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 1/100  作者: 祭見 ジョー
第2章 『チートな魔法使い』 編
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第7話 情報屋

意見がありましたら、何でもどうぞ。

 俺は旦那の宿にある1番良い部屋で、体が沈んでしまいそうになるほどフッカフカなベッドに横になりながら考え事をしていた。

 

 初めてこの世界に来た時に頭の中で聞こえた『世界に平和を』の意味について。

 

 思ったが、どうにもアバウトな気がしてならない。もっと具体的にさ、『魔王を倒せぇっ』ぐらい言って欲しかったよな。『世界に平和を』って……何すりゃ良いんだよ。

 

 アレか。やっぱ魔王倒せば良いのかえ? そうなのかえ? というかこの世界に魔王なんているのかヨ。


「あ、そうだ」

 

 そこまで思考が巡ったところで俺はふと思い立ち、部屋を出た。


『宿屋』⇒『中央広場』




「イェーン」というものについて。


 それは、すでに言うまでもなくこの世界の通貨であるらしい。


「中央広場」には沢山の商店が広場の形を沿うように建ち並んでいて、そこで住民達が売り買いしているのが窺えた。中には「食堂」なる店もあって、まだ朝だというのに大勢の客が料理を口にしてるのが見える。

 

 なるほど、「イェーン」の価値は大体「円」と同じらしい。「豚の塩焼き」が890イェーンて。

 

 しかし俺は別に飯を食いに外に出たわけじゃないのでその店の前をスルー。俺の目的は別の場所にあった。


「情報屋」は、宿屋から見て広場のちょうど反対側にあった。直線距離にして約150メートルほど離れたところにあるその店は広場にある他の店と比べると大分小さい店で、どこか陰鬱とした雰囲気を醸し出しているようである。入るのに少しためらうが、この際致し方あるまい。


『中央広場』⇒『情報屋』


 店の中は、外で感じた店の雰囲気と律儀にマッチしていて薄暗かった。


 広場と店の中では完全に空気が別物。物寂しいというべきか、落ち着くというべきか……。


 店の奥にはカウンターがあり、そこだけはほんのりと明るくなっていた。


 カウンターの奥には金髪のチャラい青年が1人。俺以外に客はいないようである。


「やあ兄ちゃん、今日はどんな情報を所望で? 最新の情報は……そうだな、『西の盗賊団が壊滅した』らしいですよ。なんでも『西広場の屋敷の主人が失脚した』こともそれに関係があるとか……。いやいや『誰が壊滅させたのか』までは言えねぇ。それを言っちゃ商売にならないんで」


「いや、今日はそういうのを聞きに来たわけじゃないんだ」


 ……というかそれ俺当事者だし。


「へぇ、じゃあまた何でこんなところに?」


「ちょっとお尋ねしたいことがありまして……」


「なんですか。情報屋ですから何でも聞いちゃってくださいよ是非」


 カウンターから身を乗り出してくる金髪。顔が近い。


「いやね、この世界に魔王はいるのかなーなんて思ったりして」


 瞬間、金髪はプッと吹き出して大笑い。あ、そうっすよね。魔王なんていませんよね。……つーかオイ、そこで吹き出してんじゃねーよ。顔にツバかかんだろうが。


 しかしその笑いは、どうやら違う意味を含んでいたらしい。


「アッハッハッハ! こいつはとんだ平和ボケだ」


 え?


 金髪はいきなり真面目な顔をすると、


「魔王がいねぇわけねーだろうが。今世界中でどれだけの人が苦しんでると思ってやがる」


「…………」


 魔王がいる。ということはやはり、『世界に平和を』という意味は『魔王を倒せ』ということなのだろうか……。


『情報屋』⇒『中央広場』

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