第1話 出会い
私の目の前には、1人の若いシスターが座っていた。
白と青と金色で彩られた、シスター服に身を包んでいる。華やかな金色の髪とは対照的に、その表情は悲しみに染まっていた。
気まずい空気の中で、私は気を紛らわせようと馬車の窓を眺めた。
遠くを眺めると、華やかな街が見える。明るい色で飾られた街が、私には汚く見えた。どうして、こうなったんだろう。
__あれは昨日の事だった。
私の家は農家で、いつも畑で野菜を育てている。
ボロボロだけど、パパとママが一生懸命建てたレンガの家、小さいけど美味しい野菜、裕福じゃなかったけど、パパとママも笑顔で幸せだった。
何時みたいに朝早く起きて、ママのお手伝いをしに畑に走った。何時もは笑顔で畑仕事をするママが、この時だけは信じられないようなものを見るような目で私を見た。
ママの視線に私は困惑した。
「ママ、如何したの?」
恐る恐る問いかけても、呆然としたまま、一向に動く気配は無かった。
__少しの時間重い沈黙が流れた。
ママは顔を上げると、私の手を引っ張って家に入った。
「シエラ、ママ以外の人が来ても、絶対にドアを開けないで、部屋からも出ちゃダメよ。」
そう言うと、ママは扉を閉めてしまった。
一体何が起きているのか、自分が知る少ない情報では
何も分からなかった。
とりあえず、言いつけ通りに部屋から出ないようにして、奥の部屋に移動して隠れる様に布に包まった。
この日は、私は畑仕事を手伝う事もなく、ママが帰ってくるまで、1人シーツに包まっていた。
コン、コンとドアをノックする音が聞こえた。私は、ママが帰ってきたのか、と咄嗟に
「ママ?」
と声に出してしまった。
私の声を聞いて、扉を開けたのは、ママでは無かった。
金色の長い髪に、シスター服に身を包んだ若い女性が、申し訳なさそうに私を見つめていた。
「ごめんなさい。」
その謝罪の言葉が、如何して自分にかけられたのかは、私はまだ知らない。