プロローグ
――街
整備があまりされていない裏道を抜けると石畳の大通りに出る。
周りには店や家屋の様な建物が立ち並んでいる。
まだ日が昇ってからそれほど時間が経っていないのにも関わらず、沢山の人で賑わっている。
すぐ傍にある一軒の建物のドアが開き、人が出てきた。街商の準備の様だ。長方形の台を置き、その上にテントを張っている。
すると生臭い臭いが漂ってくる。ふと周囲を見渡すと、魚を出している店がすぐ傍にあった。
見渡せば、周辺は魚屋だけでなく野菜や果物から武具屋や服屋なども見える。
ゴーンゴーン ゴーンゴーン
四回――鐘の様な音が立て続けに鳴った。
音が聞こえた方振り返ってみると、見えてくるのはこの大通りを抜けた先の街の真ん中に建っている一番大きな建物からだ。
教会の様な雰囲気があるその建物の鐘の傍に人影が見える。その人影が鳴らしたであろう鐘は未だ微かに動いている様にも見えた。鐘の音が鳴り終わるのと同時に、あちこちから大声が聞こえる。
「新鮮な果物が入ったよー!今日はいつもより――!!」
「先日仕入れた魚で――!!」
全ての店が開店した様で、この街に来てから何度も見ている光景だ。この鐘の音に合わせてこの大通りの住人が働き出すようで、大勢の人数が買い物に来る。
客も少なくなく、既にあちこちの店が客で人だかりが出来ている。
そんな店を幾つか通り過ぎて目的の店を視界に捉える。木で出来た吊り下げ看板には、盾の中に剣が二本交差している紋章の横に武器屋と書いてあるのを確認して歩を進めた。
「いらっしゃい」
武器屋のドアを開けると、低い声の男と顔を合わせる。左右の壁には剣があちこちに掛けられていて、入口のドアのすぐ横にすらかかっている。そんな部屋の奥に、丸椅子に腰を掛けて男からして左手にある乱雑に物が置かれた机に左手で頬杖を付けてこちらを見ている。
顔が濃く口ひげを生やし肌は日に焼けていて、髪は一本も生えていない。とても屈強そうな男でいかにも武器屋のおじさんだ。
「刀があると聞いてきたんだけど・・・」
すると男は顎に手を当て、考える素振りを見せた。
「・・・ああ」
思い出したかのように顔を上げ――
「ちょっと待っててくれ」
そう言うと男は立ち上がる。その足で奥のドアに入っていき探してくれているのであろう、重たい物が落ちる様な音、金属がぶつかり合う音や男の「いてえ!」と言う声が聞こえてきた。
――5分程後ドアが開いた。
「これ一本だけだ」
男が左手で頭を抑え眉間に皺を寄せながら、右手に持つ黒い鞘に納められている日本刀の様な刀をこちらに差し出す。それを両手でを受け取った。
とても軽いが、刀を抜いてみても刃毀れせずあまり抜かれていない様でとてもいい状態だ。
「どうせ売れ残りだ、武器としてはちと安いがまあ銀貨一枚でどうだ?」
そう言われてすぐにポケットに手を入れて指定された銀貨の一枚を取り出し、男に手渡した。
「どうも」
軽く頭を下げ、振り返ってドアを開けて出ようと――
「あんたがそれ使うのか?」
そう言われて男の方を振り返る。
「おかしいですか?」
男はその客の服を舐めるように見る。
「冒険者だって白衣くらい着ますよ」
そう言い捨てた後、颯爽とドアを開け出て行った。
「着ねえよ・・・」
男が呟いた。
もし読んでくだされば、ちょっと小っ恥ずかしいですが嬉しいです。
この程度書くのにアホみたいに時間を使ってますが、なるべく頻繁に書きたいです。
俺TUEEEかも