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強奪者





「・・・・・・ったく。何で俺たちは毎回死にかけてんだよ」


 ぜいぜいと息を切らしながらぼやくカイト。とても激しい戦闘だった、周囲には石像の残骸が転がっている。


「それがハンターってもんでしょ? ロストも無事に回収できたんだから、文句言わないの!」


 カナミはそう言いながら、今回の成果を砕かれた石像の指から外した。


”氷の覇者のリング”


 その威力は、先の戦闘で身にしみてわかっている。


 カナミは青色に輝く宝石がはめ込まれたリングを、大切そうに右手の人差し指にはめると、その輝きを確かめるように眺めた。


「綺麗ね・・・とてもこれが兵器だとは思えない」


「まあな、どういう原理であんな力が生まれるのかはわからんが・・・・・・ロストなんて全部そんなもんだろ?」


 失われたテクノロジーを解明することに興味などない。


 そんな事は物好きな科学者達の仕事だ。


 ハンターはただお宝を回収するのみ・・・・・・。


 カイトの言葉に、カナミは小さくため息をついて、「ロマンの無い男」と言いながら立ち上がる。


「さて、帰るよ」








 談笑をしながらダンジョンから脱出した二人。


 薄暗いダンジョン内にいたため、地上を照らすギラギラとした太陽の光に、一瞬目が眩んでしまった。


 そして、その一瞬が命取りだった。


 強い衝撃がカイトの左側頭部を襲う。


 自分が何物かに蹴り飛ばされたと理解した時には、既にその体は吹き飛ばされていた。


 比較的小柄なカイトとはいえ、地面と平行に人間が吹き飛んでいく様子は現実味が無い。敵襲を察知したカナミはすぐさま距離を取り、腰のホルダーからリボルバーを引き抜いた。


「まずは一人・・・・・・お嬢さん、悪いことは言いません、投降をオススメいたします。その指輪を渡していただければ、これ以上危害は加えないと約束しましょう」


 襲撃者は高級なスーツを着こなしたハンサムな男だった。


 背はスラリと高く、体はほどよく鍛えこまれており、どことなく獰猛な肉食の獣を思わせる雰囲気を纏っている。


「あーら、ハンサムさん。奇襲でアホ一人をノックアウトしたくらいでいい気にならない方がいいわよ? 体に風穴開けられたく無かったら失せなさい」


 そうは言ったものの、カナミのハンターとしての勘が、目の前の男に対して最大級のアラームを鳴らしていた。


 不意打ちとはいえ、カイトは一流のハンターだ。


 生半可な一撃なら、殺気を察知して回避をしていただろう。


 目の前の男は危険だ。容赦などいらない・・・・・・・全力でやらねば、狩られるのは自分だ。


「残念ですね・・・・・・女性をいたぶる趣味はないのですが」


 ゴキリと首を大きくならし、男が臨戦態勢に入った。


 放たれる圧倒的なプレッシャーを感じながら、カナミはリボルバーの引き金に指を掛ける。


「寝言は寝て言いな!!」





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