気がつけば異世界
俺の名前は真田かおす、24歳サラリーマンだ。
かおすは混沌じゃなくて火於須だ。
俺の親は馬鹿だが今はこの名前も割りと気に入っている。
趣味は模型作り、もちろん彼女はいない。
掲示板などで妻に模型を捨てられた人とか見ると、結婚に絶望しか見いだせない。
模型製作は戦車でもロボでもなんでもござれなのだが、特に好きなのがガンダロンのプラモデルだ。
他の模型はガンダロンをうまく作るためのトレーニングの為に作っているだけで特に好きとか言うわけではない。
しかし、社会人になってからプラモデルひとつ作る時間さえなくなった。
積みプラが増える一方だ。
最近は異なるプラモデルのパーツを合わせて一つにする、ミキシングビルドと言う製作方法にハマっている。
フルスクラッチモデラーやセミスクラッチモデラーからは格下扱いされるけど、現代の忙しい社会人にはちょうど良い趣味なのだ。
今日はHRGガンダロンの店頭限定販売の日だ、しかも平日秋葉原店舗限定!
頭にウジでも湧いてるんだろうか?
それとも、癒着か? 袖の下もらってんのか?
平日に販売するなよ、社会人は気軽に休めないんだぜ?
まあ、もちろん会社休みましたよ、有給とれるホワイト企業最高!
嘘です、親戚の叔母さんごめんなさい今日があなたの命日です。
うちは親戚多いからまだ残弾数はある。
殺ってやるガンダロンの為なら親戚くらいいくらでも殺ってやるさ!
後で叔母さんに東京銘菓カラーひよこでも送っておこう。
この店の唯一の神対応は、9時前に場所取り禁止にもかかわらず並んでた連中に引換券渡さなかったのはマジ神でした。
俺ですか? ちゃんと9時にならびましたよ、そして限定ガンダロンをゲット! 俺はガンダロンをこれ見よがしに空高くかかげた。
ブスッ
鈍い音と共に正面から女性がぶつかってきた。
その衝撃でガンダロンを地面に落としてしまった。
ああ、箱も価値があるのにイラスト面から地面に落としてしまった。
食パンのバターを塗った面を床に落とした気分だ、三秒ルールは使えない。
女は俺の落としたガンダロンを拾うと脇目も振らず走り出した。
ちょ、まてよ。プラモ泥棒だと?
追いかけようと立ち上がろうとするが力が入らない、苦しい、息が出来ない。
よく見と、俺の鳩尾の少し下にはナイフの柄が生えていて服が瞬く間に朱に染まる。
周囲に悲鳴が響き渡る。
さっきの女はプラモデルごときで殺人をおかしたのか?
いや、このプラモはそれだけの価値がある、その気持ち分からなくもないぜ。
だが……。
そりゃないぜセニョリータ!
意識が朦朧としてくる、これが死と言うものなのか、まだ大量の積みプラがあるって言うのに、こんなところで死ぬのか。
神様できるなら次の人生も模型製作できますように、俺は目を閉じ意識を手放した。
深い深い闇が俺を包む。
なにも聞こえずなにも見えない。
これが死というものなのか。
だが暫くすると周りが騒がしくなった、金縛りの時に聞こえるノイズのような雑音ではなく人の声や歩く音が聞こえる。
静かに死なせてくれ。
「おい! あんちゃん、こんなところに寝られたら邪魔だよ!」
ドスの効いた声が俺を邪魔だと怒鳴る。
いや、別に寝たくて寝てる訳じゃないですよ?
「なんだ、行き倒れか?」
別にお腹減ってないですよ?
俺は襟首を掴まれ、起き上がらせられると往復ビンタを食らった。
「痛ぁぁぁあ!!」
叩かれた痛みで、俺は再び目を開ける、そこにはモヒカンのヒャッハァーがいた。
「なんだ、生きてるじゃねぇか」
俺の襟首をつかむと、道の端に移動させコインを投げる。
「これで飯でも食いな」
そう言い残し、振り向きもせず足早に立ち去ってしまった。
「いや、怪我してるんで病院……」
あれ? 苦しくないし血も出てない、何よりナイフが胸に刺さってないぞ。
よく見ると、服がカジュアルな服装から、まるで袋に穴を開けたようなズタ袋みたいなものになってる。
周りはとても秋葉原とは言えない石畳に中世風の建築物、そして頭に獣耳をつけてる人にハ虫類人。
なんだこれ、これが死ぬ前に見る走馬灯?
いや、走馬灯は今までの人生を瞬間で見るものだから違うか白昼夢?
なんにせよ夢か、死ぬ前にこんな夢見るとかアホだな俺。
しかし、待てども暮らせど目が覚めることもなく死ぬこともなかった。
まさか異世界とか言うやつか?
建物を眺めると、右端でチカチカ光ってるマークに気がついた。
それは封書の形でどう見てもメールマークにしか見えなかった。
恐る恐るそれをタップするとメールマークは展開して目の前に文書が現れた。
文字は日本語だ、映像なのにわざわざご丁寧に紙の上にに書かれている。
そのせいで俺の視覚は塞がれてしまって周りが見えない。
◆◇◆◇◆
突然の事で驚かれたことでしょう。
あなは死にました、しかし精神をこちらの世界に持ってきて、私が再構築した肉体に入ってもらいました、性能は前の肉体と完全に同じですので、あまり無茶はしないでくださいね。
さて、貴方を助けた理由ですが、ガンダロンを愛する同好の士だからです、魔王を倒してくれとか、世界を救ってくれとかはありません、そもそもたいした力は与えていませんから。
あとサービスとして第五次ガンダロン大戦と対戦型オンラインゲームのガンダロンオンラインのインターフェースをつけておきました、それとお金1000Gと短剣もつけておきました活用してください。
では、大変だと思いますが頑張って生きてくださいね。
by 鬼道兵器ガンダロン、ズオン公国派の女神クトリスより
◆◇◆◇◆
読み終わるとボンッと言う音と共に手紙は消え失せ、インターフェースが現れた。
うあ、じゃまくせぇ。
その言葉に呼応するように、インターフェースは掻き消えた。
あ、消えんなよ、邪魔じゃないから現れて! その願いに呼応するように再びインターフェースが現れた。
これは自分の意思で、出したり消したり出来るのか。
インターフェースは俺もやった事があるからわかる、ガンダロンオンラインのものだ。
ただし見慣れないボタンがある、それを押すと第五次ガンダロン大戦のマップがあらわれた。
それは、左半分の画面を使い、自分を俯瞰できるマップであった。
リアルタイムに俯瞰で見えるってある意味チートだな、しかし、この押す動作って不便だよな、思っただけで変えられないかな?
意識を集中して画面を切り替えボタンを押す動作をイメージしてみた、左の俯瞰マップが消え最初のインターフェースに戻った。
右側のボタン類を見と。
PT編成
模型製作
従属体
素材一覧
アイテム
所持金 1100G
と出ていた。
見たこと無いボタン名だけど、取り敢えず上から押していくか。
PT編成
ダメだ選択できない、仲間がいないんだから当然か。
能力数値
それを選択すると画面上に色々な数値が飛び出した。
名前:カオス
LV1
Age:24
職業:
HP10
MP5
力:8
速:3
知:15
技:5
運:1
基本技能
特殊技能
個人技能
造型師
部位交換
うあ、俺のステータス低すぎ! 俺は口許を押さえて驚愕した。
しかも基本技能と特殊技能が無い、この二つがどんな能力かは知らないが無いと言うのは無能な証なのは間違いない。
唯一の救いは個人技能の造型師だろう部位交換は枝分かれしている派生スキルのようだから、模型製作のスキルでレベルアップで新しいスキルを得ることができるんじゃなかろうか?
スキル名は造型師とか俺好みの名前だ、模型好きの俺にこの世界でも作れるよう配慮してくれたのだろう。
女神様には感謝だな。
次のボタンは造型師、スキルと同名のボタンを押すと目の前に選択肢がでた。
"人間やめますか?"
yes/no
そこに現れたのは到底受け入れられない選択だった。
止めませんよ? なにこれ怖い!
人間やめないと模型ひとつ作れないの? 意味がわからないよ。
俺はそれをスルーして次の従属体を押した。
"造型師が解放されていないため使えません"
次の素材一覧を押した。
"造型師が解放されていないため使えません"
くっそ! どれだけ俺に人間やめさせたいんだよ! 次だ! 次だ!
俺は次のアイテムを押した。
ベルト×1
鞘付き短剣×1
クソ! 分かってたよ!
俺は短剣を取り出し腰に巻いた。
取り合えず現状確認だ。
ここは異世界ということで間違いないだろう、今いる町は安全な場所なのかいうことの確認をしないとなl。
マップを開き広範囲モードに切り替えた。
地名はグランエイム大陸と言うのか周りを海に囲まれた超大陸のようだ。
この赤い光点がモンスターで緑色が人間か。
そういえば俺の強さはどの位なんだろう?
女神様は前の世界と変わらない強さと言ってたけど、こちらの強さの基準がわからないとな。
無理をするなと言ってたから強くはないんだろうけど……。
周りの人の数値見れないかなと思い、近くにいる露店商の親父をじっと見ると大量の文字が現れた。
名前:ジュニアレス
LV56
Age:35
職業:商人 元王国騎士団長
HP569
MP128
力:1200
速:720
知:860
技:960
運:120
基本技能
剣術:S級
盾術:S級
槍術:A級
弓術:A級
馬術:A級
聖魔法:B級
話術:C級
鑑定:B級
特殊技能
聖王国の加護
(騎士の仲間が多いほどステータス補正がある。)
個人技能
強面
あかん、あれはあかん。
数値の基準がわからない俺でも分かる。
あのおっさんは規格外だ。
なんだよ元王国騎士団長って、そんなの強いに決まってんだろ!
他のサンプルを探すべく、近くにいた子供を見た。
名前:ゴリアテ
LV1
Age:9
職業:子供
HP24
MP12
力:12
速:13
知:1
技:2
運:8
基本技能
剣術:E級
特殊技能
個人技能
ぐっ嘘だろ、こんな子供に負けてるだと。
こんな年端もいかない子供にさえ及ばないのか。
俺はこの世界だとかなり弱い。
よし、無謀な冒険はしないことにしよう質実剛健、人間万事塞翁が馬だ、田舎の台所にはカマドウマだ。
良くもなく悪くもなく生きていこう。
だいたい子供に劣るステータスでどうしろと言うのか。
それと貨幣価値はどの位なんだろうか?
ちょうど元王国騎士団長の露店が果物売ってるからなんか買ってみるか。
第一異世界人がポンと100Gくれたくらいだから、1食分として100Gは千円位の価値なんだろうか?
恐る恐る果物屋の前に行き、リンゴについてる値札を見ると、1個2Gと書いてある、とすると1G70円位かな。
ええ! あのモヒカン7千~1万位の金額くれたの?
「にいちゃん、買ってくかい」
強面の元王国騎士団長の店主が話しかけてくる。
言語は分かるし文字も読める、言語に関するシナプスでも埋め込まれたか?
とは言え、この体自体異世界のものだし、最初からそういう風に作られたってことか。
それならせめてステータスも上げて欲しかったけどね。
それとこの世界の情報を全部入れておいてくれたら良いのにとも思ったけど、人格形成にか変わりそうだから無理か。
もうそれ俺じゃなくなるしね。
おっさんに、この世界の話を聞くために声をかけたがなにも買わない奴に話すことはなにもないと言われた。
情報を聞き出すために少し買うか。
俺はモヒカンからもらった銀貨を一枚出してリンゴを3個購入しようとしたが、そんな大きな金出されてもこまると言われリンゴを100個買わされた。
顔怖いし、仕方ないね。
「すみません、この町で仕事とかありますかね?」
店主はすごい形相でうなって顎にてを当てる。
このおっさん確実に客商売に向いてないと思う。
「兄ちゃんいくつだい」
おいおい、まだ売り付ける気かよ、どんだけ悪どいのよ。
だがしかし俺はノーといえる日本人。
ここはキッパリと断らせていただきます。
「すみません、申し訳ありません。リンゴはもう持てないほど買ったので……」
最後は濁すこれぞ日本人の美しい断りかただ!
いや、だってこの人の顔怖いしこれ以上は無理。
「馬鹿野郎、年齢に決まってんだろ!」
「ヒッ!すみません……24歳です」
「レベルとスキルは?」
「LV1でスキルは……まったく無いです」
「その年齢だと弟子入りとか無理だし、冒険者の荷物持ち位しかないな」
「荷物持ちって儲かります?」
「儲かるなら、俺がやってる」
「そうですよね……」
俺はリンゴをアイテムボックスにしまった。
それを見たおっさんは驚きの表情を見せる。
「あんちゃん、虚空ボックス持ちなのか?」
「あ、はい」
ドスの効いた声で言われビビって虚空ボックスではないと思うけど返事してしてしまった。
「いいか、これから荷物持ちするならその能力は隠しておけ、LV1じゃ利用されてしゃぶりつくされるぞ」
助言をしてくれるとかなかなか良いオヤジだな、俺はうなずくとその場を離れた。
俺はマップに頼らずに冒険者ギルドを探した、マップに頼っていては土地勘が掴めないからな。
町行く人に道を聞いてなんとかたどり着けた。
どうやら酒場と併設しているようだ。
扉を開けて中に入ると、強面な連中がギロリと睨む。
この世界強面の奴しかいないのか?
「よう兄ちゃん、なんかようか?」
ガタイの良いおっさんが、酒の臭いをさせて近寄ってくる。
「荷物持ちをしようと思ってギルドに登録に……」
「おお、そうか! ちょうど、うちの荷物持ちがやめて困ってたんだ、よかったら今日からどうだ?」
おっさんは俺の肩を叩きガハガハ笑う。
今日は登録だけにしようとしたのだが、求められたら断るわけにはいかない。
人脈は宝だ、ここで仲良くなっておけば専属として使ってもらえるかもしれない。
とは言え酒飲んでていきなりダンジョン探索とか大丈夫なのか?
それを聞くと魔法で酔いは覚ませるらしく一気にシャキリとなった。
酔いが覚まされたら行くしかないよね。
俺はおっさんのパーティーにお世話になることにし、おっさんの案内で化粧の濃い受付嬢のところまで案内され冒険者登録書を書かされた。
あっちの清楚な子が良かった。
その子をじっと眺めていたら目が合いニコリと微笑まれた。
ヤバイ可愛いこれは惚れますわ。
登録料もおっさん持ちで登録することができた。
この世界は強面の人が多いけどみんな優しいんだな。
おっさんの名前はカスガン仲間の2人はゲスター、アクロンでこちらも体格が良い山賊なような連中だったが、皆気の良いやつらだった。
そして俺とおっさんのパーティーは一路、魔窟ドミニティに向かった。
魔窟へは1時間程でついた。
このクシュタルの町は近郊に3個の魔窟があり、世界でも屈指の冒険者の町だそうだ。
これから向かう魔窟ドミニティはその中でも一番難易度が優しいそうなのだ。
道中では三人に冒険者の教示を勉強させてもらった。
魔窟にー着くと順番待ちで長蛇の列ができていた。
「俺たちは56階層から始めるから」
説明ではクリアした階層に直接ワープで行けるらしい。
一応レベル1だって言ったんだけど大丈夫かな?
俺が不安な顔をしていると、俺達が守ってやるから安心しろと背中をバシバシ叩かれた。
◆56階層◆
この階層に出現する魔物はオーガ種だ、体格も3m程ありかなり強いがおっさん達の連携の前では敵ではなかった。
マジで強いんだなこの人達。
俺は町を出る前におっさんたちから渡されたリュックに魔石やらドロップ品やら詰め込んだ。
荷物持ちって戦わなくて良いなら楽じゃないか。
リンゴ屋の親父め嘘つきやがって。
しばらく進むと、オーガを2匹のトドメをささせてもらいレベルが10になった。
一気に10も上がるとか完全に寄生状態。
おっさんたちに感謝感激雨あられだ。
レベルアップのお陰か重い荷物も軽く持てるようになった。
気になったのだが、この世界の魔物にはレベルがない鑑定してもレベルが見えない強さはどの個体も種族ごとで同じだ。
レベルは基本ステータスを倍化させるそうなので、魔物にレベルがあったらとても倒せなかったよね。
「ボス部屋だ」
おっさんはそう言うとボス部屋に通じる扉を開けた、ボスはB・オーガロード
いよいよか、ボスもトドメを刺させてくれたらレベルアップガッツリするんだけどな。
俺は奴のステータスを鑑定した。
B・オーガロード
名前:ガルバロ
HP3560
MP60
力:520
速:120
知:80
技:120
運:50
基本技能
棍術A級
怪力A級
突進B
固有技能
咆哮
強い、俺の何倍あるんだこれ一人だったら即死だったわ。
「よし仕事だ!」
おっさんがそう言うと、仲間の一人が俺の襟首をつかみ、B・オーガロードの前まで引きずり出し、B・オーガローの眼前に投げ捨てた。
「ちょ、なにを……」
敵の前に投げられた俺は一人でB・オーガロードに対峙する形になった。
「悪いな、時間稼ぎに使わせてもらうぜ。うまくいけば助かるだろうよ」
そう言うとパーティーメンバーが呪文を唱える。
B・オーガロードは俺目掛けて金棒を振り下ろした。
その攻撃を避ける為に左に回避行動をしたが、その一撃は俺の右腕と右足をぐちゃぐちゃにした。
「がぁぁぁあ――!!!」
そして残りの腕と足も金棒で潰す。
まるで子供が虫の羽を引きちぎって遊ぶように。
俺の四肢は潰され動けなくなった。
俺は死を覚悟した。
「チェインバインド」
その時、パーティーメンバーの魔法使いの魔法が完成してB・オーガロードを金属の鎖が締め上げる。 残りのメンバーもそれを合図にB・オーガロードに斬りかかる、身動きのできない魔物はわずか数分で沈黙した。
「助けて……」
俺はおっさんに助けを求めたが、見向きもせずにB・オーガロードの魔石を抜き取ると俺のリュックをもってボス部屋を去っていった。
辺りが静寂に包まれる。
今まで戦闘があったのが嘘のように静かだ。
なんでだよ! 俺がなにか悪いことしたのか? いやだ、死にたくない、死にたくない、シニタクナイ。
そのとき、俺の前にあの表示が現れた。
"人間やめますか"
yes/no
人間を止めるか……。
良いだろう、やめてやるよ。
この状況をなんとかできるなら、人間なんか!
やめてやる!
俺は迷わずyes を選んだ。
"素材B・オーガロード"
空中に俺とB・オーガロードのワイヤーフレムモデルが現れた。
"おすすめ機能を使いますか?"
yes/no
yes だ!
ワイヤーフレムモデルの俺の欠損した肉体にB・オーガロードのパーツが移動する。
サイズはそのまま縮小された感じだ。
その他にも体の大部分をB・オーガロードのパーツが入れ替わる。
B・オーガロードは消え失せその瞬間俺の手足は生まれ変わった。
見た目は今までと変わらない人間の体だ。
能力数値で現在の強さを確認した。
名前:カオス
LV10
Age:24
職業:
HP35600(35600)
MP600(60)
力:5200(520)
速:1200(120)
知:150(15)
技:1200(120)
運:10(1)
基本技能
特殊技能
固有技能
造型師
咆哮
どういう事だ?
この数値じゃB・オーガロードの10倍もあるじゃないか。
レベルは基本数値の倍数、つまり、体の大部分をB・オーガロードと置き換えたことで、俺の基本値がB・オーガロードと同じになったってことか?
つまり魔物がレベルを手に入れたってことじゃないか。
「復讐してやる!」
俺はすぐさまやつらを追った。
案の定ボス出口で回復の為に休憩してやがった、あいつらが気がつくより先に咆哮でやつらの動きを止めた。
そのまま、B・オーガロードの棍棒で一人を叩き潰し、もう一人は頭に蹴りを入れたら首と胴体がお別れしてしまった。
「よう 、おっさん! 嵌めた奴に命を握られる気分はどんなだ?」
おっさんは小便を漏らし震え怯える。
棍棒でおっさんの四肢を飛ばすと髪の毛を引っ張り壁に立て掛けた。
周りの壁を破壊して小石を100個ほど作りおっさんの前に置く。
「これから何をするか分かるか?」
「たすけてください……。すみませんでした、許してください」
俺がしようとすることを察したのかおっさんは弱々しい声で命乞いをしだしたが、聞く耳などない。
じわじわと死がせまる苦しみを味わうが良い。
俺はおっさんに石を死なない程度の力で投げつけた。
のたうち回るが逃げることはできない、50回くらい石を投げた頃にはピクリともしなくなった、たぶん絶命していたのだろうがお構い無しに投げていた。
復讐を終えても、気分はまだ収まらない人間やめたせいかな?
人間をやめたか……。
そうだな、折角だしこの魔窟の魔物を狩りまくって更に人間をやめてやるか。
俺は新たな部位を求めて深部へと歩を進めた。