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売られた女冒険者

 その後は何事もなく進むことができ夜営場所にたどり着いた。


 夜営場所と言っても馬車を止めるために整地しただけの広場で湧き水が涌き出ている奥に6畳あるか無いかのログハウスもある。


 ちなみにテントなどは立てない、火の番をしながら夜を越すのだ。

 俺たちは手分けして薪を拾い夜営場所に集めた。多ければ多いほど良いらしく次の商隊の分も多目に用意しておくのが習わしらしい。

 先程のログハウスは薪をおいておく建物なのだそうだ。


 食事は用意されていなく、各自で自分の持ってきている食料で腹を満たす。

 クランチ達は長細い携帯食料を取り出しボリボリと音を立てて食べ始めた。


『ケバ子あの携帯食料ってなんだ?』


『ナッツ類を小麦で固めたものです、一応昨日の内に私達の分も買ってありますが』

 渡されたそれはブロックのように固くとても食欲がわくものではなかった。


『おいしいのか?』


『まずい上に口が乾きます』


『ケバ子料理できる?』


『はい、妹からはシェフになれると太鼓判を押される程度には』


 俺は先程取った食材を取り出すとシートの上に置いた。


『これで何か作って』


『調理道具がないので焼くしかできませんが』


 そりゃそうだ、俺もよくよく抜けている。それでも、この石のような物を食べるよりましだろう。


『構わない、それで頼む』


 ケバ子は近くの竹のような植物を剣で切り落とすと何個かに切り分けて

器用に台を二つ作り上げた。


 一つは普通の作業台でもう一つは骨組みだけの台?


 見ているとてきぱきと作業をこなしていく。

 生活魔法で作業台や手や自作の器具を清潔にする。

 ゴブリンの手だと確実に病気まっしぐらだしな。


「ゴブリンメイジ……。いや先程剣を使っていたし」


 クランチや新人冒険者達、()てはザコルフ達も顎がはずれているかのようにあんぐりと口を開けてケバ子を見ていた。

 どうやらあの骨組みの台はコンロのようなものらしい。

 竹の中にも何かを詰め込んでいる。

 

『ゴブリンって調理しないの?』


『聞いたことがないですね、オークなどは火を使ってとらえた人間を焼いて食べるそうですが』


 と小一時間ほど雑談してる間に出来上がったようだ。


『ケバ子さん? 焼くしかできないって言ってたよね?』


 そこに並べられたものはスープに焼いた肉、キノコと一緒に蒸した肉等々多岐にわたった。


 取り敢えず蒸した肉から食べると竹の清涼感溢れる香りが鼻をきれいにしてくれるのと同時にキノコの豊かな香りが鼻腔内で遊ぶ。

 そして口の中では野種溢れる肉が蒸したことにより癖のない上品なものになっていた。


 まるで一つの料理で色々楽しめる料理の福袋だな。


『うまいうまいよケバ子! やるじゃないか』


『おほめに預かり恐縮でございます』


 俺はケバ子にも食べるように促し料理を美味しくいただいた。

 だがいかせん量が多いので俺は新人とクランチに声をかけた。


 クランチ達はゴブリンの作ったものなど食えるかと悪態をついたので放っておく。

 新人達は待ってましたとばかりにかけより、うまいを連呼して食べ散らかした。


 クランチが悔しそうに俺たちを見ているので、もう一度誘ったがくどいと言われそっぽを向かれた。


 うまいんだけどな。


 その夜、夜番はベテラン達でやると言うことで新人達はゆっくり休めることになった。


 クランチがザコルフに呼ばれてなにやら囁かれている。

 ザコルフのニヤケ面が妙に引っかかる。

 まあ、俺に何かするようなら痛い目を見てもらうだけだが。



 皆が寝静まった頃、ザコルフ達が動き出した。

チェックした人間が動き出したら目が覚めるようにマップにセットしておいて正解だった。

 だが予想外にザコルフ達はクランチ達のところへ向かい。

 クランチ達三人をログハウスの中へと連れていった。


『ケバ子起きてる?』


『はい、起きております』


『今クランチ達がログハウスに連れていかれたけど、何かあるの?』


『……聞いた話なのですが、あのログハウスはその立場の弱い気に入った女冒険者を手込めにする場所だと聞いたことがあります』


『でもクランチも一緒だったぞ?』


『多分、彼女達は売られたのでしょう』


 なんでもイケメンの冒険者は上位の冒険者に取り入るために自分のツレを差し出したりするのだとか。


『めんどうだな』


 ケバ子と話しているとドスッと鈍い音がして女性の呻き声が聞こえた。


 俺は立ち上がり、ログハウスに向かった。

 扉を開けると裸に剥かれた女が二人、男達に弄ばれていた。


「なんだてめ! 入ってくんじゃね」


 どうやら殴られたのはクリリのようで涙を流して横たわっている。


 俺はメリリとクリリに助けが欲しいかを聞いた。

 余計なお世話かもしれんしな。

 確認は大事。

 メリリは弱い声で助けてと一言俺に懇願する。


「おいてめぇ出ていけって言ってんだろ!」

 俺はそいつの出しっぱなしの一物を蹴りあげると次々と男達を制圧した。


「まてまて、俺たちはそこのクランチに持ちかけられたんだよ嘘じゃねえ」


「クランチ本当か?」


「邪魔しやがって、お前が金払うのかよ!」

 どうやら金でこいつらに二人を売ったようだ。

 俺はクランチの顔に渾身の一撃を食らわせた。

 クランチはくるくると回転して地面に頭から落ちた。死んだかもしれんなあれは。

「良いかザコルフこいつらは俺の女だ手を出すんじゃねえぞ」


「分かった分かったよ、俺たちは騙されただけだから」


 そう言うと部屋から逃げようとしたので、忘れ物だと言って麻痺毒のサービスをしてあげた。


 残りの男達も外に投げ捨てた、そいつらも毒のカクテルで麻痺させたのでしばらくは動けないだろう。



 さて、クリリはまだショックから覚めないようで、姉にしがみついている。

 俺が近づくとブルブルと震え出す。


 いや助けたんだけど?


 あ、俺の女発言か。手を出さないように言ったのが裏目に出たか。

 メリリの方も警戒している。


 俺はアイテムボックスからオーガの腰巻きを取り出すと二人に投げ渡した。


「ここで守っててやるから早く寝ろ」


 俺は入り口に陣取り腕を組んで寝たふりをした。

 メリリとクリリはオーガの腰巻きを羽織お互い抱き締めあいながら寝た。


 冒険者って意外とめんどくさいんだな。



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