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ダンジョン

「おーい、ご飯できたわよゴロツキなんて一人で十分なカイトきゅん?」


 嘲るような口調でカイトを呼ぶカナミ。布製のテントからニュッと顔を出したカイトは、不機嫌そうにたき火の側にどっかりと座った。


「・・・いつまでこのネタ引っ張るつもりだよ」


「アタシが飽きるまでよん。さあ、ご飯食べましょ」


 ケラケラと笑いながらカナミは用意したご飯をカイトに差し出す。木製のお椀に盛られたそれは、ドロドロとした茶色の物体が並々と注がれていた。


「ソイフード・・・か。代わり映えしねえな」


 鉄鍋で水と供にドロドロになるまで煮込まれた大豆粉。品種改良を重ねられた大豆の栄養価は高く、劣悪な環境化でも用意に育てられるというまさに救世主のような食材である。


 今の世でもっぱら主食とされているこの食材だが、唯一の難点として ”非常に味が悪い” という難点があった。


 品種改良された大豆による ”ソイフード” は、まさに生きるために仕方なく食べるような粗末な食事なのだ。


「ねー、たまにはお肉でも食べたいわね」


 先の戦争の影響で、野性の動物は大半が化学物質に汚染されており、”肉”そのものが高級品へとなってしまった。


「・・・今回のロストは売り払って、久しぶりに旨いモノでも喰うか?」


 目的のロストは、本当はコレクションとして取っておこうと思っていたのだが、依頼を受けたわけでも無い今回のロスト収集は一銭の金にもならない。久しぶりにおいしいものでも食べたいと思ったカイトはそう提案した。


 しかしカナミは思いっきり顔をしかめて反論したのだった。


「えぇー? 売るのは別にいいけど・・・せっかくのお金を食べたら終わりの食事に使うっての?」


「お前がうまいもの食べたいって言ったんじゃねえか」


「そーだけどさー。でもやっぱり食事よりも使うべきモノがあると思うなー」


 パクパクとソイフードを食べながらそんなことを言うカナミに、カイトはジト目で反論をした。


「どうせ新しい銃を買うつもりだろ?」


「・・・・・・いいえ」


「嘘つけ、じゃあ何買うんだよ」


「・・・・・・・・・別にいいじゃないそんなの」


 カナミは重度のガンマニアだ。彼女の態度を見れば、銃を買うつもりだったことは明らかだった。


「・・・今回のロストで得た金では肉を買う。文句ねえな?」


 カイトの言葉に、流石に分が悪いと悟ったのか、カナミは深いため息を吐いて了承したのだった。



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