第2話 金色
暗い闇の中で、ママが泣いていた。私が、どうして泣いているの?と問いかけても、ママは泣きながら、必死に私に向かって何かを訴えていた。
「着いたわ。」
シスターの声で、私はハッと意識を戻した。
馬車から外を眺めると、白い大きな建物がそびえ立っている。
建物の中心部には、何かのシンボルマークなのか、長い金色の髪と、同じく金色の目の少女の絵が飾られている。
___金、それは、神だけが許された色。
ママから聞いた、話を思い出す。
金色の髪と目をした神様は、その昔、天から地上に降りてくると、少女と約束を交わした。
「大人になったら、私の花嫁になって欲しい。」
その言葉に、少女は素直に頷いた。
やがて少女が成長し、成人を迎えると、神様が少女を迎えに、地上に降りてきた。
少女は約束通り、神様の花嫁に成りました。
ママは、その話を私に聞かせると、決まって同じことを言った。
「この少女は、不幸だね。」
私は、神様のお嫁さんになれた少女が、どうして不幸なのか、全然分からなかった。
シスターに手を引かれて歩くと、神父やシスターとすれ違った。
決まって全員、私を見て、祈りを捧げるかのように、手を胸の前で重ねる。そして、深々と頭を下げた。
神父やシスターは、位の高い職業だ。そのえらい人物がなぜ私に、わざわざ頭を下げるのか。その答えを、私は最悪な形で知ることになる。