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3/5

○真夏の雪

 カーテンをちょっぴり開けて

 太陽の光を呼び込んで

 飛び込んできたのは真夏の雪

 掴んでは投げ

 掴んでは投げ

 それでも空間を泳ぐ雪は消えず

 私の心をひらひらと揺れ動かす

 いつかあの人が言っていたように

 見えないものが私たちを取り巻いているようで

 その見えないものが日常の証

 はっと閃いた宇宙の根源

 ぱっと消えるのは夢幻

 でもそれが私の誇りとなって

 私は明日も生きていく




○幸せのかたち

 私は役を演じてみたいと そう思うのです

 だって 規定された生活の中に 何があるというのです

 愛しき人と共に朝を迎え ご飯を食べて 買い物へ出かける

 そんな生活 どこにだってありふれているから

 だから私は 役を演じてみたいと そう思うのです

 一瞬一瞬だけなら 規定された生活の中を生きていける

 そんな気がします

 私はその 規定された生活を渡り歩き そして 気付きました

 幸せは 幸せというものは規定された生活の中にしかありえないのだということを

 でもね

 その幸せのかたちもまた規定されたものなのです




○眩暈

 ああくらくらと眩暈がします。こんなところで立ち止まっていては危ないのにどうしたことでしょう。手すりを求める私の手は虚空を掴むばかり。私の身体は奈落の底に落ちていくんです。きっとそうなるのです。

 現実の世界がどんどん遠ざかっていきます。階段の脇を行く車の走行音も火事現場に急行するヘリの音もファズをかけた音の塊となって私を包みます。そしてきっと私は階段を転げ落ちていくんです。

 ぱっと私の手を包む何か。この温かみを最後に感じたのはいつだったか。冴えないけれど優しい目をした誰か。私を助けてくれたのか。それは分からないけれど私は眩暈の中できっと恋に落ちていくんです。




○別れるなら春の季節に

 別れるならきっと

 別れるならきっと

 あの若やいだ人混みの中で

 そっと桜の花びらが散っていくように

 そうやって別れることはできませんか


 悲しみも歓びも苦しさも楽しさも

 いつか向こう側で混じり合うはずだから

 何ものかを共有するあの若やいだ人混みの中で

 そっと桜の花びらが散っていくように

 そうやって別れることはできませんか


 梅も桜も分からぬあの子らと

 きっと呉越同舟

 同じ川を流れていくのが人生だから

 そして同じところに辿り着くのが人生だから

 同じ行き先を共有する私たちは

 それでもそっと桜の花びらが散っていくように

 そうやって別れることはできませんか




○返歌

 あなたからの歌が届きました

 とても素敵でとても楽しくてとても切なくてとてもとても

 今の私はあなたの歌なしでは生きていけません

 それは大げさなことではなくて真実本当なのです

 ふとした瞬間にあなたの歌が頭のなかに響きます

 きっとこれは一つの完成形ですね

 だから次の瞬間にはきっと崩れてしまうのだろうけれど

 その一瞬を感じることができたのだとしたらそれはとても嬉しいことです

 そうしたときめきを胸に秘めて生きていくことができたなら

 移り変わるなかでそれはきっと難しいことだけれど

 そうあることができたなら

 やはりそれはとても幸せなことなのです

 この先にあなたを待っているものもまた幸せな結末であることを

 私は切に願います

 そしてまたあなたの歌を反芻しながら

 私は今を生きていきます




 あなたからの気持、とどきました。

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