初依頼 2
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スタノフ城郭都市 門前
高さと横共に、何メートルもありそうな門の前。扉の前には国の傭兵や、チラホラと冒険者も見える。
そんな門の前に立っているのは金髪の幼女。
黒いマントで身を包むその幼女はジェミリ・セラント。段位六の中段位冒険者。
今日は初段の冒険者二人を共に、依頼をこなさなければならない。
これは冒険者ギルドからの依頼の様な物。
初段に中段位から高段位の冒険者が付き添って最初の依頼をこなす。
初段からすると、これは採用試験みたいな物で、中段位や高段位の戦いぶりから冒険者のなんたるかを学び、生きて帰ってくる事が、目的である。
死ねばそこで終わり、帰ってきてもモンスターに畏怖し、冒険者を続けられない者は多い。
元々は、最初は初段の冒険者だけで依頼をこなしていたのだが、少なくない犠牲が毎年必ず出た為に、今ではこういった形が取られている。
今日はそんな尻の青い初段に、冒険者のなんたるかを教えるために、来たのだ。
「ッチ・・・」
舌打ちをする。
10分も早く来てやったのに、1時間も待たされるとは思っていなかった。
今回の依頼は、冒険者ギルドからの依頼。
改めての王都周辺調査という依頼。依頼者を守る必要がない分、楽な仕事のはずだが、こういう時に初段を合わせられる。
初段の護衛金なるものが、多少依頼に加わってくる。
だが、はっきり言うと大した金にもならない赤の他人なぞ、守る価値がない。今までだって、危機に陥れば、初段の冒険者は切り捨てられてきたのだ。
今回だって、もしかすれば自分が命を落とすことになるかもしれないのだ、気を抜いて街の外を歩く事は決してできない。
二人の男女が此方に向かって歩いてくる。
(ようやく来たか)
苛立ちながらもジェミリは、腕を組みながら待つ。
見えてきたのは、白衣の男と白い服を着た女。
とてもじゃないが、冒険者が依頼をこなしに行く格好では到底ない。
(違うな)
それにしたって、傭兵どころか冒険者を連れて行かないで街の外を出ようとするのはおかしな話だ。
今では街道だろうが、山賊に襲われたという報告は呆れるほど上がってくるのだ。幾らなんでも無用心にも程がある。
一言注意するべきか、とジェミリは思い、声を掛けることにする。
「おい」
「はい?」
男の方から返事が来る。
「街の外は街道でも危ないんだ、いくらなんでも君たち二人では無用心ではないか?、傭兵はともかく、冒険者くらい雇うべきだろ・・・う?」
ジェミリは男の腰に下がっている刀に目がついた。武器屋に置いてある様な刀だと一目見て分かる。
はっ!!まさか!?
「お前ら初段の・・・?」
「ロトといいます、こっちがリーアです。えっとセラントさんですよね?お待たせして申し訳ないです」
こいつらは馬鹿か。冒険者としての依頼に白衣で行く奴がどこにいる。
「鎧はどうした?」
「必要ですか?」
ピクニックにでも行くつもりなのかこいつは?それとも、周辺調査と聞いて戦闘は一切無いとでも思っているのか?
ジェミリは顎に手を当てて、考え込む素振りを見せる。
どんな依頼だって、街の外に出て襲われなかったことなんてない。コブリンやキメラなんか数え切れない程出てくるのだ。
それだけじゃない、超弩級モンスターに襲われることだってないとは言えないのだ。
こんな奴らとこれから一緒に依頼をこなさなければならないのか・・・いや、いっそこのまま一緒に行った方がこいつらの為にはなるだろうか。
鎧のありがたみを知れるチャンスだ、有効活用してもらおう。
「行くか?」
「はい!」
マジだよこいつら、信じられねえ
ジェミリは、二人に背を向けて呆れ顔で街の外へ歩き出した――




