親の魔女のことを説明しなければ。

「ファンさん、大変なことになりました!」

 その場にたたずむファンさんは、軽蔑が入ったような眼差しで僕のほうをジロっと見る。

「そうね、ほんとに大変だわ。今もソシミール陛下に聞いたわ。昨日あなたの部屋で話していたとき、陛下は透明になって部屋にいたそうね。あんな会話を聞かれて、とんでもなく恥ずかしい思いよ!」

 他の人には聞かれないように、僕にだけボソッとつぶやいた。

 そう言われると、今更ながら逃げ出した心境がよみがえってくるが、今はそれよりも大事な話なのだ。

「すいません。そのことは後日きちんと謝ります。いま話すことはそれとは関係ないことなんですが、ちょっと聞いて下さい」

 嘆願するように、丁寧に言ったつもりだが、ファンさんは、僕からプイと顔をそむける。

 もう、大事な話なのに!イラついてしまい自然に声が荒くなってしまった。

「いいから聞いて下さい!ファンさんのお母さんの魔女を、すぐそばの林で見かけたんですよ!そして、ここの筆頭賢者のかたと、密会してたんです!」

 怒り口調にビックリしたというのもあるのだろうが、それよりもその衝撃的な内容に皆は目を丸くして僕を見る。爆発の現場でも見るような目だ。

「そ、それはほんとうなんですか?」

 ソシミール陛下は、半分ふるえたような口調である。

「ええ、ほんとうですよ!この耳でちゃんと聞きました。具体的になんの件が絡んでいるというのは知りませんけど、以前から通じているような話はされてました」

 頭の中で色々なことを整理しているのか、陛下は遠くを見るような目で押し黙ってしまった。

 ファンさんはファンさんで、どうしていいのか考えあぐねているような顔をしていたが、「ライス君、その場所、教えてちょうだい!わたし行ってみるわ」と、目をキリリとさせ、母親に会うことを心に決めたようであった。


「ふ~ん、こういう事なの」

 そのとき、この場に女性の声が響いたので、後ろを振り返り声の主を確認したら、心臓が止まるほどの衝撃を受けてしまった。

 なんとその女性とは、先ほど見たファンさんの母親でもある魔女、マース・モケナガンであった。


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