私も言いたいことがあるんだ。
やあ、はじめまして。私はシャープペンシル、略してシャーペン。今、持ち主の高校生に使われているんだ。化学の授業中だよ。
私がこの子に会ったのは、この子が小学6年の時だったかな。私はこの子の友達にお土産として渡されたんだ。私に限らず、この子のシャープペンシルはお土産とか誕生日プレゼントとかでみんな貰い物なんだ。
最初、この子は私のことをあんまりよく思ってなかった。何故なら、私に描かれてるキャラクターが好きじゃなかったから。それに、鉛筆ばかり使っていたしね。私は机の引き出しにしまわれてたよ。
ある日、私は外に出されて筆箱に入れられた。それからしばらくはたまに使われる程度だったけど、いつからかいつも私が使われるようになった。たまに鉛筆達や同僚が使われるけど。
使われるのは嬉しいんだけど、最近ね、体がおかしいんだ。私は先の部分が少し脆くてね。そこが時々痛むんだ。
あ、この子ったら、「分子」って書くのを間違えて「子分」って書いてるよ! しかも何箇所も。何だよ「子分間力」って。どんな力なんだ。おーい、間違えてるよー。気付いてー。
持ち主は間違いに気付いて、私を置いて消しゴムに持ち変える。私はちょっと休憩。あーあ、どうしたのかな私の体。あ! 嘘だろ!? ひび入ってる! 何で今まで気付かなかったんだろう。
私を持って持ち主は消した所に正しく「分子」と書いていく。う、痛い。
先生が黒板には書かずに話し始めたから持ち主は何を思ったか、話を聞きつつ、私を見つめだした。持ち主が少し驚いた顔になる。やっと異変に気付いてくれたよ。
先生が黒板に書き始めたから持ち主もノートに書き始める。私を使って。何考えてんだこの子! 私のひびは無視なのか!? けっこうなひびだってわかってるだろ!?
1分くらいして、やばくなってきた。待ってよ。もう駄目。だから止めて。待てってば……………
ポロッ
ぎぃぃぃやああああああぁぁぁぁぁぁ!!
割れて、一部分が取れた。痛い! 痛いぃぃぃ!!
教室中の文房具に心配されてる。私の中で芯がかなり驚いている。芯はいつ自分が折れても平然としてるのに。持ち主はさっきより驚いてる。そして、他の生徒に気付かれないようにそっと溜め息を吐いた。何さその溜め息! 自分に対するもの? それとも私?
持ち主は私の割れてしまった部分をそっと撫でた。すると、痛みが和らいだ。え、どうなってんの。あ、これが持ち物に対する愛着ってやつ? ちょっと違う?
持ち主はノートをとるのを再開した。また私を使って。ちょっと待ってよおかしくない? 私、まだ痛いんだよ? さっき撫でてくれたからいくらか良くなったけど。
それからずっと学校が終わるまで私は使われた。
あれから一週間経つけど私は欠けた部分を直されることなく授業中ずっと使われているんだ。
持ち主は来年、受験生になる。この子が受験を終えるまで私はこれ以上壊れずにいられるかな。
ねえ、持ち主。鉛筆と同じこと言わせてもらうよ。これからも私を使ってよ。なるべく優しくね。
よろしく頼むよ!